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テンポラリー通信

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2007年 08月 10日

紙一重の宙(そら)ー村岸シーツ(10)

昨夜は10時過ぎまで小牧さんの会場撮影がある。7時過ぎまで村岸さんの記録
集を熱心に読む人たちがいてなかなか撮影のタイミングがなかった。辺りが完全
に暗くなり外へと灯りが洩れて、正面のふたつのガラス戸が同時に内部を見せ
ている。円錐形の突起物で覆われた右の入り口の内部は白い翳の中に沈んで
いる。左のガラス戸の内部は対照的に明るく鉛の錘をつけた絹糸と鳴子の垂直
な線が幾つも重なり揺れている。同時に外から見るとこのふたつの光景はあたか
も生と死の世界のようである。そして左の鳴子の世界に人がいて音を楽しんでい
る様子は幻想的な浮世の感じすらするのだ。静謐な右の白い翳の世界とゆらゆ
らと糸と人が揺れている世界を同時に外からみる事ができるのは今回の展覧会
の巧まざる効果といえるだろう。最終日にはこの位置で路上から夜打ち上げをし
たいくらいだ。村岸さんの残した美術のスコアがこの場で新たな表現の可能性を
示したのだ。いい写真が撮れそうと小牧さんが興奮し集中している。
東京のいしまるさんからPsalmのフライヤーが届く。佐佐木方斎さんから「阿閉
正美詩集」が届く。佐佐木さんはとうとう長年の宿願だった友人の本を自力で纏
め出版したのだ。昨年今頃彼の個展を企画し’80年代の軌跡を展示した時から
ちようど1年が経ち見事に復活しつつある。御祝いの電話をする。明るく意欲的
な方斎がいた。村岸さんの死の報が届きここになんとなく人が追悼に集まってく
る毎日に佐佐木方斎の「美術ノート」や現代作家展の資料を’80年代生れの人
たちが貪るように見ていたのを思い出す。1年後の今、佐佐木さんの生きる意欲
が復活し村岸さんの新たな展示が今、為されている。死者も生者も今回の展示
のように右と左の隣り合わせの紙一重の宙をここで住み分けているのかも知れ
ない。

*「木は水を運んでいる」-村岸宏昭の記録展ー12日(日)まで。
 遺作コンサートー10日(金)午後6時~於ザ・ルーテルホール(大通り西6)
*及川恒平ライブ「だきあえぬうお」ー18日(土)午後6時~予約2500円当日
  3000円
*Psalmライブー19日(日)午後6時~入場料1000円
*佐佐木恒雄展「crickers」-21日(火)-26日(日)
*石田尚志展ー28日(火)-9月9日(日)

 テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2007-08-10 12:26 | Comments(0)


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