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テンポラリー通信

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2019年 03月 31日

個という細部ー時代というランド(38)

福島・浪江の原田洋二さんのお彼岸帰省文を読んで
ここも間違いなく現代の最前線にして最後尾と感じる。
いつも見えた海、倒れた墓石に潜む無言の声。
住む人、生活する人の消えた町角。

経済優先で住人の消えた大都会のタワービル街。
プラザという名でビルに囲い込まれ消えた裏通り
・中通り、道路の空白。
一見原発被災地の静寂とは関係ないようだが、自然と人
の本質的喪失という点で同じものを感じる。
人も物も自然も、物流経済主体の最新・最速回路が
支配する結果の風景なのだ。
国家という人間社会構造の安心・安全・独立維持の為
の米軍基地集中の沖縄。
経済という人間社会構造の安心・安全・流通の為の
エネルギー基地の東北・福島。
自然を埋め立て、住む地を追い払い、最新・最速の
疑似最前線を爪先の位置重視で優先させ、最後尾の
人間の心の歴史の踵の位相を喪失させてきたのだ。
蟹の縦歩きのように醜い速足で物溢れるスーパーへ
職場へと向かう都市の老若男女の爪先刃脚。
地下電車も動く階段・昇降機もその爪先速度をさら
に増幅する。
踵に繋がる自然という環境はなく、人も物も物流
の最速・最新さの基準を競って成立する。
根や土壌、プランクトンや海流という自然の踵の
位相は忘却され不在である。
事前・自然が次善以下となり、事後・自己が優先する
社会構造物流主体の現代社会の歪み。
その最前線がオキナワであり、フクシマであり、最後尾
の踵が活きている場処に露わだ。
踵の思想を無くしつつ、物流本質ー最新・最速、最後尾
切り捨て、前のめり、その結果が自然と住む人間の歴史
を、爪先・先端都市内でも、踵・海・山故郷内でも、個と
いう細部にも、明るい廃墟を生み、拡がりつつある時代だ。

*八木保次・伸子展ー4月9日(火)ー21日(日)
 am12時ーpm6時:月曜定休。水・金午後3時まで。

 テンポラリ―スペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503


by kakiten | 2019-03-31 16:28 | Comments(0)
2019年 03月 27日

熊SAN倶楽部ー時代というランド(37)

山里稔氏の労作「北海道の木彫り熊」(かりん舎刊)出版時に
結成された熊SAN倶楽部。
昨夜久しぶりに集まる。
山里さんの本業現代美術造形家としての作品展と古今の様々な
蒐集品の展示、さらに新たな木彫り熊のコレクションが一堂に
展示された創成川東方某所での展示会に倶楽部の会員達が昨夕集ま
ったのだ。
日曜日、沖縄への豊平作品梱包発送準備と展示終了の疲れからその
日爆睡し約束を違えた竹中英俊氏も誘い、出席した。
竹中氏にはこの日日曜日に見せれなかった豊平さんの作品一部を
現物で見せる事ができ、喜んでもらう。
今月も北大出版会指導・助言の仕事で来札した彼は、恒例の古書持参
で今回は2百年前の本居宣長の和綴じ本と文庫本の原型となった大正 
時代の和・洋本だった。
竹中氏の紹介がてら、二種の和本をみんなに見せ説明をしてもらう。
両手で広げ、捲る事でより丈夫になる和紙の書物。
その軽やかでしっとりした書物の感触を、木彫りの熊とはまた別の
紙の感触をみんなが感心して楽しんでいた。
多少黄ばんではいるが、2百年の時を感じさせない両掌に伝わる
触感である。
山里さんの熊コレクション、竹中さんの和綴じ本コレクションと
種類は違うが、時代を超えた本物の保つ手業に心が一致して、場は
大いに盛り上がった。

札幌ビール工場近く、創成川運河にも近い明治の札幌文明開化の地
で、時ならぬ文化の交流が楽しく花咲いた気がする。
岡崎文吉終焉の地茅ケ崎から来た竹中英俊氏。
その事実を岡崎文吉展を以前に企画した市役所のYさんにも紹介し
多いに盛り上がった事も嬉しい一事だった。

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by kakiten | 2019-03-27 14:25 | Comments(0)
2019年 03月 23日

寒の戻りー時代というランド(36)

朝、ヴェランダのカーテンを開けると、外は真っ白な雪銀世界。
沖縄へ作品を梱包する日。
藤倉翼さん、村上仁美さんに手伝ってもらい慎重に準備する。
午前11時テンポラリーに集合。
地上に積もる雪、そこから反射する光に、作品たちが最後の
輝きを放っている。
銀世界からの見送りだ。
翼さんが撮影用具を用意していた。
この光の中で一点づつ素早く撮影している。

撮影終了後購入予約作品数点を始めに梱包開始。
手際よく藤倉、村上コンビが梱包。
私は壁に打ち込まれた作品固定の板を抜き始める。
見えないこの支えの板が、豊平さんらしく、実にしっかりと
釘二本左右両端に打ち込まれていて、簡単には抜けない。
黒の背後版と塗色された亀裂部分を併せると8キロあるという。
しっかりと作品を揺るがないように支える。
こんな処にも作品への手を抜かない作家の強い意志を感じた。
三時間程懸けてほぼ梱包終わる。
入口の一段高い床に腰を下し休憩した。
コーヒと煙草を吹かし翼さんが寛いでいる。
私も腰を下し、縁側の日向ぼっこ状態だ。

作品と顔を会わすほんとの最終日に、白い大地と午後の陽の
光に包まれて、作品をこよなく愛する三人が抱くように梱包した。

また逢おうぜ、南の魂たち・・。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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by kakiten | 2019-03-23 17:20 | Comments(0)
2019年 03月 21日

ひといき、ふたいきー時代というランド(35)

まだ大事な返送・梱包が残っているけど、展示の緊張は
解けて疲れが出る。
結果として10年かけて、一仕事という充実感もある
疲れだ。
年末から年始に尾道の船大工を生業とする彫刻家野上
裕之さんのこれまでの節目となる個展。
年明けて網走で漁師を生業とする画家佐々木恒雄さん
の新たな展開を予感させる滞在製作の個展、恒例の冬
のガラス展高臣大介さんの長年のテーマ氷柱への真っ
向からの挑戦・インスタレーション展。
そして沖縄で20余年公開されていない魂の作品群、
豊平ヨシオ個展と続いた。
豊平さんの作品とは、2009年2月の初訪沖以来昨年
2018年4月二度目の訪問で互いに熟成するかのように
やっと実現した展覧会である。
これは作品の保つ深く純粋な力が、実現させたといって良い。

この4ヵ月の4作家四つの個展は、どの個展も深い力を見る
者に与え、心を通わせたものだった。
そしてその力は作家自身のこれまでの人生と深く関わりなが
ら、見る人の心を動かし、それぞれ個々の生きる原点のよう
な部分と響き合い継続するものだったと思う。
優れて作品とは、時代・環境・世代を超えて、血液のように
脈打つ魂の眼差しのようにある。

凍てつく北海道・札幌、真冬の4ヵ月。
熱い魂の燃える4ヵ月でもあった。


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by kakiten | 2019-03-21 15:15 | Comments(0)
2019年 03月 18日

名残り雪ー時代というランド(34)

朝、ギャラリーに向かう。
途中雪が舞ってきた。
名残り雪だな・・。

豊平ヨシオ展最終日。
久米淳之さんの展覧会評の新聞効果もあるのか、
未知の訪問者が目立つ。
某ギャラリーの長老も見えたようで、近々沖縄へ行くので、
作家を紹介しろ、と言ったと後で聞いた。
さすがヴェテランの長老、目が早い。
でも成った実だけ漁るのは卑しいぜ。
カルチャーは、原義・耕土。
足元を耕すー見えない持続の時を省いて、沖縄へ行くから
ついでにでは、少し安易・性急すぎる気がする。
まあ、それだけ豊平作品に感動した所為だろう・・・が。

二度見に来てくれる人も目に付く。
2階吹き抜け回廊にずっと座り込み、作品のひとつを眺
めていた婦人。
旦那さんの方は下の縦に亀裂一本の作品が気に入ったようだ。
二度目の訪問で、ふたりは結論を出そうと来たのだろう。
しかし旦那さんの気に入った作品は、旭川の大学に勤務する
Nさんが予約していた。
Nさんは、東京の大学院生の時最初の訪問で、先の高臣大介
ガラス展に続き、今展示にも熱く感じる処があったようだ。
作品を選び購入する事も、個の内側のドラマを感じる事がある。
豊平ヨシオ展では、特にその傾向を強く感じる。
作品に内蔵されたドラマは、見る人間のドラマをも生む。

結局2回回廊ベンチに長く座っていた夫婦は、黙って帰って行く。
帰り際私の顔を見た奥さんの何かを訴えるような目の表情が
心に残る。
他の訪問者と話が切れなかった為、傍で話せなかった悔いが
後から日暮れの斜光のように心に残った。

 テンポラリースペース 札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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by kakiten | 2019-03-18 13:37 | Comments(0)
2019年 03月 16日

雪が降るー時代というランド(33)

豊平ヨシオ展終了前日の土曜日雪が降り、うっすら積もる。
沖縄のアトリエで20年近く外に出た事の無かった作品たち。
今回展示のイメージに最初にあったのは、この雪の光の中で
見る事だった。
地上に降り積もった雪明りの反射で、浮き上がるように
南の青たちが中央の亀裂と共に在る事。
その想いが叶っている。
そして一昨日の14日木曜日北海道新聞夕刊に、自ら志願
して申し込んだ久米淳之さんの豊平ヨシオ展評が載った。
北海道立近代美術館学芸員、道立函館美術館学芸員を経て
現在道教委文化財・博物館課に居られる方である。
先週豊平さんがまだ在留時見えて、作品に深く感銘し新聞に
書く、と言って興奮していた。
私が挙げた旧知の道新の方を知っていたのか、即その記事は
実現したのだ。
率直にかつ素直に久米さんの作品の前での興奮が伝わってく
る文章である。
以下に引用してみる。

 青の亀裂に切なさ、哀しみ

沖縄の現代美術家、豊平ヨシオの作品展が開かれている。
青、蒼、碧、様々な青の長方形板が、等間隔に壁面に並ぶ、
静謐な空間。青の美しさにまず惹かれ、歩を進めて一点に
対峙すると、画面に引き裂かれたような亀裂を見つける。
再び全体を見渡す時には、自身がいいようのない切なさに
包まれていることを感じる。
縦100センチ、横50センチの板が、割られて亀裂のある
状態で青く塗られ、会場の壁面を取り囲むように21点が並ぶ。
黒い背版から浮き上がり、亀裂の奥に暗く深い空間が創り出さ
れている。触れると刺さるような、捲れ上がった亀裂の向こう
側に、哀しみや痛みが閉じ込められているような気配すら
感じられる。
豊平の拠点とする沖縄という地名からは、その歴史性や政治性
、現在の社会状況を想い起こさずにいられない。
しかし、青の亀裂は、問題の具体性を超えて、切なさや哀しみ
という、ひろく私たちの心に通じる感情を、力強く湛えている。
青の色と亀裂のみの、単純な仕掛けが、多くの感情や物語を、
直裁に人に想起させるのだと思う。豊平の青に、沖縄の海や空を
感じる事は否めない。あまりにもきれいな、澄んだ青だからだ。
しかしその裂け目の奥から聞こえてくるのは、北や南、個別の
社会ではなく、生きていく人間の行為についての問いかけなのだ、
と思う。

今回初めて出会った久米さんが、書いてくれました。
初めて今日、作品たちは雪の白い光を浴びています。

豊平さん、そしてまだアトリエに残された作品たちに、
ご報告です。

*豊平ヨシオ展ー3月17日まで。・・・来週後半までまだ見れます。
 am12時ーpm7時:月曜定休。

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by kakiten | 2019-03-16 12:59 | Comments(0)
2019年 03月 14日

琉球―沖縄:豊平ヨシオー時代というランド(32)

豊平さんに急ぎ送ったフライヤーが多過ぎたのか、
こちらのフライヤーが無くなっていた。
帰沖した豊平さんから、残ったフライヤーが速達で届く。
このフライヤーに記した私の文を載せてみる。

     最前列にして最後尾ー豊平ヨシオの画業

明治・大正・昭和前期の大和世(ゆ)、昭和後期のアメリカ世(ゆ)。
近代日本沖縄は常に最前列に存在した。欧米列強に対峙した帝国主義
の時代。そして戦後米軍基地の7割を小さな身体に引き受け、安全・平和
・独立の最後尾にして最前線、最前線にして最後尾の位相を今も保つている。
美術家豊平ヨシオの画業は、」その現実に真正面から向き合い、沖縄の青い
海と空、引き裂かれた風土と社会を自らの身・心そのもののように、20年余
深い青と亀裂だけで刻んでいる。今回初めて沖縄の丘の上のアトリエから
真っ白な北の天地に作品たちが姿を現わす。日本列島の北のエッジで、南の
最前列にして最後尾の日本近代は、いかなる立ち姿を顕すのか。
作品の前に立つ全ての人に、それは委ねられ抱かれてある。

製材の杉板を、踏み割り、咲いて、並べ、深い亀裂を見せる。
玉飾りのように小島が連鎖している=琉球。
沖の縄ー沖縄。
この歴史の背後には大和世(ゆ)の近代はアメリカ世(ゆ)
と重なり今も続いている。

振り返れば、最前線にして最後尾 背後には黒々と街の火

 *豊平ヨシオ展ー3月17日(日)まで。
  am12時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き




by kakiten | 2019-03-14 18:43 | Comments(0)
2019年 03月 13日

南風去って、雪が舞うー時代というランド(31)

作品だけとなった今週、全道的に冷え込む。
場所によっては、吹雪という。
不思議だなあ、豊平さん、おふたりが帰られた3・11.
そこから北海道は、また冬です。

杉板にあなたが身体を駆使して刻んだ亀裂たちが、沖縄の
海、空の青に埋もれ顕れて、今日も静かに呼吸しています。
内なる心の、どうしようもない叫びのように、20年余孤高
のアトリエで独り刻み彩づけてきた作品たち。
北の冷気の中で、新たな命を刻んでいます。
2009年2月、初めて訪れた沖縄のアトリエ。
その夜興奮冷めやらぬまま、たまたま同席した居酒屋の慶応
大学卒業間近のℍ製作所入社決まったO君に私は熱く声を
掛け、語ったのだ。
沖縄に来てこの人の作品を見ずして浮かれていてはいかん。
その言葉に触発されるようにO君は、豊平さんのアトリエ、
自宅に2,3日逗留したのだった。
後日彼が私に告げてくれた言葉。

3歳の頃父と別れ、その事がずっとトラウマのように心に
住んでいた。その心の見えない亀裂が、自分の一番惹かれた
作品の前に立った時、訳もなく涙が零れ、心の防御の壁トラ
ウマが消えてゆくのを感じたのです。

作品は、沖縄から発し、豊平ヨシオの全身全霊を経て、一青年
の心の亀裂にまで至ったのだ。
南の端、北の端。
日本列島の南北のエッジで、これらの作品たちはO君の心と
同じ響きを発している。
同時代の深処に届いている。
場所や世代、状況や性別を超えて、今を生きる同時代の深処。
その亀裂がこんなにも親和力を保ち、切ないまでに語り掛ける
のは、一作家の孤高の純粋な呼気吸気、身体が生み出している
からだ。
14色の青、それぞれに一色に塗られた杉板。
そしてさまざまな深い亀裂。
南の島、サンゴ礁の海と空。
時と共に変化し存在するその色彩。
切り裂く人間社会の亀裂。
それらが個の心の深処まで、時を超え状況を超え、響く、沁みる。

優れた作品とはそういうものだなあ。
あっ、雪が降ってきた、たくさんの雪片が舞ってきた・・・。
北の冬が戻って来た・・。

*豊平ヨシオ展ー3月17日(日)まで。
 am12時ーpm7時;月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き 
 tel/fax011-737-5503


by kakiten | 2019-03-13 13:59 | Comments(0)
2019年 03月 12日

作品は残り、作家は沖縄へー時代というランド(30)

3月11日豊平ヨシオさんご夫妻沖縄へ帰る。
作品だけは未だしばらく展示で残る。
滞在中様々なドラマがあった。
作品と共に、その思い出が創られていった。

ガラス作家高臣大介の奥さんさっこさんの作品購入。
ノバラちゃん誕生間もない中での決断。
その気持ちが心に響いた。
その夜大介さんと初めて会う豊平さんの奥さん彩さん
の素の心姿。
”あんたは沖縄に合うわ、来てよ、一緒に踊ろう”
きっと大介さんも嬉しかっただろう。
そしてこの日も来てくれた登山家の中川潤さん。
”豊平さんを応援するのには、俺、買うしかないなあ”
と言って3回払いでと申し込んだ。
中川さんとは、2009年2月一緒に沖縄へ行った仲である。
その時の珍道中は今も忘れない。
そして彼らが来る前、東京からこの展示の為に来てくれた
大塚君。
今年10月札幌に帰り、独立する予定という。
その時の為に一点を欲しいと言う。
一緒に来た恋人はある作品の前に立ち、不意に涙が止まらない。
そういえば、ふたりが心を揺らした作品の色彩は、大塚君が
久石ソナの名で世に問うた処女詩集「航海する雪」の表紙写真
夕暮れの海の色。
道新文学賞受賞した処女詩集とも重なるのだ。
昨日の最後の夜、新聞社のI氏が来て、豊平さんへの深い敬愛の
気持ちと共に私も好きだった一点を選んだ。
実はこの作品、作家も心に留めていたらしい。 
さらに他の作品数点を含めて札幌での某場所での公開展開の抱負
を熱く語った。

3・11帰沖前夜、作品と作家夫婦は新たな出会いの確かな心
を抱いて、青い亀裂の新たな旅に立ち会っていた。
20年余孤絶したアトリエの中で、ひたすら刻み続けて来た
作家と作品。
そしてひたすらその生き様を支えた彩さん。
青い亀裂の旅立ち、出会いの札幌だったでしょうか・・・。

*豊平ヨシオ展ー3月17日まで。
 am12時ーpm7時;月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
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by kakiten | 2019-03-12 15:06 | Comments(0)
2019年 03月 09日

亀裂は語るー時代というランド(29)

展示が始まって明日で一週間が過ぎる。
豊平さんご夫妻と共に良い時間が流れる。
そして作品たちがひとつづつ、否一人づつと言うべきか
語りかけてくる。
様々な青の色彩を板に塗り込み、その中央に様々な縦の
亀裂を自らの手足で刻み込んだ作品たちは、沖縄の丘の上
のアトリエで見た時は百余点の圧倒的迫力に満ちていた。
しかしここでは、一点づつがそれぞれ固有の表情を見せれ
言葉を発している。
亀裂は亀裂なりに、ここでは憤怒を落とし、肩の力を抜いて
寛いでいるかのようだ。

風土という人間社会と自然世界の共生空間。
沖縄の、圧倒的な海と空に囲まれた島という郷土。
その豊かな世界に国家という人為的な社会区別・差別
が世界を引き裂く。
大和世(ゆ)そしてアメリカ世(ゆ)。
琉球国から沖縄県へ。
玉飾りのように小島が連鎖している様子を表わした名が、何故
沖の縄のような名に変わったのか。
沖縄の深い亀裂の歴史は、この名前の変換明治の近代化・西洋
化と共に始まっていたように思う。
”沖縄は基地と観光だけです・・・。作品はたくさんあります。
ただ眺めています、見に来て下さい・・。”
2009年2月、この咽ぶような言葉に初めて訪れた沖縄の地。
日米戦争時最前線の痕跡、そこを縫うように琉球時代の歴史的
な遺跡群。
そして日米安保に基づく米軍基地の7割が集中する現在社会。
南の島の豊かな自然。
その風土と歴史を切り裂く人間世界の亀裂。
その傷痕に真正面から向き合い、対峙し、青と亀裂だけで
表現し続けた無言の表現者。
豊平ヨシオのここ20余年が、今北の冷気の中でふっと
寛いでいる。
亀裂もまた微笑んで、日々親しみを送ってくれる。
この一週間は不思議な一週間だった。

来週沖縄に帰るおふたりに代わり、今度はどんな表情を
作品たちは見せてくれるのだろうか。

*豊平ヨシオ展ー3月17日(日)まで。
 am12時ーpm7時;月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503




by kakiten | 2019-03-09 12:18 | Comments(0)