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テンポラリー通信

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2008年 07月 16日

’80年代の邂逅ー夏の年(sak-pa)(38)

昨日は寝不足で ぼう~っとしていたが、今日は眠れて調子がよい。
自転車の走りが違うのだ。アグレシブな走りが復活する。お犬さんには今朝会わ
なかったので、追いかけられる事はなかったが、こういう日に遭うと、一緒に着い
て来られるのだ。
昨日、佐佐木方斎さんが来る。「格子群」「余剰群」「自由群」の3部作を持ってき
た。やっと見つかったという。昨年友人の遺作「阿閉正美詩集」を、自費出版する
のに、自らの作品を売って資金を捻出した為、手元に作品がなくなっていたのだ。
私は、2年前に見た彼の秀作を是非ここに置き、来る人に見せたかったのだが、
これで手元に揃う事になった。早速細井さんに紹介しお披露目する。
丹念に、「格子群」から、細井さんが見ていく。削ぎ落とした直線の格子群、一枚
一枚に眼を寄せ見ている。さらに2冊目の「余剰群」。格子から削ぎ落とされた色
彩が、曲線で構成されている。多彩な色彩の乱舞。そして円の様々な制約の中で
踊る色の「自由群」。細井さんは、熱心に、最後まで手に触れ捲り見ている。
何か、共感するものが彩めいているようだ。
最後の一枚を見ていると、ひとりの男性が訪れた。K氏だった。
’80年代現代作家展で佐佐木さんとともに活躍し、現在は北海道を代表する作家
といわれる人である。今秋G美術館での個展が、企画されている。
”やあ”と、ふたりは挨拶し、K氏は、そこに佐佐木方斎さんがいる事にちょっと
吃驚したかに見えた。こうして、いわば世間的にははるかに格下の、細井さんの初
個展にも、多忙な中まめに訪ねてくれるK氏と、やっと自分の作品を見つけて運ん
で来る佐佐木さんとは、社会的には、大きな差が生じている。
そんなふたりもかっては、時代のトップランナーとして、’80年代の先端を走って
いたのだ。
”Kさん、これ見たことあるでしょう・・”と、佐佐木さんが話し掛ける。
”ああ、昔のね・・”と、Kさんが答える。しかし目はもうそこにはなく、細井さんの作
品にあった。彼は2階吹き抜けにも上り、ひとわたり全作品をソツなく見て帰った。
この’80年代を共通する同世代のふたりが、’90年代を経てその人生の軌跡は
大きく違ってくる。佐佐木さんはその後忘れられた人となり、K氏は北海道を代表
するといわれる彫刻家となる。その生き方の違いは、北海道だけに留まらず、日
本の現代美術の作家の在り様、生き方そのものとも関わる。
対照的なふたりの’90年代、現在の生き方は、作品そのものの検証もさる事なが
ら、もっと本質的な時代の問題をも包含している。
このふたりの遭遇は、私には実に面白かった。
個々の訪問はこれまでもあったが、こうして今正に、佐佐木さんが過去の秀作を持
参し、その作品集を見ているその最中に、K氏が訪れ遭遇する偶然はそうあり得る
事ではないのだ。
K氏にとっては、とんだ災厄だったかも知れない。こうして私がふたりの事を細井
さんにも、ブログにも記録し、語る事となるからである。札幌の最高位ともいえる
G美術館での個展を眼の前に控えているK氏と、病床と失意の底から立ち上がり、
自作品すらままにならない佐佐木さんの現在との対比は、その根の部分において
現在の状況そのものを体現しているのだ。個々の人格上の問題ではなく、時代の
状況そのものの問題である。ある意味でこのふたりの’80年代の遭遇は、私には
細井護展の大きな出会いの時間のひとつとして、記憶に深く留まるものとなる。

*細井護展「水が風景をつくる」-17日(木)まで。am11時ーpm7時
*酒井博史てん刻ライブー7月20日(日)am11時ーpm7時
*久野志乃展「物語の終わりに」-7月22日(火)-8月3日(日)
*及川恒平ソロライブ「resongs vol8」-8月5日(火)午後6時半~
 入場料3000円・予約2500円
*アキタヒデキ展「点と点と展」-8月9日(土)-17日(日)
*森万喜子展ー8月19日(火)ー31日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2008-07-16 13:02 | Comments(0)


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