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テンポラリー通信

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2008年 10月 31日

都の位置ーOctober run(16)

夏が走り去り、冬の階梯が見える。
十勝の国、筑前の国、土佐の国から人が訪れ、それぞれの今を表わした。
そんな10月も今日で終る。
1983年海を渡り紐育の9・11を経た中岡りえさんのDIARY。
昨年の自らの腫瘍摘出を見詰めた梅田マサノリさんの透明な細胞賛歌。
鉄の柔らかい原風景と都市の直線を対峙した阿部守さんの合掌する形象。
それぞれの生の現場が、同時代への眼差しを湛えて、夏の末ー10月を
走っていった。

  物語は北へ進むほどに挿絵が多くなる。言葉が追いつかないほど寒さが
  増して、一方色彩は鮮やかさを失ってゆく。・・・
  枯れたハマナス、ハマボウフウを踏みしだき、冬を目前に控えてなお展開
  しようとする物語の希望とはなにか。・・・
  望来を物語が過ぎる。灰色に鈍く発光する挿絵が地名を抱き、死んだ水を
  湛え、物語は終局をゆるやかにカーブして、更に北をめざしなぜ、なぜさらに
  進むのか・・・・・。

                           高橋秀明「望来」詩集<歌ノ影>から                                     

昨夜Nさんの詩歌パフォーマンスを高橋秀明さんと見る。
その後移住者について話す。
かって移住とは、その起点が海の向こうにあった。
内地という言い方がそうである。
今、私達はその起点を生まれ育ったこの場所に置いている。
南から北へではなく、北から南へそしてさらに北から北へ。
都(みやこ)の位置、
起点の位置を北を基点に。Nさんの舞台の感想も含めてそんな話をした。
小樽へ帰る時間に急かされながらの短い会話だった。
最近出版したばかりの高橋さんの詩集「歌ノ影」に「移住者(イミグラント)」という題
の詩がある。このイミグラントは、エミグラントと区別して使ったと言う。
immigrant-他国からの移住者
emigrant-他国への移住者
<他国へ>ではなく、<他国から>という起点の相違は、私と祖父の起点の相違
でもある。
明治の祖父は起点を<内地>に保ち<他国へ>と移住してきたのだ。
私にはその<内地の記憶>がない。ここを基点にルーツを辿り、自分が越前の流
れと知識する<他国から>の移住者なのだ。
この<他国へ>の起点を、<他国から>の基点に転換して意識化すること。
そこに私たちの現在がある。
「都ぞ弥生」に歌われた<都>は、遠い内地の他国に位置する都である。
だから3月(弥生)は"花の香漂う”のである。
他国からの移住者である我々の現在は、この<都>の位置を”橇の音凍りて物
皆寒く”の3月(弥生)に置かなければならない。
移住者の視座のこの相違は、生きる現実意識の大きな相違でもある。
10月、3人の優れた表現者たちがその生きる現場の結晶を開示し展示した後、
私に遺された思いとは、石狩・さっぽろを都とする生の現場・現実への痛切な問い
でもあった。

*M企画「logs/river/city」-11月4日(火)-16日(日):札幌在住河田雅文
 企画の個展
*algilln’ne展「モーラ」-11月18日(火)-30日(日):青森出身中嶋幸治・
 幕別出身國枝エミの2人展。共に札幌在住

 テンポッリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503
   

by kakiten | 2008-10-31 13:27 | Comments(0)


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