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テンポラリー通信

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2007年 07月 13日

心のキッチンー夏の旗(35)

死にはある種のファシズムがある。死者もまた君臨するのだ。葬儀産業はその死
のブランドによって成立する。個が個を想う。その回路に同調して電波ウイールス
のように忍び入る。そして増幅する。こうなると仏教の教えもその葬儀ビジネスの
段取りの役割でしかない。社会的にも死者の名を借りて事業のように増幅作用が
起きる。本質は故人の個を悼みその志を共有する事にある。生の側に純粋素とし
て還元され生と死を繋ぐ心のキッチンが必要である。屍体を調理し生きる栄養とす
る料理の精神の場が台所である。死もまた生にリパブリックされなければいけない
。死というパブリックな事実を前にしてうろたえ死者をやたらと持ち上げてはいけな
いのだ。死という厳粛な公をブランド化し擦り寄る。そこにビジネスが発生し、文化
的には退廃が生じる。生の側に取って返すキッチンを精神的に保たなければなら
ない。この1年間個人的にも死者の季節が続いている。そして今年はその死者の
追悼の行事が続く。初盆、一周忌。村岸宏昭さん、石田善彦さん。優れて純粋な
友人たちであった。その死がもたらした影響は今も波紋のように心にひろがってい
る。死者の眼差しがその先に見続けていたものはなんなのか。それは今もラデイ
カルな輝きを失ってはいない。その鮮度を生者は調理しなければいけない。それ
が義務であり供養である。防腐剤漬けにしてブランド化してはならない。飾りにし
して祭り上げるのはなんらかの意図が隠されているからだ。その意図が増幅すれ
ば商業主義や便乗テナント文化がまかり通る。心のキッチンを喪失すれば死もま
たブランド化する。今夜は月例会議としては最終の村岸さんの追悼の集まりがあ
る。明日は死んだ女房の35日法要である。私の心のキッチンの包丁もまな板も
おろしがねも綺麗に研ぎ磨いておかねばならないのだ。

*後藤和子展「青焔sei-en」-15日(日)まで。am11時~pm7時:陽光に揺ら
 めく青、藍、蒼、碧、あお。CGによる動画。手に取る新鮮なカタログ。3点セットの
 完成です。
*石川亨信展「each pulse、each tempo」-7月17日(火)-29日(日)
 石狩在住の僧侶にして版画家。今秋ニューヨーク個展を前に渾身の個展。
*村岸宏昭の記録展「木は水を運んでいる」-8月7日(火)-12日(日)
 昨年8月四国の川で急逝した若き才能を悼む記録展。:併催遺作コンサート8月
 10日(金)午後6時~於ザ・ルーテルホール(南大通り西6丁目):追悼ライブ8月
 6日(月)午後7時~於ライブハウス「LOG」(北14西3):8月7日(火)午後7時~
 於カフエエスキス(北1西23)完全予約制。
*及川恒平ライブ「だきあえぬうお」ー8月18日(土)午後6時~予約2500円当日
 3000円:今年2度目の魂のフォークソング。
*Psalmライブー8月19日(日)午後6時~入場料1000円映画「もんしぇん」の
 サウンドライブ。主演玉井夕海、中川かりんの音楽パフォーマンス。
*佐々木恒雄展ー8月21日(火)-26日(日):網走出身の骨太な新鋭、初個展。
*石田尚志展ー8月28日(火)-9月9日(日):東京在住の若き天才映像作家
*阿部守展ー9月11日(火)-23日(日):九州在住の鉄の造形作家。1週間滞在
 して石狩河口をテーマに制作。
*中嶋幸治展「Dam of wind for the return」-9月25日(火)-30日(日)
 青森出身のナイーブな俊英。青森の土を素材にさっぽろの風を表現する。
 於テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り
 tel/fax011ー737-5503

by kakiten | 2007-07-13 11:24 | Comments(0)


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