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テンポラリー通信

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2008年 10月 04日

視差それぞれー夏の末(sak-kes)(37)

梅田マサノリ展には、様々な仕掛けがある。
気圧計というコチコチと音を刻む時限爆弾のような黒いボックス。
紫外線に反応して色を変える壜の中の液体。
目の玉のようなカメラ。
人体の臓器をホルマリン漬けにしたような奇妙な物体。
自らの腫瘍の切り取った後のフイルム。
他にも細かく見ていくと様々な装置がある。
ただ、それらデテイールを含めてなお、直径2・3mの透明な球体の存在は圧倒
的である。そこにすべてが収斂される。
この心臓、あるい肺のような透明な臓器は、光を溜めて通過し、併せてその周囲
のデイテールをも包含してしまうと思える。
形態から、子宮のようだとか、鶏の死骸が吊られているとか、見方は様々にある
が、それはそれでそれぞれの視差ということである。
私には、人体の有機的な美しい繋がり、その再生の装置と思えるのだ。
11月初め個展予定の河田雅文さんが来る。
入るなり、これはいいと感嘆する。もっと多くの人に見て貰いたいと言う。
梅田さんも嬉しそうだった。
河田さんの個展タイトルは、Log/Rever/City。
長年撮ってきた映像を中心にした個展である。6年振りの個展と思う。
作家は作家を知る。雪原にこの透明な球体を設置してはどうかと、ふたりで話が
膨らむ。梅田さんの次なる展開が見えてきて、楽しみだ。
十勝人の、石狩での展開を私も期待するのだ。
終日雨模様の寒い一日だったが、濃い人の来訪で熱くなる。
人の眼は、数だけではない。その質量にあって、量数ではない。
空間もまた、広狭だけではない。
今日は晴れて、青空が広がり、作品空間はまた光の変幻に揺れている。

*梅田マサノリ展ー10月7日(火)まで。am11時ーpm7時。月曜日も開廊。
*阿部守展「場に立つ」ー10月9日(木)-19日(日)
*中岡りえ展ー10月23日(木)-29日(水)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2008-10-04 11:37 | Comments(0)


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