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テンポラリー通信

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2007年 07月 10日

離れ別れて見えるものー夏の旗(32)

ひとつの選択をした時ひとつのあるいは多くの離れ、別れを人は同時に経験する
。必然的な事かも知れない。しかしそれはすべての決定的な別離を意味する訳
では必ずしもない。離れて分かる事もある。このところさっぽろに在住でありなが
らさっぽろ外の出身者の若い人が魅力的である。妹背牛出身、帯広出身、網走
出身、青森出身という人たちである。彼らに共通しているのは札幌生まれの札幌
在住の人間よりも骨が太いという感じを受ける事だ。そして繊細である。かって東
京に行った時いろんな地方からの人間がいて純粋東京生れの人間と匂いの違い
を感じたことがあったがさっぽろも随分と東京ぽくなってきたのだろうか逆に札幌
にいて地方を感じるのである。その札幌外から来ている人が一様に札幌の人間
に感じているらしいのは弱々しく器用だけれど頼りないという印象である。さっぽろ
も都会になったもんだ。そしてこのさっぽろ外の出身者が強く心に思っているのは
故郷の風土、さっぽろという都会にない個別の空気感である。その一人の中嶋幸
治さんは今年9月にテンポラリーで個展をするが彼の個展のタイトルは「Dam of
 wind for the return」である。津軽海峡を越え彼はまだ3ヶ月余りだが敏感に
風土の違いを感じていてそれをテーマに個展を試みる。離れる事で青森の固有の
風と土を確認しその違いから自らのアイデンテイーをテーマとする。<for the 
return>とはその意識を意味すると思われる。選択し別れる事で逆にその基のも
のが見えてくる。そして人間が骨太になる。選択した時他者は何やかんやと評論
家みたいに批評する。それに対し本人にはその時反発と意地しか残らない。しか
し時が経つにつれその選択が己自身にきっちりと戻ってくる。媒介となって己に戻
ってくる。その選択が真摯で真剣であればあっただけ深く戻ってくるのだ。生きる
事の辛さも喜びもその別離と再会にこそある。おっとりと友人、味方に囲まれ地域
から外へと出る決断、選択をしない人生に豊かさも真の悲しみもない。もっと言え
ば真の味方も敵もいないのだ。友人や味方と思えた人間がある選択に際し冷やか
し半分の只の野次馬に過ぎない事もある。分かりきった事をあたかも人生訓やア
カデミックな衣装を纏ってもっともらしくのたまわる輩もいる。その苦さを知った人間
は強く太くなる。それが生き方や作品に出てくる。<for the return>それは再生
なのだ。人間の保つ文化力である。そのようにしてもう一度故郷と出会う。どこでも
同じ駅前の風景なぞクソ食らえ、自ら選択し闘え!妙なサッポロに巣食うエセブン
カと闘え!そう思う。故郷を喪失したエセグローバリゼーシヨンに埋没するな!今
このさっぽろ、この北海道こそその最前線であるのだから。蜂起せよ、十勝!妹背
牛!網走!青森!

*後藤和子展「青焔sei-en」-15日(日)まで。
*石川亨信展「each pulse、each tempo」-7月17日(火)-29日(日)
 :石狩在住の僧侶にして版画家。秋ニユーヨーク個展前の渾身の展覧会
*村岸宏昭の記録展「木は水を運んでいる」-8月7日(火)-12日(日)
 :昨年8月四国鏡川で遭難死した若き天才の音楽と美術の記録展ー併催遺作
 コンサート8月10日(金)午後6時~於ザ・ルーテルホール(大通り西6):追悼
 ライブ8月6日(月)午後7時~於ライブハウス「LOG」(北14西3)
*Psalmライブー8月19日(日)午後6時~映画「もんしぇん」のサウンドライブ
 主演の玉井夕海とかりんによる音楽パフォーマンス
*佐々木恒雄展ー8月21日(火)-26日(日):網走出身の新鋭作家。
*石田尚志展ー8月28日(火)-9月9日(日):東京在住の映像作家。テンポラ
  リー3度目の個展。
*阿部守展ー9月11日(火)-23日(日):九州在住の鉄の作家。昨年に続き2度
 目。今回は8日から滞在し石狩河口をテーマに作品を制作。
*中嶋幸治展「Dam of wind for the return」-9月25日(火)-30日(日)
 :青森出身の若手初の個展青森の土とさっぽろの風を主題に構成される。
 於テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2007-07-10 11:36 | Comments(0)


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