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テンポラリー通信

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2008年 06月 14日

消毒都市ー夏の年(sak-pa)(12)

戦国の世に、<国敗れて山河あり>といった<国>とは、今でいう地方である。
大きくは「邦(クニ)」といい、小さくは「国(クニ)」といった。
現代は、国(地方)敗れて、山河もなくなる時代である。
石田尚志さんの「東京論」(アフンルパル通信Ⅳ所収)に、これまでの殺虫剤では
死なないほどの耐性がついてしまった蚊の話が載っている。

<このエリアのマンホールは絶対に開けるなと指示された場所があった。・・・(そ
こは)東京の、消毒不可能な領域だった。無数のスーパーコンピユーターが静か
な超音波を発していた部屋もそうだったが、心臓部のような場所はだいたい無人
だった。>

消毒という仕事で都市のビルの地下を渡り歩いた人の最後に見たものは、<消
毒不可能な領域>、そこに棲む死なない蚊とスーパーコンピユーターの無人の
場である。まるでSFのような世界が、現実に都市の最深奥部に広がっている。
都市の表の衛生・安全を保つ為に、日夜その裏で<消毒>が為され、その毒に
耐性がつき生きているスーパー蚊、そして究極の衛生・安全の権化、スーパーコ
ンピユーターの棲む無人の空間。
宇宙にあるブラックホールを、人間は都市の中にも造ろうとしているのだろうか。
そして、消毒不能な耐性のついた蚊のように、そこで生きようとするのか。
先日の秋葉原の真昼の惨劇に、一種の<消毒行為>を見るのだ。
携帯コンピユーターを片手に、都市を漂流し、かってのボートピープルのように
国(地方)を喪って難民化した個が多勢いる。もう個の位相に、ボートピープル
がある。携帯が、ボートなのだ。都市の海を漂流し、国(地方)も拠るべき山河(
自然)もない。自らが消毒されない為に、強い耐性を保った<蚊>になるしかな
い。そして、無人のブラックホールの精神空間。
都市のこのブラックホールに対峙する、国(地方)とは何か、山河(自然)とは何
か。自らに引寄せて言う。さっぽろとは何か、イシカリとは何か。
さっぽろを消毒しイシカリを消毒して、札幌からさっぽろを消去し、イシカリを消去
し、国(地方)を敗れさせ、山河を喪くす<都市化>とは、亡国の難民の思想なの
だ。そこに対峙しようとしない意識構造から、いかなる文化も生まれよう筈がない。
地方という国を消すグローバル化、固有の山河を消す都市化。その意識構造を支
える公共という概念の空洞化。消毒不能の蚊のような耐性を獲得する事が、勝ち
組となるような体制文化と対峙せずして何が生まれるか。
固有の美しい山河の国広島を、ノオモアヒロシマへとしたカタカナ化したものは、廃
墟の風景の上に成立している。今我々はそのカタカナ化を、原爆ドームから別の
明るい<ドーム>、札幌ドームやカタカナサッポロなんとかにすりかえて、明るい
廃墟の時代にいる。国や山河を、物のグローバリゼーシヨンに消毒され、漂流する
時代の、明るく暗転する海にいる。

*斎藤周展「おおらかなリズム」-6月7日(土)-22日(日)am11時ーpm7時
 月曜定休・休廊

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2008-06-14 12:03 | Comments(0)


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