今はないフリースペース旧プラハのボイラー室。
そこをギヤラリーにして集った人たちがいた。そのなかにふたりがいたという。
佐々木恒雄さんと平野貴弘さんの出会いである。
平野さんは、当時ヤオくんという名だったらしい。今は通称チQくんという。
なかに当時北大生の村岸宏昭さんもいた。
今は東京に住む沙知さん、雄城さんと多士済々であった。
この旧知のふたりが今、さっぽろを去るにあたって、年を跨いでふたり展を開いて
いる。この後沖縄と網走、それぞれ南と北に遠く別れるのだ。
この時さっぽろが見える。去る時に見える。
ふたりの個が踏む、踏み板のようなさっぽろがある。
その共有するもの。それが今回の主題である。
離れようとする時、見えるものがあるのだ。
そしてそこに、僕らもいる。もうさっぽろを離れた人たちもいる。死んだMもいる。
佐々木さんもチQさんも現代の木田金次郎のように、北の海に、南の島に生きる
だろう。描く事を捨てず、労働しながら生きるだろう。
再びここで会うことは二度とないかも知れないし、また会えるかも知れない。
だがこのふたり展は、もう二度とない。一期一会である。生きる事そのものなのだ
。燃える街角。スパークする斜め通り。テンポラリースペースは今、そういう時間
にある。ふたりの気持ちが燃える。ふたりのボイラーギヤラリーとなっている。
チQさんが、自らミクシイに記している。
(ここは)爆心地になる。直視したっていい。無視したっていい。
答えは何年後、何十年後って向こうにあるんだからな。
彼は心の昂ぶりを、爆心地と表現している。そして、その波及する心を語っている
。チQさんから遅れて来年4月網走へ発つ佐々木さんは、昨年時の個展で氾濫
した心を今、もっと距離を置いて溜めている。このふたりの対比がいい。
それがふたりの作品空間にメリハリを与えている。
旅費稼ぎに元旦も夜遅くまで働くチQさんの、僅かな休みに燃える心が会場で炸裂
するだろう。会場はふたりのライブドローイングで寒気を溶かすに違いないのだ。
熱い踏み切り板さっぽろ。年末年始は燃える日々となる。
*佐々木恒雄×チQふたり展「ランド!ホップする時」
12月23日(火)-1月18日(日)am11時ーpm7時
正月1、2日休廊・月曜定休
*及川恒平ソロコンサート「冬の鏡」-1月12日(月)午後3時~
入場料3000円予約2500円:定休日開催。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503