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テンポラリー通信

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2008年 06月 21日

日常のなかの帝国主義ー夏の年(sak-pa)(18)

自家用車を持つ。利便性は飛躍的に増大する。時間が短縮され、距離が短縮す
る。その事を発展と信ずる時代が長く続く。等身大の人間の尺度は、非等身大の
機械の尺度に取って代わる。かっては国家大、権力大だったものが、個人の領域
まで広がる。原子力も電気需要という形で日常化する。国家の有する核は、日常
の三分の一の電気力として、当たり前にもう在る。
大きな増幅力が個人の日常の範囲になり、個も権力・強権を持つ。
帝国主義も、植民地も個の意識の内部に巣食っている。消費のブランド信仰や、
中央・地方の格差、貧富の格差、その差別・区別の感性の帝国主義は、醜聞・
悪口に到るまで現代の増幅装置によって増大する。
かって、楊貴妃が側近に呟いただけの陰口が、権力構造の増幅装置により暗殺
となるような事が、今は何の権力構造も持たない筈の個の次元で増幅され得る。
そうした産業経済社会の構造そのものに、個の意識が対峙しない限りは悪無限
の増幅に対抗できないのだ。文化とは何かと、その時にこそ問われるべきである
。この時、文化とはジャンルの問題ではない。基底の哲学の問題である。生き方
の選択である。土壌の問題である。個々の意識に戦いがある。加害と被害の境を
、現実の方が超えている。みんなが加害者であり、同時に被害者でもあり得る時
代を生きている。一方的な分類は成立しない。だからこそ、日常の環境そのものと
真摯に向き合う。日常環境を媒介として、根っ子から転換するラデイカルな視線と
拠点が必要なのだ。ハコモノとして場を考えない。溜まり溢れる淵として函を考える
。自然がそうであるようにだ。体がそうであるようにだ。吸って、吐く。その間の溜め
にこそ、生がある。食って、排泄する。その間にこそ生がある。時間にも保水力があ
る。その保水力こそが、文化である。街にも保水力が要る。地域にも国(ランド)とい
う保水力が要る。量数の増幅とは対峙するものである。Republicは、共和ではなく
、反publicでなければならない。非等身大に増幅せず、個の保水力の再生を思う。

*斎藤周展「おおらかなリズム」-22日(日)まで。am11時ーpm7時。
*細井護展「水が風景をつくる」-7月8日(火)-13日(日)
*酒井博史てん刻ライブー7月20日(日)am11時ーpm7時
*久野志乃展ー7月22日(火)-8月3日(日)
*アキタヒデキ展「点と点と展」-8月5日(火)-17日(日)
*森万喜子展ー8月19日(火)-31日(日)
*新明史子展ー9月16日(火)-21日(日)
*梅田正則展ー10月1日(水)ー7日(火)
*阿部守展ー10月9日(木)-19日(日)
*予定・中岡りえ展・中嶋・国枝展
*河田雅文展ー11月1日(土)-14日(金)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2008-06-21 12:04 | Comments(0)


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