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テンポラリー通信

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2007年 12月 06日

白い朝ー視線と拠点(2)

カーテンを開けると真っ白い世界が広がっていた。久し振りの雪の朝。うっすらと
積もった白い路面を急速に陽光が黒く染めていく。雪が世界を覆うと世界は柔ら
かくなる。覆われることで隠れた本質が迫り出す。山の容(かたち)樹の容(かた
ち)地形の様子。見えなかった骨格が見えてくる。人間が覆う事と自然が覆うこと
とは何故にこうも違うのか。人は隠し、自然は顕わにする。クリストという梱包アー
トの作家がいる。フロリダの島々をピンクの布で覆ったり、ドイツの国会議事堂を
布で梱包したりする著名なアーテイストである。彼は既存の形を覆うことでその
物の本質的な容(かたち)を顕わにするラデイカルなインスタレーシヨンで有名で
ある。対象の社会的な衣装を無表情な布で覆う事でその社会的意味を無化し構
造物そのものの骨格を顕在化する。国会議事堂は梱包される事で社会的衣装を
無化されひとつの構造物という純粋な容(かたち)に転換される。それが有名な橋
であれ小島であれ建築物であれ梱包される事で美しい<かたち>に変容するの
だ。谷口顕一郎さんが壁や路上の凹みー傷痕を純粋な<かたち>に変容する事
とどこか似た仕事とも思える。対象の規模の差こそあれ<かたち>の純粋な求道
者として現実に存在するものを素材に削ぎ落とし<かたち>の美を追求する姿勢
とプロセスは近似するものがあると私は思うのだ。衣服から始まり建物、街と人間
は様々な社会的衣装を纏う存在である。その衣装の優劣はそのまま社会的位置
をも表わす。衣装が存在にとって変わる事も多々あるのだ。建物に例えれば林立
する高層ビル群は富の象徴とも社会的には見えるだろう。しかし今朝のような雪に
覆われた雪の梱包の風景の中では林立する黒々とした灰色の墓石のように見える
のだ。地上から見上げる視線ではなく俯瞰する視線の内には高層ビル群はただの
石ころのようにしか見えない。<かたち>の本質から見れば少しもそこに美はない
のである。クリストやケンちゃんが行為として実践する<かたち>の探求には同じ
ようなある奪還の動機が潜んでいる。形を<かたち>として自立させる事。形容詞
を剥ぎ取りその基の姿を顕わにする事。この奪還の意味には多くの反社会的闘い
が込められている。それはより多く、より速く、より高くと競争社会の形容詞的暴走
から世界を抜き出す闘いともいえる。纏う事で美しく惹き出されるものと、纏う事で
醜く増幅されるものその選別の闘いを白い雪景色が教えてくれる。

*常設(収蔵品)展ー8日(土)まで。:村上善男、佐々木徹、一原有徳、岡部昌生
 ほか。am11時ーpm7時
*福井優子キャドル展「Cold Fire」-12月11日(火)-23日(日)
 音と灯りのライブー11日午後7時~あらひろこカンテレコンサート入場料1500
 円:16日(日)午後3時半~佐藤歌織ピアノ・オカリナコンサート入場料1000円
 23日(日)午後7時~酒井博史ギター・唄ライブ入場料1000円
*木村環×藤谷康晴展「乱」-12月25日(火)-30日(日):25日-29日木村
 環作品展・公開制作:30日藤谷康晴ライブドローイング午後5時~木村環の作
 品に直接藤谷康晴がドローイングするライブです。

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2007-12-06 12:20 | Comments(0)


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