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テンポラリー通信

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2008年 08月 28日

凝縮し、開く彩(いろ)ー夏の末(sak-kes)(5)

暖かく澄んだ色彩がいくつも、窓のように会場を跳んでいる。
森万喜子さんが、昨夕作品を増やした。
小樽で教員を務める時間の合間、今年1月の正月休み時と違い、
時間がなかなかとれないのか、夕刻に会場に来ている。
昨日は曇天の一日だったが、今朝は少し晴れ、気温も上がる。
明るい光で見る作品は、やはり美しい。
小さな作品が、斜めに2階の吹き抜けに跳ぶ。
小さな方形の作品が、足下近くの壁に覗き窓の風景のようにある。
この人の作品は、凝縮が閉鎖しない。
木の葉のように舞って、窓のように開く。
時に濃い赤と紫の沈んだ色彩もあるのだが、
夕暮れの濃縮時に似て、
内省の深い視軸に満ち、内へと開いているのだ。
この人の作品には、炎がある。
炎は凝縮し、燃えて開くのだ。
大小の炎が、窓のように空間を跳んでいる。
光を受け入れ、光をともに放ち、光とともに燃えている。
静かに見詰めていると、中心に濃い凝縮するものがあって、
その黒点もまた燃え盛るなにかである。
日常の些細な刺、疲労、憎悪、差別、傷口、
それらが凝縮した黒い”沁み”のように思えることもある。
しかし、シミではない、これも燃える黒である。
だから、澄んだ彩雲を纏うのだ。
太陽風という真空を疾走る風があるという。太陽の黒点が発する風という。
森さんの色彩には、その風のような彩(いろどり)、彩(ひかり)がある。
燃える生命がその基底にあるからだ。
その生命の彩が、見るものに風の窓を与える。
1月に見た真冬の暖かさ、今8月に見る彩の窓。
すべては、作家が発する命の色彩ゆえ、であるのだろう。

*森万喜子展ー8月22日(金)-31日(日)am11時ーpm7時
*gla_gal(グラ_ギヤル)展ー9月2日(火)-7日(日)
*新明史子展ー9月16日(火)-28日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2008-08-28 12:09 | Comments(0)


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