2007年 07月 26日
森のように泉のように深い蓄積があること。グリーンという名の緑や排水路のよう な川、即絨毯のように敷かれ、即流れることなく磨かれる時間を保つ世界であ ること。それはなにも自然だけに求める事ではない。人間の社会もまたそうある のが本当である。即入店し即出店する。出入りが均等なスペースという空間から 真の街は生まれない。出入り口という均等な穴がぽっかり口をあけ地下にも地上 にも同じ顔が並ぶ。本当の入り口がない。新鮮な世界の転換がない。出店経済 の産業構造はグローバリゼーシヨンという魔物となって街を侵食しその侵食を発 展と錯覚し新しい進歩と錯覚させている。いつの頃からかどこも同じ駅前風景が 拡がり回転寿司みたいなエスカレーターとエレベーターが支配する地に足の無い 街になってきた。この政治経済産業構造に対峙すべき文化構造すら出店文化ー テナント文化に侵食されている。東京、ニューヨーク、パリ、ロンドン、ベルリンその 他諸々。確かにこれらの都市には吸引力がある。行くのはいい。でも肝心の自分 の場はどこにある?行きっ放しで戻れずに未練たらしく帰っても帰りきれず自らが その都市のテナントみたいになってそこを売り物にしている。かっての洋行帰りが 海外に行ったことのみを売り物にしてアメションなどと揶揄された本質は今も大し て変らない。このテナント文化にもうひとつ加わってきたのがホスト文化である。 資本という金満に纏わりつく公的私的文化である。まるでススキノのお祭りみたい に盛り上げて文化ミーハーをかき集めイヴェントと称する。カリスマなんとかに群 がる美容室みたいな美を履き違えた美のコンテストごっこから何が生まれるのか 。結果は知れている。土に風に空気に沁み込む事の静かな確実にして深い時間 をどこやらの名水やどこやらの空気の缶詰で代替し自ら生きる場の退廃に対峙 しない輩に何が出来得るのか。答えは知れているのだ。昨年11月に催されたそ の手のカタログ冊子が贈られてきた。そしてなんと協力者実行委員の名簿にイベ ント担当として村岸宏昭さんの名が掲載されている。6、7月個展の準備と作品作 成でびっしりと時間を費やし8月旅先の四国で事故死した彼が何故イベント担当 なのだ。そんな時間も暇も無かった筈である。彼の遺されたブログを読んでもそ の記述は出てこない。死という額縁を特権化し死者の個としての志をまるで無視 してお飾りのように載せる鈍感さこそ”イベント”と化した”担当”という名称なのだ。 ひとりの人間の個としての深い時間をないがしろにして安直な名称を冠らせるな と言いたい。 *石川亨信展「each pulse,each tempo」ー29日(日)まで。 :28日(土)午後6時~福井岳郎ライブwith栄田佳子(劇団千年王国) *村岸宏昭の記録展「木は水を運んでいる」-8月7日(火)-12日(日) 1~6日は展示作業で休廊 併催:遺作コンサート10日(金)午後6時~於ザ・ルーテルホール(大通り西6) :追悼ライブ6日(月)午後7時~於ライブハウス「LOG」(北14西3) 7日(火)午後7時~カフエエスキス(北1西23) *及川恒平ライブ「だきあえぬうお」-8月18日(土)午後6時~ 予約2500円当日3000円 *Psalmライブー8月19日(日)午後6時~入場料1000円 *佐々木恒雄展「crickers」-8月21日(火)-26日(日) *石田尚志展ー8月28日(火)-9月9日(日) *阿部守展ー9月11日(火)-23日(日) *中嶋幸治展「Dam of wind for the return」9月25日(火)-30日(日) テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り tel/fax011-737-5503
by kakiten
| 2007-07-26 14:31
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Comments(1)
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上記の記事の村岸君の件、まったくそのとおりだと私も思います。
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