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テンポラリー通信

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2008年 07月 12日

渦巻く・そういう時もあるのだー夏の年(sak-pa)(35)

大野一雄さんの本と慶人さんの掲載誌を届けてくれた高橋由美さんからコメント
が入って、お生まれは夕張で、現在は手稲・星置にお住いと分かった。
今道立文学館で開催中の吉増剛造展に触れ、何度かこのブログにも書いたが、
名作「石狩シーツ」は、石狩・望来に約4ヵ月滞在して創られた長編詩である。
その最終章は石狩河口から夕張へと遡行し、女抗夫さんのリフレーンで終って
いる。石狩河口ー夕張川の行程は、この詩の心臓部を成している。
そして、この詩の動機には、大野一雄の石狩河口来札公演の存在が、大きなき
っかけとなっている。
大野一雄、慶人さんー吉増剛造さんは石狩河口から、夕張へとひとつの大きな
渦を創っている。さらに、大野先生はその6年後の吉増さんとの対話で、父と祖
父の海ー函館・カムチャッカに触れ、羆の踊りを父の踊りとしてカムチャッカ公演
の夢を熱く語るのだ。封印されていた<父>が、初めて語られた歴史的な瞬間で
ある。それは、日本の近代を考える場合、非常に重要な問題を含んでいる。
父なる存在を封印してきた、戦後という近代があるからである。
吉増さんから夕張へと広がる渦と、大野先生からカムチャッカへと広がる渦とが
、石狩を交点として近代という時空が交叉するのだ。そのふたつの渦に呼応する
ようにムラギシさんの渦がまた加わっている。<星置>という美しい地名が交点
となる。そして、さらに言えば、大野一雄さんの横浜のお住いの地名は、<上星
川>なのだ。お届け頂いた高橋さんを経由して、夕張ー星置ー上星川が繋がり
、村岸さんの最後の演奏CD「銭函ー星置」が、交錯するのである。
全てが偶然というのは容易い。しかし偶然という日常は、時に実体という媒介と
なる。その媒介は、本質という必然の道を孕んでいるものだ。
ニュートンさんの林檎のような、現象が実体を孕み、本質へと導く林檎の時間も
また、日常にはある。その磁場のような空間を今、この細井護展の会場は保ちつ
つあると思う。exhbitionの<ex>とは、外へ、前にの意である。展示という行為は
、外へ、前にと開かれ、磁場となる。
私は、村岸さんに拘り過ぎていたのかも知れない。もう間もなく3回忌を迎えようと
する2年目の夏への追悼の気持ちに、囚われているのかも知れない。
でもそれは、私にとって自然な感情である。その自然な気持ちのままに、日常の出
来事が意味を持つ。
細井さんの「水が風景をつくる」というタイトルそのまま、流れ込む現象が心の風景
をつくっているのだ。

*細井護展「水が風景をつくる」-13日(日)までを、作家の希望により17日(木)
 まで延長致します。なお、月曜日14日は、定休日です。
*坪井圭子朗読会「森へー星野道夫」-12日(土)午後7時~

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2008-07-12 12:47 | Comments(0)


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