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テンポラリー通信

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2008年 03月 14日

石田尚志の「東京論」-界(さかい)の再生(26)

昨日書肆吉成発行の「アフンルパル通信」Ⅳ号が届いた。映像作家の石田尚志
さんが「東京論」を書いている。<暗渠について、水の道と東京の体温の話です。
>と石田さんからメールを頂いた文である。20代の頃害虫駆除のアルバイトを
していた頃の体験話だった。
<・・「害虫」がいなくても「消毒」と称してあらゆる部屋に薬を撒いた。・・一定以
上の面積を持った建物は定期的に「消毒」しなければならないと、法で定められ
ている。なぜこんな場所を「消毒」するのかわからないところでも殺虫剤を散布し
た。><ある時、霞ヶ関のある巨大な庁舎を全員出勤で消毒したときのことだ。
巨大なごみの集積部屋があって、電気をつけても壁が黒い。その瞬間誰かが叫
んだ。巨大な壁は全てゴキブリで埋め尽くされ波打っていた。壁が動く。壁が生
き物になる。想像してもいなかった景色だつた。>そしてクマネズミの話<東京
は海外の都市にくらべ、クマネズミが生息範囲を広げやすいというのだ。道幅が
森のなかの木と木の幅に近いのだという。・・・途端にネズミやゴキブリの視点で
東京が見えてくる。・・背後の景色。それは生暖かく立体的な一つの巨大な森に
見えてくる。>
同じような景色を経験した事がある。今はピヴォという名のショッピングビルに変
わったがその前に20年使用していたダイエーが急に退店することになり、約2年
間空ビルになった時の事だ。当時そこのオーナーのひとりだった私は、他のオー
ナーとともに虚しい会議を週一回重ねていた。時に地下2階のボイラー室及び暖
房機械・駐車場のある階を見回ったことがある。無人のビルであっても1日一回
ボイラーを焚き運転しないとボイラーが錆びてしまう。その暖かさの所為か無人
の地下は生暖かく、もの凄い数のいきものが大小蠢いていた。それがネズミとゴ
キブリのようなものであった。従来、寒い北海道にゴキブリはいないことになって
いたが、ビルの暖房化によってそうではない現象が起きていた。札幌の都市化、
東京化によってである。真っ暗な無店舗の巨大な空きビルで今後について会議
を重ね、夕方四番街に面したシャッターのくぐり戸を開け外に出ると、ネオンと人
のホワイトイルミネーシヨンの街が華やかだった。その落差の感覚を今も忘れる
事はない。外から注入されてはじめて生きる街。自動販売機のような街。その内
なる虚(カラ・ゼロ)を思うのだ。ネズミやゴキブリの方が余程そこで逞しく生きて
いる。市街地裁開発法という法によって半ば強制的にビル化都市化が進められ
街がテナントビル化し補助金や大資本に群がるホスト化した経済機構に支配され
る。経済だけは巨大になり汗水流す金銭ではなく、ファンドのはしりのようなマネ
ーが支配する。非等身大の建物、非等身大のマネーが小さな商店を小舟のように
翻弄する。大量物販のきらびやかな電飾の陰で祖父と父のさっぽろは消毒された
のかもしれない。あるいはその片隅でネズミかゴキブリのように息を潜めて生きる
ことも可能であったのかも知れない。時にカタカナの訳のわからないビルに入ると
、そんなコーナー(店)に稀に出会うこともあったのだ。今はもう、そういう事も無い。
7000トンのイージス艦に粉砕にされた7トンの小舟の父子のように、行方不明の
店・街がある。さっぽろというメタボリックな都市は今、北海道の町々を吸い込み、
消費という肥大をつづけているブラックホールの腐海に見えてくる。

*大野一雄展「石狩・みちゆき・大野一雄」-16日(日)迄。am11時ーpm7時
*「ふたりの石狩・大野一雄と吉増剛造」-3月18日(費ー30日(日)
 :石狩を境・界として開かれたふたりの軌跡を総集編として映像・音を交えて
  検証致します。
*及川恒平ソロコンサート「Re Song」-4月5日(土)午後6時~入場料1000円
 予約2500円

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2008-03-14 14:43 | Comments(0)


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