2005年 12月 29日
朝から及川恒平の3月と6月のここでのライブ録音を聞いている。 今朝有線放送の設備は解除したから、自前のオーデイオに切り換えた から。太田ヒロさんの名録音である。ギター一本で及川さんが歌っている。 及川さんの声が、外の白い風景に流れていく。雪の世界に人も車も影のように 通り抜けていく。午後の曇天の空気は、陰を含んでいる。<こんなに寒いのに どうして池の中にいるの、見えない明日が見えたら怖いでしよう><凍える人と 凍える人が抱き合っても暖かくならない>京都の詩人萩原さんの詩を歌って いる。<あなたに暖かな体が戻ってきたなら肘も膝も二つに折ってぼくは 抱きしめる> 雪に合うなあ恒平さんの声は。<氷屋に道を尋ねているうちに 雨が落ちて雨が落ちて人の喪ははじまったー>ここでも氷屋は夏のイメージに はない。声の質が<北>なのだ。美唄出身で釧路育ちの彼には<氷>はやはり 北のものだ。ここで3月6月10月12月と4回のライブを聞いてそう思う。声の質 そう<原形質>なのだ。私もまた街の原形質を追いかけている。 それはアイデンテイーとかオートノミイーとかいうけれど、街の質なのだ。 サッポロオリンピックで道路拡幅され、今は冬はロードヒーテイング夏はお洒落な靴 が闊歩する舗道の下に祖父祖母、父母の血と汗が埋もれている。祖父の時代は 停車場通、父の時代は駅前通、母の時代は四番街と呼ばれた街に一軒の家が 眠っている。道が拡幅され拡大した分、天に直線状に底上げされた店舗群の街。 そこで街の質は、物が溢れ、人の流通量の大小に還元されていった。 私はその街から難民のように逸れて、円山北町で衣装を脱いだ。 年末のふっと振り返る時間に恒平さんの声に触発されて、去しかたを書いたなあ。 <過ぎし日に想い馳すー時代の片隅に忘れ去られ>(引潮ー及川恒平) <原形質>を追求すると過去もまた露出くるのだろう。 #
by kakiten
| 2005-12-29 17:54
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2005年 12月 28日
見えない川がどうの、さっぽろの地質がどうのとブログに記していると 地質学者か郷土史家みたいで、ある詩人に言われた。わたしは自分 の居場所も分からない。<魂の暗渠>よと。なるほどな~。でも詩的 ではあるけれど、私的に閉じてしまう。詩は詩でも<志>として開くのも 詩ではないだろうか。立場がそれぞれだから、チャンネルの違いという事 と思います。 今日午前11時執行官来る。正式に強制執行告知書渡される。 明年1月29日まで明渡しの文意である。 とうとう本当に期限が決まった。 私的に閉じてはいられない。開かなくては! それが私の立場です。閉じる事は自死を意味する。 死は<死に場所を探す>という、<生>の場所を意味するのだ。 もうひとう<死>の話。-死に目に会うーという。親しい家族 を主にいう言葉と思う。じゃあ<生き目に会う>と思う。いい仕事 困難な仕事をやり遂げた時その人間の<生き目>に我々は 立ち会う。このブログで取り上げた及川恒平さん、ドイツのケン、 ガラスの大介きっと彼らの仕事は、ここの場所ギヤラリーで いい仕事をし、その生き目に僕らは立ち会ったのだ。そう思う。 私が<志>を想いここで敗北しながらもなお自らの生き目を 見せる為に閉じようとしないのは、その謂だ。 今日は白い闇のように雪が間断なく降っている。 細かい雪、視界が閉じている。 白い暗渠かな。 #
by kakiten
| 2005-12-28 12:55
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2005年 12月 27日
青空が広がり、白と青の世界。雪で空気も洗われたよう。 雪掻き。 息切れなくなる。気管支炎回復しつつある。 雲ひとつない青空、暖かい陽射し、歩きたい。 冷氣を含んだ澄んだ空気を呼気、吸気。 ツンと頭の芯で感じながら、スゥハア、スゥハア。 体が暖まりだす。山が近づく。影ができる。寒くなる。 木々の影が濃い。風で梢から雪が落ちる。鳥が飛ぶ。 いつのまにかカンジキを履いている。足跡がモンスター のよう。立ち止まり空を見上げる。梢の網目。 空に向かって梢は光という水を求めて根を張り、 根は水という光を求めて地に梢を伸ばす。 天地がシンメトリーにつらなる。天地が呼吸の中にある。 かって歩いた時の記憶が一瞬幻想のように訪れた。 冬は雪で天地が梱包され、本質だけが骨格だけが 立ち顕われるときがある。クリストの作品のように。 #
by kakiten
| 2005-12-27 15:09
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2005年 12月 26日
昨日から吹雪。風もある。街はグレイがかった白い世界だ。 <玄冬>を思い出す。赤はないなあ。信号機の色くらい。 心臓のエコーをとりに国立西病院へ行く。初めて。いろいろ 出てくるなあ。悪いものが。でもあまり意識はない。心臓は 強い方と思っているから。昨日鴨鴨川沿いをまた探索。 官のゾーンの基点のひとつと改めて思う。道議会議長公宅 札幌市の土地、道立南高等学校と<公>の土地が大半を 占めている。伏古さっぽろ川の痕跡を、地質図でみると中心 部から中央郵便局の斜め通りにばあ~つとつながる。 <伏古札幌川浪漫>パラト(茨戸)までいつか流してみたい 直線と対峙する曲線のガイア。そこからもう一度さっぽろを みたい。復元はできないけれど、再生はできる。それが文化 の役目と思う。その拮抗が文化力だ。直線は暴力そして権力 ここ円山も直線の<住>の街。路もまた。路地裏が沢山あった なあ。山鼻ー中島公園のゾーンには。寂れているけどしぶとく 残っている。川の澱みのように、魚のようにほっと息ができた。 街にも界隈というアナログな澱みは必要と思うのです。 今日は心臓のエコーのように、とりとめなく原則的なお話ですね。 #
by kakiten
| 2005-12-26 16:57
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2005年 12月 25日
洞爺のGLAーGLAガラス工房の高臣大介さんより熱い電話くる。12月 21日のブログ読んでのことである。<1月展覧会できるじゃあないですか! 最後やりましようよ!>千葉県出身の彼が、最初にぶっかった難問が 冬であり最初に乗り越えたのも同じ冬だった。ガラスという透明で熱い 物体を創る人間にとっても、冬は雪と寒さによって厳しい条件として、 生活に襲いかかった。暖かい夏にガラスは、涼しげである。冬はどうだ。 世界がガラスのように澄み、透明になる。ガラスは寒く冷たくマイナスに 思え、スタッフも冬に恐れをなし去っていった。一度は千葉へ帰ることを 考えた彼は一番きつい時に逃げ出すとはどういう事だ!と父上に怒られ 再び仕事をひとりで始めはじめ、その年の冬私の2階のギヤラリーで 初の個展を開く事になる。昨年の2月のことである。2階の窓にツララが 下がりそれに沿うように吊りのガラスが100本程並ぶ。彼の作品はすべて 透明な作品でその為外光が朝昼夕と作品に取り込まれ、窓際と室内が 一体となって外からの雪明かりともに冬ならではの、ガラスならではの世界 が出現したのであった。吹雪、晴れ、曇り、天候も一日の光の変化もすべて あるがままにガラスは映し、そして美しかった。また2週間で500ほど集中 してつくられた作品には勢いがあった。この個展で彼は北の冬を克服した のである。そんな彼がここの最後に個展をやるという。うれしかった。 そして頼まれてDMの文章を書いた。 あふれる熱いものが、結晶するように いま透明な形象が、想い思いの姿をして ここにある そして透明な想いの形が 再び溶けて 未知の無名の姿をして溢れ出す それが 純粋であるゆえの必然ならば さらに再び結晶する為に 喜んで今を去り 明日に溢れていくだろう 高臣大介のガラスとともに このギヤラリーが 最後の時間を過ごすこととても幸せに思っています 25年の結晶の時に心より感謝いたします。 2006年1月 白樺の時間とともに・・・器のギヤラリー中森 こんな文章とともに来年1月10日から一週間 GLAーGLA高臣大介展が始まる予定です。 皆さんよろしく #
by kakiten
| 2005-12-25 13:24
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