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テンポラリー通信

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2008年 10月 28日

冬が来るーOctober run(13)

気功のKさんと話していて、ニューヨークでは気功やヨガがファッション化し、い
たずらにある側面ばかりが強調されていると聞いた。時にはその衣装すらトレン
ドブランドになっていると言う。本来の気功の方向性から逸脱しているのだ。
都市化ということは、ある意味こうした増幅化ともいえるものだ。
スピード化、増床化、高層化、増量化。時間も、場所も、高さも、物量も、それら
が増幅する空間装置が都市化だとも思える。
身体も気功やヨガによる活性化と、ボデイビルのような肉体の部分増幅とは本来
一線を画す。似て非なる在り様である。
このボデイビルと同じような事が、肉体次元だけでなく精神次元でもある。
気功やヨガをトレンドブランドのようにファッション化したり、住むという形態がタワ
ーマンシヨン化したり、表現という行為がボデイビル化するのがそのいい例であ
る。文化の部分増幅、都市化の形態である。
廃墟や荒廃という悲惨な状況がボデイビル化して、等身大の心の身体を隅へと
押し遣る。この非等身大への欲望にも似た方向性が、あたかも進歩・発展である
かのような錯覚に陥っている貧しさを見続けているのが、今という時代でもあるの
ではないだろうか。
脳内出血の妊婦をたらい回しし、責任をたらい回しする東京というメトロポリス。
小さな地方都市の方が、余程等身大の処置が可能である事をこの最近の事件
は示している。
優れた設備がはるかに整った大都市の大病院は、あたかもボデイビルの筋肉の
ように見かけは立派だが、肉の鎧のように本来の等身大の機能を鈍化させている
。もし美術の美が、このボデイビルの筋肉のようにあるのならば、それは心の衰退
・退廃以外の何物でもない。
またぞろアートで街フェステイバルのような試みが始まるようだけれど、この都市
化構造と何ら変わらぬ構造を保ったまま、安易にアート、アートする美術のボデ
イビル症候群にはもうそろろそろ鉄鎚を下してもいい。
文化の深化と文明の進歩との本質的なズレを、ある痛みを保って立ち向はない
表現のあり方に、荒廃・退廃の兆しは明らかである。
そこでは、都市の荒廃・退廃さえボデイビル化され、整合するデザインの美の内
にあるからだ。
もう明日までの会期となったニューヨーク在住の中岡りえ展は、そうした安直な
ボデイビル症候群とは対極にある仕事である。ここには、あの9・11の記憶が等
身大の身体性をもって表現されている。入口正面を覆う2枚の大きな迷彩色の布
には、あのツインタワービルの記憶がある。そこに纏わる髪の毛、切れ切れに垂ら
された白い紙、赤い糸。その崩れる布の門のようなふたつの隙間の内側には、50
cm×30cm程の布が壁に19枚ぶら下っている。これにも作家と思しき写真の断
片や髪の毛、糸、さまざまなものが縫い込まれている。これらの断片は布と一体
化し等身化している。縫い込まれ身体化するその世界は、さらに10冊近い布本の
形でさらに集約され、凝縮している。この布本は手に取り捲る事でさらに凄みを増
すのだ。


*中岡りえ展「DNA DIARY 1902-2008」-29日(水)まで。
*M企画「logs/river/city」ー11月4日(火)-16日(日):札幌在住河田雅文
 のインスタレーシヨン

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by kakiten | 2008-10-28 12:33 | Comments(0)


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