人気ブログランキング |

テンポラリー通信

kakiten.exblog.jp
ブログトップ
2007年 07月 25日

馬頭琴と喉笛ー夏の旗(46)

昨夜は嵯峨治彦さんの馬頭琴と喉笛の演奏があった。夕闇が迫りつつあるなか
頃合いを計るように沈黙が続き演奏が静かに始まる。嵯峨さんはフアンが多い
のだろう、会場に着いてすぐ”サガチャン、サガチャン”と気安く呼ぶ甲高い声の
女性が二人連れで来て何かうんざりしていたのだ。彼女たちは別に演奏を聞く
為に来たのではなくたまたま嵯峨さんを見かけてついて来たらしく演奏開始時に
はもう居なかった。演奏が始まり深く濃く目を瞑っているとモンゴルの風と渺々と
広がる青い草原のゲルの中にいるようだった。1時間余りを吹き抜けの上に下の
床に腰を下ろした人たちがゆらゆらと体で音を受け止めながら彼の音を抱くように
聞いていた。楽器と人間の喉それ以外の増幅装置は何も無くそれだけで充分空
間は満たされていた。終演後帰り際の立ち話で嵯峨さんが”前のスペースも音が
よく響いたけどここもいいですね”と言った。パオかゲルで聞くようなものでやはり
ホールやコンサート会場でなくこういう形が一番自然ですよね、と言ったら頷いて
くれた。伽藍にある仏像彫刻をガラス張りのケースに入れ美術館の照明の下で
みるある種の異和感と同じで夕闇の薄明のなか車座でみんなが囲むようにして
楽器そのものから発する音色と喉から発する声を聞くのが一番自然なのだ。石
川さんの沈んだ色彩の銅版画が音を通してある広がりを保って存在したかのよ
うである。馬頭琴の音と嵯峨さんの喉声と夕暮れの光とが作品の色彩を刻々と
変化させ色と音と声が黄昏の道行きを果たしていたのだ。小細工のいらない時間
だった。またひとつこの空間が深さを保ったような気がする。今夜は酒井博史さん
が唄う。昔石川さんがお盆の読経に酒井家を訪ねひねた小僧の印象だった酒井
さんが今回どんな印象を与えるのか、初めて彼の唄声を聞く石川さんの反応が
楽しみである。

*石川亨信展「each pulse、each tempo」-29日(日)まで。
 :25日午後7時~酒井博史ライブ
 :28日午後6時~福井岳郎ライブ・栄田佳子共演
  (投げ銭による公演です)
*村岸宏昭の記録展「木は水を運んでいる」-8月7日(火)ー12日(日)
 :1-6日は展示作業で休廊
 :併催ー遺作コンサート8月10日(金)午後6時~於ザ・ルーテルホール(大通り
  西6)追悼ライブ8月6日(月)午後7時~於ライブハウス「LOG」(北14西3)
  7日(火)午後7時~於カフエエスキス(北1西23)
*及川恒平ライブ「だきあえぬうお」-8月18日(土)午後6時~
  予約2500円当日3000円
*Psalmライブー8月19日(日)午後6時~入場料1000円
*佐々木恒雄展「crickers」-8月21日(火)-26日(日)
*石田尚志展ー8月28日(火)-9月9日(日)
 於テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り
 tel/fax011-737-5503 

 

by kakiten | 2007-07-25 11:29 | Comments(0)


<< 森のように泉のようにー夏の旗(47)      いろいろ重なる日ー夏の旗(45) >>