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テンポラリー通信

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2008年 01月 23日

人溢れる夜の函ー視線と拠点(40)

「雪と花光とgla_gla」展初日の夜は、人で溢れた。パーカッシヨンライブの太田
ヒロさんとギターのケイさんは急遽2階に演奏位置を変更する。3mほどもある松
葉の苗床のような花光さんの作品は、動かすのが危険なので演奏スペースに限
界があるからだった。50人ほど会場に人が集まり出し立錐の余地も無くなってき
た。2階吹き抜け正面にギターが位置しヒロさんは左に位置した。演奏が始まると
、鉄の自製の打楽器の音が、階下に降りそそぐように落ちてきた。照明を落とし、
シャンデリアのように吊られたアオモジの小枝の緑が真ん中の電球の光に映え
て、白い壁に影を刻んでいる。音と光が交叉して階下に立つ人影と共鳴して揺れ
る。白熱した演奏が続く。小1時間も続いたろうか。遅れて来た花光の佐藤義光さ
んが戸を開けて会場に到着したと同時に演奏が終った。花光さんの真っ赤なコー
トが格好よかった。お酒がみんなに回り一段落してまた、ヒロさんの演奏が始まる
。彼が2度演奏する事は滅多に無い。演奏前は禁欲的で食べ物も飲み物も摂らな
い人である。気持ちが乗ったのだろう再び演奏が始まる。この光景をどこかで想い
出していた。2年前以前のスペースで時期も同じ1月、高臣大介展の事だ。撤退前
の最後の展覧会だった。同じようにヒロさん、ケイさんが演奏していた。この時も2
度演奏したのだ。そして、大介さんもヒロさんも酔いつぶれてそのまま2階に泊ま
っていったのだ。その翌朝知らない女性が俯いて窓の傍に居たという今はもう伝
説のようになった白樺の精の話が残る日の事である。(*ブログ・2006年1月掲
載)。そして、もうひとつ重なるように想い出される事があった。2006年7月の故村
岸宏昭さんの個展最終日の夜、村岸さんはギターの演奏をして根を尽き果て弦を
切り、ぶっ倒れたのも2階の吹き抜けの位置だった事である。太田ヒロさんと村岸
さんの演奏も以前のスペースで野上裕之さんと石田尚志さんのコラボレーシヨン
時にあったのだ。村岸さんは、個展の終わり近く来てくれたヒロさんの事をとても喜
んでいた。それ以来ヒロさんはここにあまり顔を出していなかったから、きっと村岸
さんも喜んで、昨夜は来ていたような気がする。白熱したヒロさん達の演奏につら
れるように、大介さんも乗る。声を上げ、体を動かしリズムを激しくとる。ふと気付く
といつの間にか、谷口顕一郎さんことケンちゃんの姿が在った。岡本太郎美術館
の展示で日本に帰っていて、東京から今日ここまで来てくれたのだった。大喜びの
大介さんはもう止まらなくなって飲み過ぎてこの後ぶっ倒れてしまった。なかなか帰
ろうとしない人たちがやっと帰り電気を消した時、2階に誰か居るとケンちゃんが言
う。太田ヒロさんだった。これはもう2年前の再現である。でも今回は此処で泊まら
ずふらふらしている彼を抱え、送る事にする。重い鉄の楽器の搬出は、翌日にした
。もしまた彼が泊まっていたなら、翌朝どんな精霊が出てきたのだろうか。多分背
の高い村岸さんが来ていたかも知れないと思うのだ。生と死の界(さかい)をトラン
スとして、夜の函があった。そう思える初日の夜だった。

*高臣大介冬のガラス展「雪と花光とgla_gla」-1月22日(火)-2月3日(日)
 am11時ーpm7時(月曜休廊)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向き
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2008-01-23 14:09 | Comments(0)


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