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テンポラリー通信

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2008年 11月 08日

触れるものーNovember steps(7)

写真家の藤倉翼さんが来て、前々回の梅田マサノリさんの個展写真を届けてくれ
る。エイトバイテンの大判カメラで撮った写真だ。
ビニールの透明な球体が、うっすらと空間をぼかして中央にある。
大人4人が両手で抱える程の大きさのあの透明な球体が、淡く浮いて空間を覆っ
ている。綿に包まれ真中に吊られたカメラのレンズの黒が、瞳のようだ。
巨大な孵化する前のおたまじゃくし、羊膜に包まれた卵子。
この淡い存在を正確に撮る事は素晴らしいと思う。
最近集中している街のネオン看板の撮影。そこにも看板真正面にカメラを据えて
、画面を撮っていて感心する。光る夜の電飾チラシ。そこに街の空気、匂いすら
感じられる。すすきの、琴似、北24条と繁華街の夜のネオンサインを、こんなに
も真正面から撮影した写真は見たことが無い。その律儀なまでの正面性が、正
反対ともいえる曖昧なビニールの透明な淡い輪郭をもきっちりと捉えているのだ。
一緒に写真を見ていた河田さんがすっかり共感している。
新聞のチラシ群の壁を構成した河田さんの感性と、この光る夜の電飾チラシを枠
いっぱいに撮る藤倉さんの感性はともに同じものに触れているからだ。
意気投合したのか、藤倉さんが車から撮影機材を取り出し、壁のチラシ群を撮影
しだした。チラシひとつ、ネオンサインひとつにも、まともに真正面から向き合う視
点にこそ、今を生きる拠点がある。チラシ一枚、ネオンひとつに対して情景、風俗
に流されない強靭な精神の起点を見る。夜の繁華街の寸景、広告宣伝の寸言に
終らせない確かな現実を見抜く視点が重要だ。
インドアー・アウトドアーの振り分け二元論からは何も生まれない。
今朝、菅原さんという写真家の方が来る。河田さんの床に埋め込まれた映像を
熱心に見る。話すと、昔出版した「パルス」という雑誌を持っているという。
私が書いた「界川日誌」を覚えていてくれた。そこから話が弾み、菅原さんが初め
て見た海の話になる。三笠の山奥で生まれたので海は見たことが無く、初めて経
験した海が石狩の海だったと言う。そこで小学生の頃泊まった旅館が、若生の旅
館で「石狩百話」に掲載されている古い地図にそれが載っていたのだ。
かって、船着場があり栄えた頃の話である。そこから、知津狩、無煙、望来を是非
歩いてみたいと話は盛り上がった。三笠の炭坑町ー江別ー石狩若生、この旅を是
非自己史の作品にして、個展をして下さいと話して別れた。
河田さんの川の映像が、新たな出会いの石狩、新たな石狩への旅を生む。
昨日の石狩への呟きに、菅原英二さんという人の姿して、応えてくれた。
そんな気がする。これも川の縁だね、河田さん・・。

*M企画「logs/river/city」-11月4日(火)-16日(日)am11時ーpm7時
 月曜定休・休廊

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2008-11-08 13:58 | Comments(0)


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