昨夜帰り際電話が鳴る。ベルリンの谷口顕一郎さんからだった。
ハンブルグの個展から、今日帰って来たと言う。
個展は盛況で、作品も評価されたと嬉しそうだった。
奥さんの彩さんが、オープニングにお寿司を作ってくれ好評、個展のカタログテ
キストも彩さんがデザインしてくれ、ほんとに感謝と、おのろけ半分だった。
彩さんの事は、新明史子さんの個展評にAさんのシベリア旅行記としてを引用し
たばかりだと話す。さっぽろから北上していったドイツへのふたりの旅は、今もこ
うして続いている。彩さんいる?と聞いたら、今帰って来たばかりで疲れて眠って
いると言う。ハンブルグからベルリン、個展会場から自宅へと、これもまた大きな
長い旅だったのだろう。
写真家のM夫人が、来週からご主人とドイツ出張で、谷口さんの個展は絶対見
に行くと話していたよと伝える。ハンブルグにいて、メールを見れなかったがM夫
人からメールがきていると言う。不思議なご縁で、さっぽろーベルリン再会だねと
話した。ケンちゃん、ケンちゃんとM夫人は今日も来て会いたがっていたので、こ
れで一先ず安心という所である。
声も体も言葉もすっと繋がる不思議な時代である。
国際電話という、何か大袈裟な感覚はもうなく、隣のケンちゃんという感じで話して
いた。この直感覚のグローバル化と、根の違いを基底とする文化の違いを混同し
てもいけない。違いがあって初めて理解が深まる新鮮な経験もまた重要である。
ちょうど、ケンちゃんと彩さんの、サハリン経由シベリア横断のドイツへの旅と、飛
行機の通常の空輸の旅の相違と同じである。距離を簡単に直で繋ぐ回路に文化
の経験はない。彩さんが旅日記に記した通り、孤独への考察も他者との関係性も
直の移動には省略され、時に消去されるからである。
すっと繋がる利便性と、個の内部で深まる経験とは、時に相反するものなのだ。
個展が始まり、その昂揚した気持ちを早くさっぽろに伝えたいという想いは、機械
の速さとは別次元にある速さである。メールや電話の直接性の奥に在る心の性急
さ、直向(ひたむ)きさは、もっと別の時間の心の直なのだ。
*新明史子展ー9月16日(火)-28日(日)am11時ーpm7時(月曜定休・休廊)
*梅田正則展ー10月1日(水)-7日(火):帯広在住現代美術家
*阿部守展ー10月9日(木)-19日(日):九州福岡在住鉄の彫刻家
*中岡りえ展ー10月23日(木)-29日(水):ニューヨーク在住現代美術家
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