曇天の灰色の空に一本の街路樹が葉の衣を落とし黒々とした幹と梢を広げて立
っている。いつものように”やあ、友よ”と挨拶する。埋められた界川の真上に立つ
美しい姿の街路樹。根の先はきっと見えない水脈に触れている。その為か枝先の
勢いが他と違うのだ。植樹された命。でもその見えない川と交感している立姿は活
き活きとしていて並列する他の街路樹とは違うのだ。整備された道路の下に在る
基の自然に彼は触れている。だから、彼の命の立ち姿は凛としている。そこに気
付いてから彼という一本の街路樹に友情を感じてきたのだ。ともにさっぽろの今を
生きている。昨夜、師走初日の12月1日。ここで知り合った若い友人たちが集まり
忘年会をする。今年初の個展をしたN君、I君、来年個展予定のKさん、N君の恋人
Eさんとふたつのカップルが来た。その前に札大山口文庫に勤める小山玲子さん
が来る。私の入院時對馬千恵さんとふたりでお見舞いに来てくれ綺麗なブランケ
ットを差し入れてくれた。暖かく今も重宝しているのでお礼を述べる。家族の話や
ら体調のことなど話題は種々で結構話し込んだ。小山さんが帰る頃4人が鍋やら
コンロやらお惣菜を持ち込んで鍋パーテイーが始まる。Eさんが手造りのクッキー
やトマトの煮込み料理を用意してくれ美味しく頂いた。鍋奉行はI君で酒奉行はN
君と今年1年を振り返るでもなくわいわいとみんなで鍋をつっつく。最後にうどんを
入れるまで若いふたつのカップルに囲まれ少しあてられたりしながら夜が更けた。
最終の地下鉄には間に合わなかった。みんなが来る前来週展示の常設展の作品
を作品庫から選んだ。一原有徳さんのステンレス板に焼き付けた作品。岡部昌生
さんのビッキの神の舌のフロッタージュ。今年5月亡くなった佐々木徹さんの’92
年の作品。昨年亡くなった東北の作家村上善男さんの作品。映像作家山田勇男さ
んの立体作品等を飾る事にした。真ん中には藤谷康晴さんのトーテンポール。あと
窓辺の空間には高臣大介さんと屋比久純子さんのガラス作品を置いた。最終的に
は今日谷口顕一郎さんが来るので相談しながら展示する積りだ。来週の福井優子
さんの展示まであまり普段見れない作品がここを埋めていく。作品庫に眠っている
優れた作品がこうしてたまに陽の目を浴びるのも悪くはないなあと思った。
*常設展ー12月4日(火)-8日(土):村上善男、一原有徳、岡部昌生ほか。
*福井優子キャンドル展「Cold Fire」-12月11日(火)-23日(日)月曜休廊
:11日(火)あらひろこカンテレコンサート午後7時~入場料1500円
:16日(日)佐藤歌織ピアノ・オカリナコンサート午後3時半~入場料1000円
:23日(日)酒井博史ギター・唄ライブ午後7時~入場料1000円
*木村環×藤谷康晴ライブドローイング「乱」-12月25日(火)-30日(日)
25日ー29日木村環作品展・公開制作。30日午後5時~藤谷康晴ライブドロー
イング・木村環の作品に藤谷康晴が直接ドローイングをするライブです。
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り西向
tel/fax011-737-5503