2022年 02月 06日
高臣大介ガラス展最終日。 豪雪、午後晴。 除雪で車道が片道通行。 しかし、展示会場は、観客切れ目なく、千本を超える 氷柱のガラス作品に雪の反射光、軒下の本物の氷柱も 映えて美しい。 築70余年の木造古民家の梁木の強靭さに改めて驚く。 1トンは優にある千本余の透明なガラス作品<野傍の 泉池ーヌㇷ゚サㇺメム>。 2012年2月から始まった高臣大介の辿り着いたひとつ の折り返し展が、人と雪に抱かれて終了する。 同郷のDJN0BU作曲の演奏が流れる。 生まれ故郷千葉県より洞爺湖湖畔に移住し、夏冬 常温で湧く泉に魅かれ、軒下の氷柱をモチーフに 「野傍の泉池」百本からスタートしちょうど10年。 千葉県から風のように移住してきた高臣大介は 自分自身の、新たな風の根、土を得たのだ。 今年1月ベルリンから帰国の谷口顕一郎・彩子展、 2月今回の高臣大介展と、ふたりの移住者の風の根・土 を象徴するような作品展が拓かれて、二臓を病んだ 三蔵胞子翁の私は、強く励まされたのだ。 テンポラリ―スペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き tel/fax011-737-5503
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by kakiten
| 2022-02-06 18:20
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2022年 01月 27日
かつての石狩河口近くに遺された明治の治水学者岡崎文吉の蛇行を基本 とする自然工法単床ブロック。 その遺構を素材に幾つもの断片を再構成した谷口顕一郎・彩子の 力作はまるで船のように宙に浮かんでいた。 2005年シベリアを経由した欧州へ移住の旅を経て辿り着いた ふたりのひとつの到着点ともなる作品だ。 一方千葉県より北海道洞爺に移住した高臣大介は2012年 2月九州在住の鉄の作家阿部守との二人展を琴似川源流に湧く 清華亭庭の今は枯れた源泉ーアイヌ語地名ヌㇷ゚サムメム(野傍 ノ泉池)をテーマに今回の作品に至るスタートをきったのだった。 扇状地である札幌には至る所に水が湧き、特に大きな泉は池となり 時に川の源泉ともなった。 都市化と共に消え去ったこの泉池の存在がガラス作家高臣大介 の心を何時か捉えて、自らの作品のモチーフとして水滴のような 作品を創り始めたのだ。 軒下に浮かぶ氷柱と源泉に湧く一滴が重なり作品量は 百本の展示からスタートした。 そしてそれは毎年百本づつ数を重ね、今年当初意図した千本 の展示に至ったのだ。 旅をしてある地域に移住をし、根を張る。 北海道から欧州へ、千葉県から北海道へ。 風は流れ、風もまた根を張る。 ふたりそれぞれの、ふたりの風土創生。 ふたりの風の根が新たな風土を耕して、新たな耕土(カルチャー) を産む予感に満ちたサッポロの1月・2月と想える・・。 *高臣大介ガラス展「ヌㇷ゚サムメム」ー器展1月30日〈日9まで 2月1日ー6日インスタレーション テンポラリ―スペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き tel/fax011-737-5503 #
by kakiten
| 2022-01-27 18:03
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2021年 12月 28日
山スキーで使っていたストックを押し入れから持ち出した。 豪雪の凍てついた道を歩く為である。 柔らかい雪の路面と凍てついた路面の続く真冬の道を よたよたと歩く。 心臓、腎臓を患った三臓胞子の私に相応しい杖だ。 個展後の休養、売れた作品のお届け等に忙殺されるケン&アヤ に変わり会場中央の大きな作品解体を残し、花人村上仁美さん のオリジナル〆飾りの花屋が開店した。 稲穂本来の美しさを人工的な装飾で埋め尽くした現代の〆飾り に対峙する花人の〆飾りは、新鮮で好評である。 旧石狩河口沿いに遺る自然工法の単床ブロックを素材に再生 されたケン&アヤの奔放な作品を囲い込む様に〆飾りと花が 囲繞している不思議な空間となった。 今月末25日からは、2012年から始まった高臣大介のライフ ワークの集大成ともいえる「野傍の泉池」ーヌㇷ゚サㇺメム展が 始まる。 千葉県より洞爺湖畔に移住し雪と凍土の環境で自らのガラス造型 を追求してきた高臣大介の大きな節目となる個展だ。 谷口顕一郎と高臣大介は、テンポラリースペース円山北町時代から の友人同士だ。 図らずも年をまたぐ年末ー新年ふたりのライフワークが連なって 続く。 私もまた山スキーのストックを突きながら、何処かで人生上の 大きな節目に向かっているらしい。 ハミガキブログならぬヨチヨチブログをストックに、明年もまた 歩き続けたい・・・。 *高臣大介ガラス展「ヌㇷ゚サㇺメム」-1月25日ー2月6日 前期1月25日(火)ー30日(日)器展 後期2月1日(火)ー6日(日)インスタレーション テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き tel/fax011ー737-5503
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by kakiten
| 2021-12-28 16:34
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2021年 12月 19日
あっという間に最終日が・・・。 連日切れ目なく来場者が続いたと聞く。 出版されたばかりの、ケン&アヤの本「世界凹み旅」も 好調な売れ行き、作品も好評ですでに何点か購入された という。 不在がちな私に代わりケン&アヤは付きっきりで多忙だ が、嬉しそうだ。 2005年夏から2021年冬16年の歳月を経て ふたりの人生が故郷に戻って来た気がする。 今展示のメイン大作は、石狩河口に遺る明治初期の治水学者 岡崎文吉の川の蛇行を基本とした治水の遺構から立ち上げた 作品である。 この作品の立ち姿が朝・昼・夕・晩と実に美しい。 ショートカット重視の現代社会構造に対峙した近代治水学者 岡崎文吉の報われなかった人生を、深く讃える賛歌のように 花開いている。 交通インフラに凭れ負かった移動ではなく、ふたりだけの 稚内発サハリン経由シベリア大陸横断の陸路・鉄路の一ヵ月 の旅。 そのラデイカルな流れが今回の展示作品・初出版のふたりの 本に籠っている。 そして明治以降近・現代の時の中でショートカットされ続け 短くなった石狩川の核心を、生涯追求する故里の土を、ふたり は、風の根・土として獲得した気がする。 テンポラリ―スペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き tel/fax011ー737-5503 #
by kakiten
| 2021-12-19 17:04
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2021年 12月 12日
いつの間にか一ヵ月が過ぎた。 五臓六腑の二臓を患い、三蔵法師ならぬ三蔵胞子のように 漂っていた。 この間若林和美さんの纏祝堂藍染め個展のテンポラリー通信も打 ち込めず、優れた会場構成力については時改めて触れる積もりだ。 今月11日よりベルリンから帰国の谷口顕一郎・彩子展が 始まった。 2005年夏稚内からサハリンを経て、シベリア大陸を横断し ベルリンに滞在。その後欧州各国で表現活動を続けて16年。 風の土ではないが、故里札幌で久しぶりの個展のテーマは、明治 初期に北大農学校で治水工学を学び川の蛇行を基準とした 自然工法の学者岡崎文吉の茨戸に遺る単床ブロックをトレースし 立体化した彫刻作品である。 そして同時に2005年ともに旅立った奥さんの彩子さんの著に よるシベリア大陸横断日記とその後の今日に至るヨーロッパでn 活動記録を一冊にした本の出版記念展でもある。 このふたつの出来事は、正に風が土という根を得たケン&アヤの 大輪の花と私は感じている。 土という根を保たない、新旧・速遅を至上の価値観とする現代の 風文明。 その風潮に対峙するケンとアヤの風の根の花だ。 あらゆる分野でショートカット全盛の現代において、ふたりが 体現し表現した行為の記録・表現は、ふたりの故里という土に 今咲いている・・・と私は感じる。 ありがとう、ケン&アヤ・・・さん。 *「顕(ケン)&彩(アヤ」展ー12月19日〈日)まで。 テンポラリ―スペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き #
by kakiten
| 2021-12-12 16:24
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