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テンポラリー通信

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2019年 04月 18日

小鳥のように・・-時代というランド(42)

冬の背広を脱ぎ、夏用に代える。
それでも室内では暑いくらい。
昨日から不意に夏日。
週末はまた寒気が来るというから、最近は両極端の
天候だ。
何かが界(さかい)という世界を駆逐している。
お天気だけではない、自然野生と剥き出しで向き合う
時代がくるのか・・・。

そんな蒸し暑い午後、小鳥のように不意に訪れる人がいた。
中年の女性で、車で八木さんの名を見て訪ねたという。
Aカルチャーセンターの絵画教室で、おふたりに絵を学ん
でいたという。
色々話をすると、自分も姉も伸子さんの絵を所有している
という。
機会あればこうした形で並べて見てみたい、と話す。
中年の女性らしく、おっかな吃驚で声を発しながら、梯子
を上り回廊のベンチで、落ち着くわあ~と腰を下す。
ちょうど六畳間が吹き抜けとなり、押し入れの址は戸を外し
展示空間となっている。
名残りのように天井中央から電線コードにぶら下がる裸電球。
スイッチも電球上部に付いている。
電球に傘が掛り、下にちゃぶ台があれば、そこはサザエさん
の室内空間だ。
日本人の身体尺度から生まれた尺寸の空間が、老若男女を
問わず、心身を寛がさせる。
そして色んな話をした。
自分や姉が購入した八木さんの絵が、ここで展示したら
どんな風に見えるのだろうか、
自己所有の視角から脱き出て、きっとワクワクするだろう。
来年は是非ご協力下さい、とお願いした。

作家の手を離れ、作品は共有され、色んな人の心に住む。
とりあえず(テンポラリー)な日常を、共に(con:コン)
というコアで結ぶのだ。
心は小鳥のように、身体は必ずしもそうではなくとも、
勇気を出して梯子を登り、畳6枚=三坪の世界で再び小鳥
に舞い戻っている。

告知らしい告知もせず、2012年2月八木伸子さん
同年3月八木保次さんと相次いだ死去から毎年春一番の
4月か5月に、友人、知人、ご遺族の方々の所有する
ふたりの作品を時系列を問わず一堂に会して展示してきた。
そして基底となる作品は、私の家に遺されたふたりの2点
の作品としている。
私の父、母、祖父の時代からの八木家との交遊。
同じ札幌内のエリアでもあり、伸子さんのご実家松本家も
近くという縁も含めて、この2点のふたりの作品は札幌の
風土、自然と町を愛する心に満ち溢れていると思うからだ。

そして保次・伸子さんのアトリエ兼住居、その家を建てた
保次さんのご母堂敏さんと3人名の名札も、そっと飾らし
て頂いている。
3人ともこの世を去り、空き家の家は別の用途に変わると
聞き、ご遺族の了解を得て頂いたのだ。
八木保次・伸子展の華、札幌市芸術の森美術館展時の
格好良いポスターとともに展示している。

*八木保次・伸子展ー4月16日ー5月5日。
 am12時ーpm7時:月曜定休。水・金午後3時閉廊。

 テンポラリ―スペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503


# by kakiten | 2019-04-18 15:43 | Comments(0)
2019年 04月 16日

声、届く・・-時代というランド(41)

八木保次・伸子展初日。
展示上必要なもの等所用もあり、少し遅れて着く。
取材の留守録音が入っていた。
あとは何かの勧誘コメント。

午後、沖縄の豊平ヨシオさんより電話。
作品無事着いたと、感謝の電話だ。
完璧な梱包、と嬉しそうだ。
北の冬の光彩と春の光彩が息づく八木保次・伸子展
初日に豊平さんの声が聴けるとは・・・。
暫し、帰沖後の身内の慰労会の模様、沖縄タイムス
の弟さんが道新のお偉いさんに新聞評のお礼の電話
した話とかを聞いた。
昨年今頃沖縄に私が来た事が、つい最近のように感
じて、まだ展示の余波が続いているという。

二十余年振りに初めてアトリエの外に出た作品たち。
その作品たちと同様、作家も見てくれた人購入して
くれた人たちと触れ、初々しく新鮮な北の光彩を今も
想い出している気がした。
そういえば、奥さまのお名前も、彩さんだったなあ。
ウルサイ、などと悪口を叩いていたけれど・・。

黒い窓辺に白い雪景色が覗いている。
そして窓の手前に黄色い室内の花。
その大きな絵画の左横に、同じ八木伸子さんの深い
黄が背後に沈む赤い花の油彩画を配した。
小さな黄と大きく広がる背後の黄。
二つの黄が呼応して北の春を木魂している。

黒の奔放な縦長の抽象画。
その右横に同じ八木保次さんの浅緑の油彩抽象を
配した。
これも暗い冬の色彩に春一番のフキノトウの緑を
意識し、冬から春の色彩を意図した。

私が感じている北の冬から春の色彩。
福寿草の黄とフキノトウの浅緑。
札幌生まれ、晩年の八木伸子と八木保次の軌跡。
色は光だ、彩(いろ)だ、と保次さんは言っていた。
伸子さんはそんな言い方はしなかったけど、今遺された
絵画を見ていると、白の冬と黄色の春を感じる。
白に澄んだ高貴と忍耐、とを。
黄に澄んだ幸せと喜び、とを。
保次さんの黒に猛吹雪の天地、凍れる水・光の奔放性
を感じる。
そして春の光の乱舞が、色彩として天地に燃え上がる。
ふたりは生前、抽象・具象作家と区分けされていたが、
この北の光彩に対峙する姿勢は、真摯にして同じだ。

ふたり揃って今幸せそうに8回目の春を迎えている。

やっちゃん、伸子さん、
南の春の声も届いていましたよ・・・。

*八木保次・伸子展ー4月16日〈火)ー5月5日(日)
 am12時ーPМ7時;月曜定休・水・金曜日午後3時閉廊。

 テンポラリ―スペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503
 




# by kakiten | 2019-04-16 17:53 | Comments(0)
2019年 04月 13日

春日よりー時代というランド(40)

気温がプラス18度まで上がって、今年最初の春。
強張っていた体の筋肉も緩む。

やっとゆうパックで豊平さんの沖縄へ作品発送する。
受け取った時は分からなかったが、やはり遠い南島
を意識する。
今まで利用していたF通運は、受取人が会社でない
とと断られ、荷物の内容を説明すると、今度は
えらい高い運賃になると、言われた。
結局送られて来た時と同じゆうパック便にする。
封書・葉書・小荷物のイメージがあったが、ゆう
パックが集荷までしてくれ小気味よく応対・対応
してくれたのには感心した。
三公社五現業時代の良い処を久しぶりに感じた。

そして来週から毎年恒例となっている、八木保次・
伸子追悼の展示だ。
ご遺族の高橋均氏からはすでにふたりの未見の作品
が2点運び込まれている。
伸子さんの雪景色と黄色い花の窓辺風景。
保次さんの玄冬を思わせる黒い抽象画。
これに私所蔵の黄色が輝く伸子さんの福寿草のような
油彩画にフキノトウの緑を思わせる保次さんの油彩画
が加わって、北の冬と春のハーモニーが奏でられると
思う。
2階吹き抜け回廊には、昨年ご遺族より預けられた保次
さんのグワッシュ作品で埋めるつもりだ。

昔のアイヌは一年を冬の年・夏の年と数えたという。
10年前沖縄を初めて訪ねた時は2月。
ウグイスに赤い花が咲いて気温は20度以上。
帰りに今度は夏らしい沖縄、8月に来ようか、と豊平
さんに言ったら、違う違う、10月か11月頃に来なさい
と手を振られた。 
夏の濃い猛暑をベースとする沖縄では、その暑さが去り
涼しい冬が来るのが快適なのだ。
女性たちも思い想いのファッションが楽しめるから。
厳冬の寒気終わる北海道の5月、6月の快さが、沖縄の
11月なのだと後に判る気がした。
沖縄もまた夏の年・冬の年の国だ。

夏の年の始まりに北の光彩を追求し続けた八木保次・伸子。
今回のふたりの作品は、冬の年、夏の年の始まりを思わせ
る秀作である。
南の国へ帰って行った豊平さんの作品を、見送るに相応し
い今年のふたり・・・だ。

*八木保次・伸子展ー4月16日ー5月5日;月曜定休日。
 am12時ーpm6時;水・金曜日は都合により午後3時閉廊。

 テンポラリ―スペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503






# by kakiten | 2019-04-13 17:48 | Comments(0)
2019年 04月 07日

亀裂を縫うー時代というランド(39)

二通の便りが届いた。
一通は先日D新聞夕刊に載った久米淳之さんの豊平ヨシオ展
展評の原文。
もう一通は美術家佐佐木方斎の展覧会案内状である。

久米さんはかって道立近代美術館、道立函館美術館の学芸員
として美術の現場にいて活躍した人だ。
現在は北海道教育庁に所属が変わり、美術の現場とは少し
遠い位置に勤務先が変わっている。
そのある種美術への飢えのような鬱積が豊平ヨシオの作品に
触れた事で一気に燃え上がり書いた熱気が、新聞記事面の
構成上省かれた元文に息づいている。
新聞に載せられた展覧会評で省かれた部分に、今回初めて見た
人とは思えないくらい、鋭く過去の作品との関連性を久米淳之
は熱く語っているからだ。

 豊平は27年前にも別地にあった札幌の同ギャラリーで個展
 を開いている。その頃の作品は、米軍施設の建材だった古板を
 壁に架けたもので、生活の痕跡としての無数の傷、いわば「痛み」
 を絵画空間に提示していた。それらは「廃材絵画」と呼ばれたが、
 素材と、素材に「刻まれた」証を主題とする姿勢は現在に通じて
 いる。今回の青の亀裂の連作は、その後20年余り取り掛かって
 いるが、外に出るのは初めてだという。沖縄の丘の上の作業場で
 この連作がゆうに100点を超えて壁面を壁面を覆っていた。
 今回の展示はそのうちの21点だが、会場の空間の壁面すべてに
 架けられた作品は、見る者を十二分に青の空間に包んでくれる。

1992年11月の廃材絵画と青の色と亀裂のみの2019年3月。
この時間の亀裂を美術の現場から遠ざかった久米さんの心の亀裂が
一瞬にして時間を跳び、現在と過去の現場の時をも超えている。


もう一通の佐佐木方斎絵画展「部分群」案内状は、1990年代初頭
佐佐木が自宅に設けたギャラリーTからのものだ。
1990年末から閉じて久しい幻のギャラリーT。
本人もその後病床に臥していたが、2006年8月現在のテンポラリ
―スペースで毎年未発表旧作を展示して次第に元気になり、新作・新作
作品集を出版するまでに回復していた。
そして初めて自前の自宅ギャラリーで個展という知らせである。
個人編集美術ノート全10巻、現代作家展企画そして新進美術家として
の作品発表と1980年代の美術シーンの先頭に立ってきた方斎が
最後に自ら自宅に設けたカフエと画廊。
その幻の画廊で新作を発表するという。
佐佐木方斎の再生・復帰に2006年から積極的に関わってきた私
にとってこの知らせもまた時の亀裂を縫うような嬉しい知らせだ。

久米淳之さんの現場への亀裂の想い。
佐佐木方斎の自前の美術現場への亀裂と復活。
どちらもが亀裂が亀裂を超える自前の力、その熱い想いを感じる。

*追悼-八木保次・伸子展 4月16日ー5月5日(予定変更)

 テンポラリ―スペース早速札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503








# by kakiten | 2019-04-07 17:34 | Comments(0)
2019年 03月 31日

個という細部ー時代というランド(38)

福島・浪江の原田洋二さんのお彼岸帰省文を読んで
ここも間違いなく現代の最前線にして最後尾と感じる。
いつも見えた海、倒れた墓石に潜む無言の声。
住む人、生活する人の消えた町角。

経済優先で住人の消えた大都会のタワービル街。
プラザという名でビルに囲い込まれ消えた裏通り
・中通り、道路の空白。
一見原発被災地の静寂とは関係ないようだが、自然と人
の本質的喪失という点で同じものを感じる。
人も物も自然も、物流経済主体の最新・最速回路が
支配する結果の風景なのだ。
国家という人間社会構造の安心・安全・独立維持の為
の米軍基地集中の沖縄。
経済という人間社会構造の安心・安全・流通の為の
エネルギー基地の東北・福島。
自然を埋め立て、住む地を追い払い、最新・最速の
疑似最前線を爪先の位置重視で優先させ、最後尾の
人間の心の歴史の踵の位相を喪失させてきたのだ。
蟹の縦歩きのように醜い速足で物溢れるスーパーへ
職場へと向かう都市の老若男女の爪先刃脚。
地下電車も動く階段・昇降機もその爪先速度をさら
に増幅する。
踵に繋がる自然という環境はなく、人も物も物流
の最速・最新さの基準を競って成立する。
根や土壌、プランクトンや海流という自然の踵の
位相は忘却され不在である。
事前・自然が次善以下となり、事後・自己が優先する
社会構造物流主体の現代社会の歪み。
その最前線がオキナワであり、フクシマであり、最後尾
の踵が活きている場処に露わだ。
踵の思想を無くしつつ、物流本質ー最新・最速、最後尾
切り捨て、前のめり、その結果が自然と住む人間の歴史
を、爪先・先端都市内でも、踵・海・山故郷内でも、個と
いう細部にも、明るい廃墟を生み、拡がりつつある時代だ。

*八木保次・伸子展ー4月9日(火)ー21日(日)
 am12時ーpm6時:月曜定休。水・金午後3時まで。

 テンポラリ―スペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503


# by kakiten | 2019-03-31 16:28 | Comments(0)
2019年 03月 27日

熊SAN倶楽部ー時代というランド(37)

山里稔氏の労作「北海道の木彫り熊」(かりん舎刊)出版時に
結成された熊SAN倶楽部。
昨夜久しぶりに集まる。
山里さんの本業現代美術造形家としての作品展と古今の様々な
蒐集品の展示、さらに新たな木彫り熊のコレクションが一堂に
展示された創成川東方某所での展示会に倶楽部の会員達が昨夕集ま
ったのだ。
日曜日、沖縄への豊平作品梱包発送準備と展示終了の疲れからその
日爆睡し約束を違えた竹中英俊氏も誘い、出席した。
竹中氏にはこの日日曜日に見せれなかった豊平さんの作品一部を
現物で見せる事ができ、喜んでもらう。
今月も北大出版会指導・助言の仕事で来札した彼は、恒例の古書持参
で今回は2百年前の本居宣長の和綴じ本と文庫本の原型となった大正 
時代の和・洋本だった。
竹中氏の紹介がてら、二種の和本をみんなに見せ説明をしてもらう。
両手で広げ、捲る事でより丈夫になる和紙の書物。
その軽やかでしっとりした書物の感触を、木彫りの熊とはまた別の
紙の感触をみんなが感心して楽しんでいた。
多少黄ばんではいるが、2百年の時を感じさせない両掌に伝わる
触感である。
山里さんの熊コレクション、竹中さんの和綴じ本コレクションと
種類は違うが、時代を超えた本物の保つ手業に心が一致して、場は
大いに盛り上がった。

札幌ビール工場近く、創成川運河にも近い明治の札幌文明開化の地
で、時ならぬ文化の交流が楽しく花咲いた気がする。
岡崎文吉終焉の地茅ケ崎から来た竹中英俊氏。
その事実を岡崎文吉展を以前に企画した市役所のYさんにも紹介し
多いに盛り上がった事も嬉しい一事だった。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503



# by kakiten | 2019-03-27 14:25 | Comments(0)
2019年 03月 23日

寒の戻りー時代というランド(36)

朝、ヴェランダのカーテンを開けると、外は真っ白な雪銀世界。
沖縄へ作品を梱包する日。
藤倉翼さん、村上仁美さんに手伝ってもらい慎重に準備する。
午前11時テンポラリーに集合。
地上に積もる雪、そこから反射する光に、作品たちが最後の
輝きを放っている。
銀世界からの見送りだ。
翼さんが撮影用具を用意していた。
この光の中で一点づつ素早く撮影している。

撮影終了後購入予約作品数点を始めに梱包開始。
手際よく藤倉、村上コンビが梱包。
私は壁に打ち込まれた作品固定の板を抜き始める。
見えないこの支えの板が、豊平さんらしく、実にしっかりと
釘二本左右両端に打ち込まれていて、簡単には抜けない。
黒の背後版と塗色された亀裂部分を併せると8キロあるという。
しっかりと作品を揺るがないように支える。
こんな処にも作品への手を抜かない作家の強い意志を感じた。
三時間程懸けてほぼ梱包終わる。
入口の一段高い床に腰を下し休憩した。
コーヒと煙草を吹かし翼さんが寛いでいる。
私も腰を下し、縁側の日向ぼっこ状態だ。

作品と顔を会わすほんとの最終日に、白い大地と午後の陽の
光に包まれて、作品をこよなく愛する三人が抱くように梱包した。

また逢おうぜ、南の魂たち・・。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503



# by kakiten | 2019-03-23 17:20 | Comments(0)
2019年 03月 21日

ひといき、ふたいきー時代というランド(35)

まだ大事な返送・梱包が残っているけど、展示の緊張は
解けて疲れが出る。
結果として10年かけて、一仕事という充実感もある
疲れだ。
年末から年始に尾道の船大工を生業とする彫刻家野上
裕之さんのこれまでの節目となる個展。
年明けて網走で漁師を生業とする画家佐々木恒雄さん
の新たな展開を予感させる滞在製作の個展、恒例の冬
のガラス展高臣大介さんの長年のテーマ氷柱への真っ
向からの挑戦・インスタレーション展。
そして沖縄で20余年公開されていない魂の作品群、
豊平ヨシオ個展と続いた。
豊平さんの作品とは、2009年2月の初訪沖以来昨年
2018年4月二度目の訪問で互いに熟成するかのように
やっと実現した展覧会である。
これは作品の保つ深く純粋な力が、実現させたといって良い。

この4ヵ月の4作家四つの個展は、どの個展も深い力を見る
者に与え、心を通わせたものだった。
そしてその力は作家自身のこれまでの人生と深く関わりなが
ら、見る人の心を動かし、それぞれ個々の生きる原点のよう
な部分と響き合い継続するものだったと思う。
優れて作品とは、時代・環境・世代を超えて、血液のように
脈打つ魂の眼差しのようにある。

凍てつく北海道・札幌、真冬の4ヵ月。
熱い魂の燃える4ヵ月でもあった。


 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503


# by kakiten | 2019-03-21 15:15 | Comments(0)
2019年 03月 18日

名残り雪ー時代というランド(34)

朝、ギャラリーに向かう。
途中雪が舞ってきた。
名残り雪だな・・。

豊平ヨシオ展最終日。
久米淳之さんの展覧会評の新聞効果もあるのか、
未知の訪問者が目立つ。
某ギャラリーの長老も見えたようで、近々沖縄へ行くので、
作家を紹介しろ、と言ったと後で聞いた。
さすがヴェテランの長老、目が早い。
でも成った実だけ漁るのは卑しいぜ。
カルチャーは、原義・耕土。
足元を耕すー見えない持続の時を省いて、沖縄へ行くから
ついでにでは、少し安易・性急すぎる気がする。
まあ、それだけ豊平作品に感動した所為だろう・・・が。

二度見に来てくれる人も目に付く。
2階吹き抜け回廊にずっと座り込み、作品のひとつを眺
めていた婦人。
旦那さんの方は下の縦に亀裂一本の作品が気に入ったようだ。
二度目の訪問で、ふたりは結論を出そうと来たのだろう。
しかし旦那さんの気に入った作品は、旭川の大学に勤務する
Nさんが予約していた。
Nさんは、東京の大学院生の時最初の訪問で、先の高臣大介
ガラス展に続き、今展示にも熱く感じる処があったようだ。
作品を選び購入する事も、個の内側のドラマを感じる事がある。
豊平ヨシオ展では、特にその傾向を強く感じる。
作品に内蔵されたドラマは、見る人間のドラマをも生む。

結局2回回廊ベンチに長く座っていた夫婦は、黙って帰って行く。
帰り際私の顔を見た奥さんの何かを訴えるような目の表情が
心に残る。
他の訪問者と話が切れなかった為、傍で話せなかった悔いが
後から日暮れの斜光のように心に残った。

 テンポラリースペース 札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503



# by kakiten | 2019-03-18 13:37 | Comments(0)
2019年 03月 16日

雪が降るー時代というランド(33)

豊平ヨシオ展終了前日の土曜日雪が降り、うっすら積もる。
沖縄のアトリエで20年近く外に出た事の無かった作品たち。
今回展示のイメージに最初にあったのは、この雪の光の中で
見る事だった。
地上に降り積もった雪明りの反射で、浮き上がるように
南の青たちが中央の亀裂と共に在る事。
その想いが叶っている。
そして一昨日の14日木曜日北海道新聞夕刊に、自ら志願
して申し込んだ久米淳之さんの豊平ヨシオ展評が載った。
北海道立近代美術館学芸員、道立函館美術館学芸員を経て
現在道教委文化財・博物館課に居られる方である。
先週豊平さんがまだ在留時見えて、作品に深く感銘し新聞に
書く、と言って興奮していた。
私が挙げた旧知の道新の方を知っていたのか、即その記事は
実現したのだ。
率直にかつ素直に久米さんの作品の前での興奮が伝わってく
る文章である。
以下に引用してみる。

 青の亀裂に切なさ、哀しみ

沖縄の現代美術家、豊平ヨシオの作品展が開かれている。
青、蒼、碧、様々な青の長方形板が、等間隔に壁面に並ぶ、
静謐な空間。青の美しさにまず惹かれ、歩を進めて一点に
対峙すると、画面に引き裂かれたような亀裂を見つける。
再び全体を見渡す時には、自身がいいようのない切なさに
包まれていることを感じる。
縦100センチ、横50センチの板が、割られて亀裂のある
状態で青く塗られ、会場の壁面を取り囲むように21点が並ぶ。
黒い背版から浮き上がり、亀裂の奥に暗く深い空間が創り出さ
れている。触れると刺さるような、捲れ上がった亀裂の向こう
側に、哀しみや痛みが閉じ込められているような気配すら
感じられる。
豊平の拠点とする沖縄という地名からは、その歴史性や政治性
、現在の社会状況を想い起こさずにいられない。
しかし、青の亀裂は、問題の具体性を超えて、切なさや哀しみ
という、ひろく私たちの心に通じる感情を、力強く湛えている。
青の色と亀裂のみの、単純な仕掛けが、多くの感情や物語を、
直裁に人に想起させるのだと思う。豊平の青に、沖縄の海や空を
感じる事は否めない。あまりにもきれいな、澄んだ青だからだ。
しかしその裂け目の奥から聞こえてくるのは、北や南、個別の
社会ではなく、生きていく人間の行為についての問いかけなのだ、
と思う。

今回初めて出会った久米さんが、書いてくれました。
初めて今日、作品たちは雪の白い光を浴びています。

豊平さん、そしてまだアトリエに残された作品たちに、
ご報告です。

*豊平ヨシオ展ー3月17日まで。・・・来週後半までまだ見れます。
 am12時ーpm7時:月曜定休。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503




# by kakiten | 2019-03-16 12:59 | Comments(0)