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テンポラリー通信

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2008年 05月 13日

風澄む日ー5月の共和国(12)

会期が変則的に始まったので、定休日なしで開廊している。昨日は、やはり体が
休みになっていて、重たかった。夜、目がさえ不眠。
ネット上で、北海道立文学館の「吉増剛造展」スケジュールを見る。
6月末から8月末まで、ざっと12回もの対話・鼎談他のイヴェントが組み立てられ
ていた。まるで、吉増剛造の万博である。なにか、私にはズレテ感じられた。
多彩な詩人の活動を総花的に祭壇に陳列し、対話するという感じである。
主題が、見えない。イシカリ・さっぽろという現場が、見えないからだ。
詩を断筆するとまで宣言した詩人の今に寄り添い、共有する時代の眼線がない
からだ。過去の業績をその有名性において陳列し、賛同者を揃えたところで何が
生まれるのか。先に業績を称えるように囲い込んで境界を造っているのである。
文化のパブリックワークとは、所詮、煎じ詰めれば土壌とは何の関係もない中央
志向の地方喪失でしかない。一昨年12月、吉増剛造は語っている。
<皆さんにぜひご報告したいのは、マイナス2度の札幌へ呼ばれて、僕は六十年
間、大基地のフラットな、あのフラットな大基地に呪縛されてきた。・・>
と、横田基地の深い傷を語った吉増剛造の奥多摩という地方に対し、イシカリ・さっ
ぽろという地方は何を提示し得るか、という視点がどこにも感じられないからだ。
東京在住の世界的に活動している著名な方を、東京・地元外の知識人でお迎えし
てなにやらご高説を受け賜るかの如き構図しか見えない。多くの対話が用意され
ているが、そこにはさっぽろですることの動機と主題が見当らない。
もっとも道庁所在地である札幌にある事で、道立を名乗りさっぽろを消去して成立
している場であるから、さっぽろという一地方なぞ初めから無しで当然なのだろうが


*小林麻美展「風景がわたしをみている気がする。」-5月15日(木)まで。
 am11時ーpm7時
*岡和田直人展ー5月21日(水)-30日(金)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2008-05-13 11:41 | Comments(0)


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