縦に1m40cm横に50cmの銅版画が壁に固定されず床に直接やや斜めに立て
かけられ一枚は床にこれも斜めに横たわって置かれている。1点は光る銅板その
ものでこれが入って正面に立てて置かれている。床に置かれた作品は中心が円
のように縺れ縦に伸びた茶褐色の模様が抽象的に地の暗緑色の上に浮かんで
いる。この作品を取り囲むように小さめの作品、中間の大きさの作品と5点が並ぶ
。2階吹き抜けには同じ縦長の作品が3点少し前向きに固定され小さい作品は2
点2階に上って分かる位置に置かれている。大きな縦長の作品のひとつはやはり
版の素材の銅板そのものだがこちらは下の銅板に比べ磨かれてなく鈍い光沢の
ままである。他の作品は泡のような夜桜のような円い斑点が暗い色調の画面に
浮かんでいる。従来の石川さんの展示と違いここでは壁に固定する展示方法を
捨てている。正面から入る外光を受け磨かれた無垢の銅板に見る人自身が映り
込まれさらにその眼の下に精子と卵子のようなエッチングの作品があり同様なフ
ォルムの作品が見る人を囲むように床から直接立って在るのだ。吹き抜けの2階
に上がり座ってみると汚れ曇った同じ銅板が座る人を映し出し周りの作品は欲望
の泡のように見る者を取り巻いている感じがする。下にある磨きこまれた光る銅板
は新たな外の世界を暗示するように未知の無垢のままあり2階の世界はそれまで
の煩悩の世界を象徴してあるかに思える。この空間自体が転生を象徴しrevoluti
onー命革(あらた)むを行為を顕しているかのようである。外に立て掛けられた大
きな作品はその転生への入り口に立つ門のように在って見る人はそこを意識し入
る事ですぐ正面に立つ磨きこまれた銅板に映る揺らぐ自らの翳の姿に出会いある
意識の胎内へと誘われるのだ。会場をゆっくりと見、上下の空間を経験する事で
再びその無垢の銅板に立つと入ってきた時とまた違う新たな世界への入り口のよ
うに存在する事となる。作家の9月初の海外個展ニューヨークへの新たな外界へ
の微かな期待と慄きもそこには篭められているのかも知れないが私にはこのイン
スタレーシヨン的展示が命革(あらた)む胎内曼陀羅の世界のように思えてならな
い。
*石川亨信展「each pulse each、tempo」-7月17日(火)-29日(日)
am11時~pm7時
*村岸宏昭の記録展「木は水を運んでいる」-8月7日(火)-12日(日)
併催遺作コンサート10日(金)午後6時~於ザ・ルーテルホール(大通り西6)
追悼ライブ6日(月)午後7時~於ライブハウス「LOG」(北14西3)7日(火)午後
7時~於カフェエスキス(北1西23)
*及川恒平ライブ「だきあえぬうお」-8月18日(土)午後6時~
予約2500円当日3000円
*Psalmライブー8月19日(日)ごご6時~入場料1000円
*佐々木恒雄展「crickers」-8月21日(火)-26日(日)
*石田尚志展ー8月28日(火)-9月9日(日)
*阿部守展ー9月11日(火)-23日(日)
*中嶋幸治展「Dam of wind for the return」-9月25日(火)-30日(日)
於テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り
tel/fax011-737-5503