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テンポラリー通信

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2007年 11月 08日

ベルリンの凹みー冬の輪舞曲(12)

ケンちゃんこと谷口顕一郎さんがフイルムにトレースした4mほどのベルリンの路
上の凹みをカットし黄色のプラスチック板に立体化していく作業に入っている。今
日中にカッテイングの作業を終え会期中に立体化が完成の予定である。ペインテ
イングの作品は3枚目がほぼ完成した。毎日彩さんとともにこつこつと仕事を続け
夕方閉廊時間近くには訪れる人とともにビールを飲んでいる。昨日も3、4人の人
たちと楽しく飲んだ。この現在製作中の作品は明年1月に岡本太郎美術館に展示
の予定が決まっている。フイルムからカットされた凹みが壁に今は貼り付けられて
いるがそれだけでも会場の空気が当初とは違う。ペインテイングの作品とともに不
思議な有機的な空間となった。これが立体化して完成に近づくともっと空間は引き
締まって濃くなるに違いない。路上の意図せざる無名の痕跡がその傷痕を<かた
ち>として自立し作家の手によって独立した作品に仕上がっていく過程に我々は
立ち会う事となる。ギヤラリーがある額縁に入った特権的な環境ではなく作品の
仕上がっていくプロセスも含めてその空間があることに箱ではなく函としてのテン
ポラリースペースの役割と存在がある。深く溜まりそして溢れていくのだ。川の淵
のように。先日今道立近代美術館に展示中で尾道の野上裕之さんと共にここを
訪ねて来てくれた東京のガラス作家青木美歌さんも川崎岡本太郎美術館に明年
出品が決まっている事が展示割り当ての会場図を見て分った。それも谷口さんの
前の位置なのだ。先日初めて出会ったばかりなのだが偶然とはいえ不思議な出
会いである。この人との出会いもまた函の保つ大きな作用なのだ。作品とともに
人もまた溜まり溢れる。毛細血管のような小さなディテールが出会いを重ね大き
なネットを繋げていく。静脈や動脈のように太く根幹と生っていく。ギヤラリーとア
トリエの違いはその個から他への広がりの位相の違いにこそある。作品が媒介
となって人が人と感性のチャンネル・運河を保つ。水位の違うふたつの世界がそ
の運河を通してすっと繋がる。その場が函としてのギヤラリーなのだ。特権的な
上意下達の構造からはそうした交流は生まれてこないのだ。谷口さんの個展は
その函の淵としての交流を沢山発しながら18日までまだまだ続いていく。

*谷口顕一郎展「ペインテイングによる」-11月3日(土)-18日(日)
 am11時ーpm7時(月曜休廊)
*いずみなおこ展「森の記憶}-11月20日(火)-25日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り入り口
 tel/fax011-737ー5503

by kakiten | 2007-11-08 12:08 | Comments(0)


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