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テンポラリー通信

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2014年 12月 05日

陣中見舞いー透析・師走(4)

オープニングとは別に個展前の陣中見舞いに吉増さんが来る。
病状を気遣っての事である。
幸い通院しながら展示は予定通り進めている。
河田氏、中嶋氏、酒井氏の力添えによる処が大きい。
しかし展示はこれからが本番だ。
先ずは過剰なる額装作品は百枚もあるので返送せねばならぬ。
草稿を裏表見せる会場構成がまた大変だ。
そんな中の吉増さん来訪である。
個展前の嵐だ。

自宅マンシヨン駐輪場が来週から冬囲いするので闘病中画廊に
置いてあった自転車を戻しに久しぶりに昨日自転車に乗った。
病院に行く前の体調悪い時以来だが今も速度が出ず、ふらふら
と危ない運転だ。
速度が出ないので僅かな傾斜にも苦労する。
何とか駐輪場に自転車を入れほっとしてふらつく。
何事にも遅速で拙速が危ない。
自転車をスイスイ飛ばし、早足で韋駄天と呼ばれたのは
遠い昔のようだ。
今はスピードが敵である。

見えない川の探索から始まった私の人生は、今は内なる水と
の闘いが生命の境界線にある。
冬の臓器、水を司るミコト・腎臓と向き合っている。
体内の幾多もの臓器は恒星のように体内を巡っている。
臓器にも四季があって腎臓は冬の臓器と呼ばれるらしい。
心臓は差し詰め夏の臓器だろうか。
肝臓は秋だろうか。
肺臓は春の臓器だろうか。
身体宇宙に心が及んで、そこから見る外界は今までより緩い
速度で世界が見える。
身体内の宇宙を経由するからだ。
内なる冬と外なる冬がゆっくりと呼応して「水機ヲル日、・・」
本番前である。

*吉増剛造展「水機ヲル日、・・・・」-12月9日(火)-1月11日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2014-12-05 13:09 | Comments(0)
2014年 12月 04日

嵐の前ー透析・師走(3)

岩手の美術館より額入りの吉増作品が大量に送られて来た。
会場は満杯。
岡本小百合さんからのアクリル額の送荷もあり、額も作品
も少し過剰気味である。
中嶋幸治さんは手作りで活版印刷の案内状を一枚一枚作品
のように創り傾けている。
吉増さんからは毎日のようにファックスが来る。
来週から始まる吉増剛造展に向け物も心も集中してくる。
この過剰さから展示の芯をそぎ落としていかねばならない。
先ずは物量的に空間を越えた分だ。

外に向かっていた身体は一度死んで、今は内なるミコト・命
に支えられて生きている。
そんな時吉増剛造展「水機(ハタ)ヲル日、・・・」とは、私の
内なる水のミコトの闘いそのもののような気がしてくる。
昨年再発掘の明治の治水学者岡崎文吉から外部世界の護岸、
そして内なる身体の護岸と水との闘いは正に水機ヲル日々
そのものなのだ。
毎年4年年末から年始にかけて続いている吉増剛造展は、
深い処で私という個と並走しているようだ。
そんな吉増展に過剰なる想いが今物も心も渦となっている。
明日はお見舞いに吉増さん本人が来廊する。
嵐の前の静けさ、今日はそんな日だ。

昨年吉増作品を映像化した映像作家石田尚志氏より熱い
メールが来る。
明年春の横浜美術館個展制作多忙の中来廊もあるようだ。

*吉増剛造展「水機ヲル日、・・・」-12月9日(火)-1月11日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2014-12-04 12:52 | Comments(1)
2014年 12月 03日

内なる命ー透析・師走(2)

腎臓を患って感じる事がある。
内なるもうひとつの命の事だ。
健康時意識しなかった身体の内側に在る臓器の存在。
身体の内側で宇宙の星のように光り続けているもの。
心臓が太陽なら腎臓は水の惑星なのだろう。
その内なる宇宙に気付かず外の世界にのみ目を奪われ突っ走
った結果が今内なる宇宙への目線を生んでいるのだ。
外へ向かう命からもうひとつ内側に在る沈黙の命。
生かされているのだなあ、と思う。
この時内側の沈黙の命は<いのち>ではなく、<ミコト>の
ように感じる。
心臓の命・ミコト、腎臓の命・ミコト、肝臓のミコト・命・・。
多くの臓器のミコトによって我々は生命を維持している。
身体の内側にも宇宙があってその自然は時に荒々しい津波と
なり熱波ともなる。
ミコトはその脅威に治水や護岸、消火や防風の任務を果して
いるのだ。
命がミコトである所以である。

吉増剛造さんの最近の草稿の映像が送られて来た。
560葉を超える十数葉である。
もうそれは文字の原稿用紙ではない。
自在に描かれ色彩がドロッピングし絵筆が流れる。
色が滲み筆が運ばれ声が歌うように呟く。
これも心の宇宙だなあ。
究極の内なる目線のもうひとりの命の形象。
声も筆を持つ指も流れる色彩も文字もこれらすべてが命の
ミコト業(ワザ)と思える。
水鬼の命(ミコト)吉増剛造は草稿の臓器となって心音を
打ち出している。

+吉増剛造展「水機ヲル日、・・・」ー12月9日(火)-1月11日(日)
 am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2014-12-03 13:40 | Comments(0)
2014年 12月 02日

熊去ってー透析・師走(1)

差し入れされた手打ち蕎麦を囲み、山里稔と木彫りの熊展最終日
夜打ち上げとなる。
山里さんの感謝の挨拶、熊サンクラブ会長のハイテンシヨン
と座は大いに盛り上がった。
「北海道 木彫り熊の考察」も高額な本にも拘らず二桁後半
の売れ行きで、展覧会入場者数とともに画期的な事だった。
人間の世界を超えた自然の有機的な力の象徴として熊の存在
があり、その親和力は驚くべきものがあるのだ。
木彫りの木の多くは北海道の自生の樹木と言う。
その樹の保つ生命感もまた人の愛着に関わってある気がする。
鑿跡の切実感と樹皮の柔らかさが人の心の記憶の襞に触れる。
自然を恐れつつ同時に自然を敬愛していた人と自然の深い関係
が日常的に存在していた時間・時代。
熊に象徴されるそんな荒々しい自然と麗しい自然への畏敬。
そんな自然に対する感情を最も直に表していたのが、女性達
の発する第一声のように感じた。
”カワイイ~!コワ~イ!”である。
自然とは向き合う時このふたつの感情に支配されるのではない
だろうか。
ラブリーであり恐ろしい。
山も川も海も風も太陽もそうである。
原始林や海や川のど真ん中で人間は生きてはいけない。
人間を守る囲いのような集落をその中に造らなくてはならない。
それが故郷という環境であり自然そのものと人間社会の中間に
在る囲いのような緩衝ゾーンである。
そこには人間に優しい樹木・山・川・動物が棲んでいる。
その遠い記憶が”カワイイ~!”の声となるのだろう。
熊そのものは現実的には恐い存在である。
それを可愛いと言い得る存在に転換するものは、自然そのもの
への長い遠い記憶の所為がそうさせるのに相違ない。

熊が山に連なる自然の記憶なら、次回吉増剛造展は水そのものと
向き合う水というもうひとつの恐ろしい自然がテーマである。
「水機(ハタ)ヲル日、・・・・:
3年余前「石狩河口/座ル ふたたび」展後綴り始めた終わり
無き大草稿はいつしか川面の波のように文字を超え映像とも見え
絵画ともなって詩行は星の星雲のように膨張している。
その詩葉が可能な限り会場に乱舞する展示となる。
恐ろしい水鬼の登場なのだ。
これからは心身ともに水との対峙となって年末年始を迎える。

*吉増剛造展「水機ヲル日、・・・・」-12月9日(火)-1月
 11日(日)am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2014-12-02 13:19 | Comments(0)