2007年 08月 01日
8月7日スタートの村岸宏昭の記録展「木は水を運んでいる」の会場造りが始ま る。彼の高校時代の美術の先生斎藤周さんを中心にインスタレーシヨンの再現 が試みられる。お盆までムラギシシーツの毎日が続く。ひとりの人間の死が多く の人を動かしその生きた軌跡を辿りながら今生きている生を問う。死者は必ずし も消え去った訳ではない。新たな発見を生者に今も促している。そんな優れた死 者をこの1年間幾人も数えてきた。その誰ひとりとして今も消え去ってはいない。 そんななか昨年11月に催された美術のイヴェント「fix mix max」の冊子が先 日送られてきた。この約半年の間にもこれに関連した死者がふたりいる。このイ ベントの実行委員会会長を務めた門馬よ宇子さんと美術家の佐々木徹さんであ る。しかしこの総括集ともいうべき冊子からその個々の死者への想いは伝わって はこない。道立近代美術館に展示した14人を主体にした編集に今年5月逝去し た佐々木徹さんを加えて15人の主役以外のイベントは殆んどただの記録だけ である。佐々木さんも実は最初のフライヤーには表示すらないのだがそれも武 田浩志さんの展示作品の個人招請という形で部分的に関っただけであった。しか し5月の死によって追悼の気持ちからか他の14人とともに格上げされ15人目と して掲載されたと思われる。もう一人の6月の死者門馬よ宇子さんはイベント自体 の会長として棚上げされ作家としての位置にはいない。さらに7月26日のこのブ ログでも触れた村岸宏昭さんに至っては「イベント担当」として実行委員に名を連 ねているだけで「実行委員会のあゆみ」の記載にはその死さえ記されていない。 3人の優れた死者への想いはこのアートイベントの冊子から少しも感じる事が出 来ないのである。「格上げ」され「棚上げ」され「振り分け」られた3人の故人がいる だけである。優れて作家であった死者を悼むことに鈍感な生者に文化の基軸が 存在するのだろうか。人が他者を想う人間として一番大切なものがいつの時代で も文化の基本には横たわっている筈である。札幌発、札幌市民企画を声高に唱 え新たな国際アートプロジェクトを謳ったこのイベントが個への視点を喪失して量 数の多寡を成果とする生者の驕りに貫かれ一部特権的美術館展示者の為に為 されていたようにすら思えるのだ。参加人員の多さを誇りながらアトリエ→画廊→ 美術館の世俗勝ち組みパターンから一歩もでる事の無い古い権威主義の匂いさ え漂ってくるのである。そこでは死者の想いは腐臭を放つしかない。そして死者は 棚上げされ、祭壇に格上げされ、振り分けられる葬儀の手順のように消去される しかないのだ。 *村岸宏昭の記録展「木は水を運んでいる」-8月7日(火)-12日(日) :1~6日会場設営で休廊 併催ー遺作コンサート10日(金)午後6時~於ザ・ルーテルホール(大通り西6) 追悼ライブ6日(月)午後7時~於ライブハウス「LOG」(北14西3)7日(火)午後 7時~於カフエエスキス(北1西23) *及川恒平ライブ「だきあえぬうお」-8月18日(土)午後6時~予約2500円 当日3000円 *Psalmライブー8月19日(日)午後6時~入場料1000円 *佐々木恒雄展「crickers」-8月21日(火)-26日(日) *石田尚志展ー8月28日(火)-9月9日(日) *阿部守展ー9月11日(火)-23日(日) *中嶋幸治展「Dam of wind for the return」-9月25日(火)-30日 (日) テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り tel/fax011-737-5503
by kakiten
| 2007-08-01 13:47
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