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テンポラリー通信

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2008年 05月 14日

その春暮れては・・5月の共和国(13)

不眠の後の所為か、昨夜は不埒な事も考えず、熟睡。
朝、冷涼な空気の中を快走。空は曇天。木々青し。
誕生日祝いのメール多々着信。
九州のTさん、こちら相当冷え込みました、そちらも、とある。こちらは、これが普通
で、Tさんの創る青白磁のようと書く。一度こちらで会いたいもの。
気がつくと、誕生メールは全部男性からで、なにか納得する自分が可笑しい。
同じ牡牛座ですねえという人もいた。
そうですね、角溜めすぎずにお互い頑張りましよう。
開廊前、フライヤーの整理をしていると目の鋭い男性が来る。
小林さんいませんかと聞く。お仕事で夕方から来ますと答えると、それじゃ、と帰る
。今日も、彼女の来る頃には会いに来る人で一杯になるのだろう。
佐佐木方斎さんの時は反対で、本人は朝からいたが人の来るのはまばらだった。
若くて美人な小林さんと、方斎さんではその差は仕方がないのだろうが、展覧会が
続いているだけに、際立って感じられる。
作品だけについていえば、どちらも作家の内面と外界の接点が迫り出して危うい
点では同じと思える。心身ともに’90年代後半に内閉した佐佐木さんの、薄い皮
膜のような、白く塗り込められた薄皮の現在と、溶解する網膜の網のような小林
さんの現在とは、外界と内界の間の現在性のバランスにおいて似ている。
ただ、佐佐木さんには”精神のラインダンス”’80年代がある。その上で、孤絶した
現在に帰還する、今の視線があるのだ。若い小林さんにはそうした時代はなく、
交友の”ラインダンス”が、内面世界とは別に今、続いているのだ。しかしその外界
との境にあるのが、網目の表象である。佐佐木さんは、その内と外の境を白い皮
膜として表現している。ふたりに共通しているのは、内側の濃い視座であろうか。
濃く閉じた時に顕われる色彩として、小林さんの赤があり、濃く閉じた後の傷の薄
皮のように顕われたのが、佐佐木さんの白であるように思う。
男性性と女性性の違いもあり、生きてきた時間の違いもありながら、今を見詰める
視線の境・界の濃さは、相違しつつも同様の視座をもっている。
白い皮膜と溶解する網膜の表象に、意識された現在の境・界が表現されていて危
ういのだ。開かれた界(さかい)とするか、閉ざされた区別・分断の境(さかい)とす
るか、その危ういバランスにおいてふたりは今、共通して現在があると思える。

*小林麻美展「風景がわたしをみている気がする。」-15日(木)まで。
 am11時ーpm7時。
*岡和田直人展ー5月21日(水)-30日(金)

 テンポラリースペース札幌市北区来た6条西5丁目1-8北大斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2008-05-14 12:37 | Comments(0)


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