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テンポラリー通信

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2007年 09月 12日

在り得ることに触れるー秋の序奏(11)

午後の陽射しが茶褐色の柔らかな鉄の肌に触れている。木の床面に焼け焦げ
た痕がうっすらと狐色の濃淡をみせて残っているのが見える。これは昨年の阿
部作品の痕跡である。大きな円盤状の中心に凸部があってその内側に電熱の
装置が仕掛けられ凸部を暖めていたのだ。そこに上から吊られた舟の形をした
器の小さな穴から水滴が落下しじゅっと煙を立てて蒸発する。時間とともにその
水の落下地点には錆の丘が形成されていった。その電熱の部分が外れて内に
落ち床を焦がしたのである。その痕に沿うように今回の作品が立っている。1年間
使い込まれた木の床板と1年前の焦げ痕と、今茶褐色の鉄の作品が一体化して
在る。そこに午後の陽射しが柔らかく包むように落ちていた。旭川まで出かけた阿
部さんから電話が入る。今朝早くガラスの高臣大介さんの車で旭川に向かったの
だ。洞爺に帰る途中大介さんがこちらに寄るという。洞爺のお祭りで獅子舞の練
習に忙殺され夜遅くか早朝にしか時間が取れず九州福岡での阿部・高臣2人展
の打ち合わせを旭川まで同行する事で車中で相談が纏まったようだった。阿部さ
んを旭川まで送った後この作品展を見に大介さんが立ち寄ると言うのだ。程なく
大介さんの車が着く。初の九州展を12月初旬に決めたと言う。鉄とガラスのコラ
ボレーシヨンでふたりはどんな作品を生むのだろう。隼人系の顔立ちの高臣さん
は九州への憧れをこれまで何度も口にしてきた。昨年ここで阿部さんと出会った
のがきっかけで先ずはふたり展という形で九州に初デビューという事になる。物産
展のような工藝からのデビューではなく彫刻家との2人展である。作家としても高
臣さんにはいい機会となるだろう。しかも憧れの未知の場である。思う存分に力を
発揮して欲しいと思う。阿部さんの作品を見ながらしばらくぶりの四方山話をしなが
らも彼の目は絶え間なく作品に触っていた。想いの在り得る所に触れる。作品がき
っと作品を生むだろう。夕刻下沢敏也さん来る。2度目である。作品がしっとりとし
てこの間とは見え方が違うと言う。鉄が柔らかく肌のように見える。しばし言葉なく
見惚れていた。陶芸の下沢敏也、ガラスの高臣大介それぞれの阿部守となる。

*阿部守展ー11日(火)-23日(日)am11時ーpm7時月曜休廊
*中嶋幸治展「Dam of wind、for the return」-25日(火)-30日(日)
*毛利史長・河合利昭展「産土不一致sand which」-10月2日(火)-12日
 (日)
*柏倉一統展ー10月16日(火)-21日(日)
*石田善彦追悼展ー23日(火)-28日(日)
*谷口顕一郎展ー11月3日(土)-18日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り入り口
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2007-09-12 15:44 | Comments(0)


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