茨城にいる妹から小荷物が届く。干し芋と干し柿と歯周病予防の歯磨き。何か欲
しいものある?と電話が来たのが数日前。その時何故か無性に干し柿が食べた
かったので、そう答えた。その通りに送ってくれたのだ。女房を亡くしてから妹が
優しい。何ヶ月前は佃煮とブリーフだった。今回も歯磨きが一緒なのが何か母親
のようだ。色気抜きの実物である。こういう具体的な思い遣りに女性の現実感覚を
見る。wild sideーが荒野ではなくワイルドよと言った謂いは、こうした現実感覚に
も表れている。現実の<現>は、-玉の光がかがやいていてはっきりしているの
が現ーでその輝きの方に寄ってある現実と、<実>の方に寄ってー実の古字<
實>は、貝の象形文字からきていて、貝は昔の通貨であり宝であるーという宝の
現実とに男女の価値観の比重の相違を見る気もする。夢現(ゆめうつつ)のうつつ
(現)という観念性に拠りがちな男性性と、実(み)というたから(實)に拠りがちな女
性性の相違が<現実>という言葉の分解にも、顕われてきているように思える。ど
っちがどうという問題ではなく、きっとふたつ併せて人間的なのだ。
昨夜中川潤さんとふたりで飲む。石狩・知津狩の廃屋を何年もかけてこつこつと
自宅に改造して住んでいる彼の夢現(ゆめうつつ)を聞いた。閉じられた旧知津狩
川の水門を造りたいと言う。ショートカットされた本来の川の流れを復活させたい
という夢なのだ。石狩に移り住んだ証しに、この仕事をしたいと言った。人間中心
の公共事業によって喪われた川の流れを再生したいというその夢は、多いに賛同
できるものだった。私が日頃思っているRepublicの試みと同じ性質である。人間
の都合だけで強引に自然を改造してきた近代の歴史をその吸気のブラックホール
から解放しなくてはいけない。自然児たる中川潤さんもまた、彼なりの石狩・5月の
共和国を想っているのを感じた。ニセコの古い土蔵と旧知津狩川の水門。このふた
つの彼がもつ夢が、現(うつつ)の光が玉のように輝いて、いい夜だった。
*森万喜子展ー20日(日)まで。am11時ーpm7時
*高臣大介冬のガラス展「雪と花光とgla_gla」-1月22日(火)-2月3日(日)
:22日午後7時~太田ヒロパーカッシヨンライブ
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
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