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テンポラリー通信

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2008年 11月 02日

足下の他国ーNovember steps(2)

<他国へ>という志を基点にした祖父は、父を除きみな道外に送り出した。
残され家業を継がされた父の孤独は癒されぬままあったと思う。札幌で生まれた
父には<他国から移住>したという結果が前提となり、祖父の<他国へ>という
志から取り残された存在だった。兄弟姉妹は、祖父の志のまま内地という他国へ
と旅立されるからだ。
ここで生きる。この時”ここ”とは何か。<他国>はその時どのようにあったのか。
他国への夢は、他国から入るいけばなを通したある種の共和国・リパブリック(革・
共同体)への夢となって自立しようとしたかに思える。
それが、孤独なimmigrant(他国からの移住者)父の他国から自立の起点であっ
た。終生emigrant(他国への移住者)であった祖父の起点との差異であったと思
う。今、私たちの起点は何処にあるのか。起点はまた、基点をも示唆する。
他国はすでに遠のき、自らの国さえ見えぬ。自と他の境は曖昧なまま、区分化・
区別化・差別化の社会現象は進行中である。そして同時に一極化・中央化も進行
してあらゆる面でフラットな平板化も進行している。足下が漂流し難民化して一元
的である。グローバル化という政治経済産業構造は、<国>を消し起点を経済の
軸に置くからである。ここでいう国とは、その軸芯とは違うものだ。もつと小さな地域
、お国訛り、お国自慢といわれるような国なのだ。個に属するものだ。

明後日から河田雅文展が始まる。
彼の住いのある場を素材にこの展覧会は始まる。
logs-4年前の台風で倒れた庭のトド松を素材に。
river-かって住いの周りを流れていた琴似川の流域を探索し、映像に撮る。
city-日々大量に届けられるマンシヨン・パチンコ店の宣伝チラシを構成。
昨日まず会場でした事は、床板の一部を剥し、そこにヴィデオの画面を設置す
る事だった。そこには源流から、暗渠、側溝の琴似川の映像を流すという。
足下に川の映像が流れるのだ。
床板を剥がすと、縁の下の土が見えた。ここは築50年の民家だったので、床下
は土である。ぽっかりと足下に暗い縁の下の闇がある。
河田さんの今回の試みに相応しい出来事に思えた。
足下を掘る。足下に他国がある。
否、足下に自国がある。目に見える今、この都市こそが他国の風景かも知れな
い。かって川が流れ、木が繁り、鳥が飛んだ琴似川の合流地域。
それが河田さんの住む今の住宅地である。
そこを吹く風、遠い風景を高層ビル群が塞ぎ、暗渠の川が閉じる。
その風景を再構成するように、会場が創られていく。
現実の風景の舞台裏を透視するように、現実が逆転してその書き割りの背景が
透けるのである。
足元の穴に広がった縁の下の土は、日常に開いた坑道のようにも見える。
そこに、録画された仮想の川が映し出され流れるのだ。
壁には多量のチラシが、ビル群として立ち並ぶのだろう。
この「logs/river/city」と表題された展覧会は、日常の風景をその要素に還元
し、再構成することでその仮想性を露にして、足元の他国を顕すものとなるだろう
。日常という他国。何かがスリップして、見せてもらったパチンコ店のチラシは正に
現代の浮世絵。そうだ、この展示インスタレーシヨン自体が、映像も含めてバーチ
アルリアリテイー=現代の浮世絵、仮設の見世物小屋とも思える。

*M企画「logs/river/city」-11月4日(火)-16日(日):札幌在住河田雅文
 によるインスタレーシヨン。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2008-11-02 16:00 | Comments(0)


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