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2007年 08月 24日
2階でブログを打っていると下で声がした。開廊と同時に人が来て作家は連日で 疲れたのか昼過ぎても顔を出さない。何人かが見ていったが待ち草臥れて帰っ た後だった。私を呼ぶ声がする。降りていくと何年ぶりだろうか今は仙台に住む 美術家の椎名勇仁さんだった。ハワイのキラウエア火山で作品焼成を試みるパ フォーマンスの映像とその焼成した作品を展示した個展を札幌在住時代にテン ポラリーでしている。溶岩の流れる間際まで行き粘土の作品をマグマの熱で焼く という危険なぎりぎりの行為を伴なうアブナイ作業である。そして危ない作家でも ある。最初の出会いもアブナイ場面で始まった。私は当時円山北町で花器店も していて多忙だった。そこへ椎名さんがふらりと来て机で伝票の記載に忙殺され ていた私の前に立ち展覧会をさせろというような事をぶっきらぼうに話しかけたの だ。私もまたぶっきらぼうに今仕事で忙しいので何とかと言った。その態度が勘 に触ったのか”お前だけが忙しいんでないんだよ”とか言って殺気立つのが机の 急ぎの伝票をつけながら感じていた。くるなと思う間もなく鉄拳が飛んできた。私 は感で咄嗟に身をかわし反動でひっくり返った。6月に亡くなった女房が声をあげ たまたま居た友人が椎名さんの背後から羽交い絞めにする。それが最初の出会 いだった。多分自尊心強くぎりぎりの危ない精神のままギヤラリーのお願いに来 るという状況で彼の誇り高い自尊心を私は傷つけたのだろう。ただ私は感じるもの があった。真っ直ぐ向かってきた事にである。そのまま帰って悪口を言って周るよ り彼の純粋なストレートさを感じていたのである。翌日菓子折りを持ってお詫びに 訪れてくれた時はもうわだかまりは何もなく個展の日程を話しあっていた。あの時 奥さんの声が一番響きましたよ。あれで行動が鈍ってしまったと椎名さんが思い 出すように言った。もう5,6年も前の話だが晩年疎遠だった妻に何か供養ができ たようでその一言に感謝した。椎名さんと一緒に来た長崎県でギヤラリーを立ち 上げている鈴木順子さんは作家でもあり自らそのギヤラリーでビデオとインスタ レーシヨンの個展を終えたたばかりと言う。大学は山形でかって帯広のデメーテ ルのアートイヴェントで来道したと言う。茨城出身で現在は長崎と穏やかな顔をし ているが行動的な女性である。作家を続けつつ有田焼の古い工房をギヤラリー にして場の創出にもかかわるという彼女もまた耕作者としての同時代意識を保っ ている人と思う。長崎まで行ってしまうアクテイブな精神に感心する。今回はプラハ プロジェクトの大橋さんの呼掛けで石狩望来浜でのアートキヤンプに参加する為 札幌に来たと言う。そんなふたりと昼から飲みだした。心地よい風が吹き、佐々木 さんの日常の音が流れ何か傍で人がいて屈託なく話をしているようで楽だった。そ の内に佐々木さんも来て話が弾む。さらに切れ目なく人が入る。会場の梯子を使 い裏から階段で下りてくるので我々の話している場所も通り道となる。多い時は20 人位の人がたむろしてぞろぞろ会場を周遊していた。それが閉廊の時間まで続い た。椎名さんたちは結局最後までいてほろ酔いのまま帰った。佐々木さんと話す時 間もない、人途切れずの1日だった。 *佐々木恒雄展「crickers」-26日(日)まで。am11時ーpm7時。 *石田尚志展ー28日(火)-9月9日(日) *阿部守展ー9月11日(火)-23日(日) *中嶋幸治展「Dam of wind、for the return」-9月25日(火)-30日(日) *毛利史長・河合利昭展「産土不一致 sand which」-10月2日(火)-12日 (金) *石田善彦追悼展ー10月23日(火)-28日(日) テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り入り口 tel/fax011-737-5503
by kakiten
| 2007-08-24 12:17
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