人気ブログランキング | 話題のタグを見る

テンポラリー通信

kakiten.exblog.jp
ブログトップ
2021年 09月 05日

三つの里ーメタフイジカル放浪(5)

久しぶりに徒歩でテンポラリーへ向かう。
途中界川遊歩道に入る辺りで、非常に攻撃的で
威嚇するようなカラスの鳴き声が頭上に響く。
以前から気づいてはいたが、よたよた歩く今は
以前より気になった。
そしてふっと同じカラスの鳴き声を唄った童謡
を思い出した。

 カラス 何故鳴くの
 カラスは山に
 可愛い七つの
 子があるからよ

 可愛い 可愛いと
 カラスは啼くの
 可愛い 可愛いと
 啼くんだよ

 山の古巣にいって見て御覧
 丸い眼をした
 いい子だよ

そういえば山里に住むより、街に住むカラスが
増えているようだ。
夕焼けの空を穏やかにカァ~カァ~啼いて帰る
カラスを最近は見かける事がない。
山里が故里ではないからだろうか・・・。
今は人里に帰巣して行くから、油断なく警戒の
啼き声に変わったのだろう。
しかし故里喪失は何もカラスだけではない、人も同じ
<里>喪失を生きているのが現代という時代だと思う。
山里ー人里、その間には、<故里>という界(さかい)
の里の存在が在ったと思う。
人から見て<里山>という存在だ。

 兎追いしかの山
 小鮒釣りしかの川
 夢は今もめぐりて
 忘れがたき故里

この共生空間こそが、人里ー山里の間に界(さかい)
空間として近代の初めまで存在していたと思える。
その豊かな界(さかい)空間を擦り減らし、変え、
今日のいわゆる現代とやらが存するのだ。
街路を奔る土石流、燃え上がる森林火災、・・・。
里海という海の故里も、水と森の界(さかい)に
豊かさを喪失しつつある。

空ではカラスが威嚇し、森からは熊が威嚇し
地球全体がその自然の野生を露わにしつつある時代。
それを現代などと、本当は言いたくも無い・・。

 テンポラリ―スペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011ー737-5503
 
 


# by kakiten | 2021-09-05 16:26 | Comments(0)
2021年 08月 31日

死の匂いーメタフイジカル放浪(4)

自然な事なのだろうが、心臓。腎臓の病を得てふっと時々柔らかい死の匂いを感じる時がある。先日心臓弁膜症のカテーテル手術を終えた時入院中三回の食事の毎食同じような味付けに飽きている無意識な自分がいた。まだリハビリーの治療が残っていた時だったがふっと毎朝自分で工夫した自分の手料理を思いだしたのだ。あの食材、あの味付けで、フランスパン、紅茶と味ってみたい・・。よしそうだ、食材を買いに行こう!そう思い立っと、病衣の上に背広の上着を羽織り病院を出た。何故か警備の人に咎るられる事もなくすっと外に出たのだ。それから初めて乗る地下鉄の駅まで、結構な距離を歩き南北線に乗り東西線に乗り換え円山公園駅へ。そこでいつも購入するスーパーに入り、いつもお好みの食材を購入した。ここまで誰からも不審の眼で見られる事無く来たが最初の新道東駅へ向かう途中ひとりだけ入院中の病院の看護師さんと思しき女性から、あれっ、その病衣はうちの病院の物でありません・・・?と訝る不審の声をかけられた。私は一瞬はっとしつつも、顔を斜め上向きにして”男はたまにこういう事あるさ・・・”と嘯いてやり過ごした。病衣の上にたった一着の背広の上着えを着ただけで一番繁華な乗換駅、円山のスーパーと何を咎められる事なく目的を果たしたのだ。そこでふっと気になり、Мさんに電話すると、病院では無断外出、捜索願いと大騒ぎよ、と聞かされた。こりゃ、やばいぜ・・と、急遽タクシーに乗り戻る。ところがこれが、三千円以上も懸かり持ち合わせなく頭を下げ差額分は振り込む事で了承して頂いた。病室に戻ると看護士さんたちが心配して集まってきた。私はお詫びに事情を話し、購入した惣菜を広げお詫びに皆さんの好きなもの差し上げます・・・と提案したが誰も手に取る人はいなかった。今あの時の事を振り返ると、非常に単純な私の生への生還エネルギーだったような気がする・・・。関係者には迷惑をおかけし、心配をかけ申し訳ない気持ちだが、食を媒介にした生への執着・エネルギーが招いた愚行としか言いようがない・・・。この後間もなく、私には退院証明書が発行され退院となった。

テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011-011-737-5503


# by kakiten | 2021-08-31 16:22 | Comments(0)
2021年 08月 28日

深い空・森ーメタフイジカル放浪(3)

体調を崩してから車に乗せてもらう時が多くなる。
透析治療の週三回の通院・帰院が主たるものだ。
何時の間にか街はすっかり車社会に変貌している。
私の記憶に遺る道沿いの建物はほとんどがビル化
し、道幅も拡張され、両脇の建物には横文字の
看板と高層ビルが連なっている。
そして気付いた事は、前方車窓に広がる空の広さ
深さだった。道幅が車用に広がった事で前方の
見通しが良くなり、空が窓一杯に広がるのだ。
同じ発見をコンビニの前の駐車場でも経験した。
ビルの間に一階建て低層のコンビニ。
その前に広く占める駐車場。
そこで助手席に座り、買い物を待つ間に見上げた
窓一面に広がる空。
ああ、空は広さ、深さの中で、雲の変化、陽光
の変化を眼なみなみに受け止めるのが良い。
街は何時の間にか、歩く街から高層ビルと高速
道路の織り成す構造になっていた。
天空にも地下にも地上にも歩く位相は移動の位相
へと転位している。
山裾の森も山の深さ、高さに連なるもう一つの
緑の空なのだが、その裾野を削り、裾野に湧く水
の流れ/川を暗渠化し住のパック高層マンション
・高速道路を天地に曼延する。

病院通いが日常化し、僅かな知見の裡に感じた
風景の変動が地球規模で日々進んでいるなら、
地球生物の一種・人間が他の多くの種の地球の
生の場を侵略し奪取を続けているのだ。
そして、空さえ、山さえ、海さえも・・・。

テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011ー737-5503






# by kakiten | 2021-08-28 17:27 | Comments(0)
2021年 08月 22日

ドイツベルリンから帰国ーメタフイジカル放浪(2)

入国時2週間の隔離期間を経て、谷口顕一郎・彩子さんが
札幌に帰郷した。
20年ほど前札幌から稚内ーサハリン経由して陸路で
欧州を目指しドイツベルリン拠点に欧州で活躍している
これまでの記録を札幌かりん舎から出版する打ち合わせで
帰国したのだ。
当時サハリンから二人だけで陸路をの旅を詳細に日記で
残した彩さんの文章とドイツベルリンを拠点に欧州各国で
活躍したその後の記録とともにケン&アヤの共著として
出版される事になる。
その最終打ち合わせが今回帰国の目的である。
そしてその出版記念を兼ねて久しぶりにテンポラリ-スペース
で二人名で個展を開く予定だ。
コロナ禍で伸びていた帰国を今回は3,4ヵ月滞在し
ふたりの人生の節目ともなる時間を過ごす事となる。

20年程前未婚のふたりが欧州へ行きたいと相談を
受けた時、折角北海道から志して欧州へ向かうなら
稚内から狭い海峡を渡り陸路でシベリア大陸を横断し
欧州へ向かうべきだ、と提案したのは私だった。
そしてふたりはそれを実践したのだ。
飛行機に拠る移動とは違い、アジア圏から欧州圏への旅は
ふたりにとっても大きく深い経験となったと思う。
その一端を彩さんがドイツ・ベルリンに居を構え1年後に
書き表した日記に読む事ができる。
陸路の旅を通して彩さんの深化・成長がくっきりと読み取
れるからだ。
旅の写真とその文章を読み、観念ではなく人間としてふたり
がひとつの志を抱き旅する姿は、私に何時かケン&アヤという
イメージを作品作家名にしたらどうかという想いを抱かせて
いたのだ。
その想いにふたりが応えくれた。
もう観念だけの男女平等の時代ではない。
人類はこの地球上の多様な生物の一種として、正念場を
迎えつつあるからだ。

テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
tel/fax011ー737-5503



# by kakiten | 2021-08-22 15:17 | Comments(0)
2021年 07月 11日

二臓器を病むーフィジカル放浪(1)

久しぶりにブログ更新。
五臓六腑というけれど、腎臓・心臓の二臓が病んだ。
ふらつき、目眩、低血圧が続き、転倒三回と散々な
冬だった。
太股の血管から細い針金を通し、直接心臓の弁膜を
治療する手術が上手くいったようなのだ。
弁膜が正常化して次第に血流が良くなる。
コロナ禍でギャラリー展示も中止・延期が続くのと
重なり、ブログログ更新・無展示続いた。
現在の場所で15年。
疲れも重なっていたのだろう。
今月末ドイツ在住の谷口顕一郎・彩子夫妻が
帰国し二週間のコロナ隔離を経て初の顕&彩
名の個展を催す予定だ。
この時併せて稚内ーサハリン経由で欧州を目指した
ふたりの旅日記も出版される予定だ。
アジア圏から欧州へ、そしてその後の欧州各国での
活動も収録され充実した本ともなるだろ。
出版は札幌のかりん舎が引き受けてくれた。

二臓を病んだ私もここは頑張らねばならぬ・・。

*花人・花や展ー未定
*高臣大介ガラス展ー未定
*顕一郎・彩子ー谷口展ー9月以降

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011ー737-5503
 





# by kakiten | 2021-07-11 18:33 | Comments(0)