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テンポラリー通信

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2012年 07月 04日

虚と実の夢幻ー幻月・7月(3)

展示の最終段階に入っている。
2階の展示はほぼ終わり、西側ベンチに座ると世界は虚と実の
不思議な一体感に満ちて顕れる。
壁とベンチに直に描かれた蔦状のドローイングと窓に映る本物の蔦が
繋がって見る者を虚と実の世界へと誘う。
窓から射し込む光の加減によって、見る者の世界は瞬時に変わってゆく。
その光の変化も含めて、2階の窓際のベンチに座って居ると、藤谷康晴の
3次元の世界に入っているかのようである。
下の階には北側壁にあたかも石狩新港のような直線の交叉する白く太い線
と有機的な海岸線にも見える青の描画が壁の3分の2を占めて描かれている。
この描画は先月まで藤谷さんが働いていた物流の拠点石狩新港の描図にも
私には見えるのだ。
石狩新港の一番街のような人工的な構造と、本来の有機的な海岸線が
白の太い直線と青の美しい海岸線とでシンプルに構成されている。
そうした場所で働きながら、かすかに残る浜の植生に深く心を惹かれた
という彼の経験が、この描図の青と白のシンプルな美しさに反映している
ように思える。
正面壁には、小さめの花のような抽象的な図柄が40枚埋め尽くされている。
石狩の海岸で体験した石狩新港の保つ物流の拠点としての都市構造の骨格
と海浜が本来保っている有機的な自然の境界。
そのふたつのエッジの位相の相違を、この1階の空間構成は表意している
と私には思える。
虚と実の合間を先鋭な対立概念としてではなく、それがある成熟したふくらみ
の内に表現されていて、それが見る者をして心地よく描かれた空間にワープさ
せてくれる気がするのである。
これは、藤谷康晴の新たな世界の展開である。
2階の3Dのような神殿の世界と、下の蕾のようなふくらみの世界は、今までの
都市の虚構性を凝視する視角、あるいは超都市構造への呪術的視角とも明ら
かに一線を画するものである。
虚と実の間を包含する世界への愛のような、溢れるような直向(ひたむき)さが
この空間に身を置くことで伝わってくるからだ。
今展示は明白に藤谷康晴の世界への新たな旅立ちの詠唱、そのアリアのように
思われる。

*藤谷康晴展「WILD BRIGHTNESS-幻視の狩人」-7月5日(木)-
 15日(日)am11時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2012-07-04 15:06 | Comments(0)
2012年 07月 03日

展示集中ー幻月・7月(2)

昨日今日と藤谷康晴さんが展示に集中している。
彼は6月でそれまでの職を辞し、今回と9月の大阪展に賭けている。
その気合が今回の3日間かける展示作業にも顕れている。
余人の入る隙はない。

私は昨日から体がだるい。
奥歯の親知らずが鈍く痛む。
脹れてはいないが、歯痛は嫌だ。
今朝は自転車通勤を止め、地下鉄に乗る。
晴れているのに残念である。
体の切れが悪く、ふらふら自転車に乗るのは危険と判断する。
それと最近はカラスが繁殖期で、頭を目掛けて襲って来る。
帽子が目立つのか、何度か競馬場横で低空滑降して頭を突かれた。
ふらふらして、カラスにも襲われたら危ない。

こういう日はおとなしく静養が良い。

*藤谷康晴展「WILD BRIGHTNESS-幻視の狩人」-7月5日(木)-
 15日(日)am11時ーpm7時:月曜定休。7月2,3,4日展示作業。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2012-07-03 12:54 | Comments(0)
2012年 07月 01日

歌の交感ー幻月・7月(1)

山田航さんが来る。
新潮社から発売されたばかりの穂村弘氏との共著「世界中が夕焼け」
を持って来てくれる。
歌人穂村弘の短歌作品50首に山田さんが評釈して、それに作者の
穂村さんが応える形の本である。
ありそうであまりない、一首入魂のキャッチボールといえる。
山田さんが作品を選び、作り手である穂村さんに言葉で球を返す。
その球を穂村さんがあらためて受け止めて、自らの一首を解き明かす
のである。
歌人として優れた創り手であると同時に、鋭い批評精神の持ち主であ
る山田航さんならではの、キャッチボールといえる。
最近彼が某誌に書いた石川啄木論も秀逸な視点で書かれている。
昨今の啄木没後百年祭等に見る、啄木一辺倒の賛美の視点ではなく、
自らが生まれ育った北海道を基点にして、鋭く啄木の東京病の代替余波
として北放浪を捉えている。
思うに今回出版された共著の著者ふたりはともに札幌生まれで、そのふた
りが短歌を通して時代の先端感情をキャッチボールしているのである。
東北に生まれ近代東京に憧れ石川啄木がついに根を下ろす事のなかった
北海道。
そこに生まれ育ったふたりが、啄木論も含めて今回東京をある意味で代表
するような出版社新潮社から本が出るというのも、ひとつの時代と思える。

7月9日午後7時~東京代官山蔦屋書店サイン会
7月13日午後6時~札幌三省堂書店サイン会

だそうです。

*藤谷康晴展「WILD BRIGHTNESS-幻視の狩人」-7月5日(木)-
 15日(日)am11時-pm7時:月曜定休。7月2,3,4日展示作業。
*中橋修展「内包ー呼応する場」-7月20日(金)-25日(水)
*今村しずかライブー7月29日(日)午後7時~入場料1500円:要予約。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2012-07-01 13:26 | Comments(0)