人気ブログランキング | 話題のタグを見る

テンポラリー通信

kakiten.exblog.jp
ブログトップ
2007年 06月 26日

ライスが先かカレーが先かー夏の旗(19)

疲れが溜まっているのか妙に食べ物の事が気になる。寝ながら思った。カレーラ
イスかライスカレーか。そして気が付く。ライスが先なのはご飯が主体でカレーが
先なのはルーや具が主体なのだ。皿の丼物と思えばいい。天丼、カツ丼。お寿司
も一種の上乗せおかずという点では丼物と共通している。ご飯という主役があって
のおかずである。生活が豊かになると本来の主役が逆転してくる。副食のおかず
が主役になる。如何に豪華で珍しく貴重であるかが強調される。この主食と副食の
相違が文明と文化の違いである。文化が人間が主役であるなら文明は如何に人に
役立っているかが役割で本来は人間という主役にとって脇役いわばおかずの役割
である。現代はしばしばそれが逆転して存在する。ライスつまりご飯のないカレー
なぞ在り得ないのに具であるルーの方に主役がいく。いかに高級な肉であるとか
手間をかけた味であるとかが主になってくる。煙草のライトとかマイルドとか何ミリ
とかニコチンの軽さを競うような物である。元の物がなんであるかよりその形容詞
部分が主となる。煙草の害を言う時元の煙草を否定しないで軽いからいいとはな
らない。最も煙草を魔女狩りのようにして環境汚染を煙草に目を向けさす事は環
境破壊という主たる問題に対しては煙草すら脇役的存在であると言える。レイチェ
ルカーソルはその環境破壊を警告した古典的名著「沈黙の春」に煙草の害を書い
た訳ではない。農薬を基本とする食物の汚染の連鎖を沈黙の春としたのだ。原発
の廃棄物を頂点とする環境破壊の問題をおかず程度のもので主役を逆転させる
文明的錯誤は至る所で見られる。ご飯が主役のライスカレーがいつの間にかカレ
ーが主役のカレーライスになりスープカレーに至ってご飯が脇役でおかずのように
なっている。五体五感が主役で便利な道具という機械がいつの間にか主役になり
車やエスカレーターが人間に牙を剥く。文明の発達はおかずの発達であって主役
を譲り影の薄くなる人間の姿を文化がしっかりと奪取しなければならない。美味し
いご飯の為におかずがある。美味しいパンの為におかずがある。主食と副食の差
異が逆転するのは本当に豊かと云えるだろうか。形容的存在はより刺激的な形容
の競走を生むだけなのだ。それは欲の悪無限的連鎖を意味する。お腹の空いた時
ハラ減ったというだろう。身体である。それからメシを食うと言うだろう。ご飯である。
副食のおかずは後から出てくる。足があって車が代行する。眼があってパソコンが
ある。文化力の基本は身体力にこそある。疲れと空腹の妄想が少しはまともになっ
てきたかしらん。昼食はライスカレーにしようっと。でも何のカレーにするかなあ。
あっ、。

*屋比久純子・藤原典子展「LALALAガラス展」-29日(金)迄。am11時ーpm
 7時。26日今夜午後7時から酒井博史ライブー1000円
*後藤和子展「青焔seiーen」-7月3日(火)-15日(日)

by kakiten | 2007-06-26 09:56 | Comments(0)


<< 心にてん刻する歌声ー夏の旗(20)      角砂糖と紅茶ー夏の旗(18) >>