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2007年 06月 07日
奇しくも吉増剛造さんの『アふンルパル』ー入る(アふン)ル(道)パル(口)ーも出 現して「入り口」の話が5月の水戸芸術館で大木裕之さんと石田尚志さんと語り合 ったシンポジュームというかトークの流れが続いている。そして、最近出版された「 B・T」誌でこの松井みどりさん企画の「夏の扉ーマイクロポップな時代」展を巡っ て椹木野衣さんと松井みどりさんが2号にわたって特別対談をしている。「目前の 現実を異化したい」→「日常の変容」という視点から<日常>の質的変化を主たる テーマに語り合っている訳だが、まあ美術評論特有の持って廻った言い方は別に して要するに世界への回路が日々の何の変哲も無い出来事,行為に含まれてい る事の確認なのだ。多分アイヌの人たちも含めた先人たちにとっては当り前の事 とも思われる。アイヌ語に出口という言葉が見当たらず入り口という言葉が圧倒的 に豊富な事からもそれは窺えるのである。マイクロポップという横文字は日常を意 味するならそこに<夏の扉>というタイトルの存在がいかにも評論的であると思う 。<扉。>という存在がもうインテリの観念を顕しているからだ。扉は出入り口に 装着される物ではないか。(とびら・・)は戸より重い。話は変わるがフロッタージュ の作家岡部昌生氏がイタリア・ベネチアビエンナーレ日本館の代表に写真家の港 千尋氏とともに選ばれここのところ連続して新聞紙上で取り上げられている。北海 道北広島市在住で北海道在住で選ばれた事への郷土的な誇りがマスコミ紙上に 多々みられてその上でこれから本番までさらに報道はヒートアップしていくだろう。 岡部氏とはテンポラリーの立ち上げから良き協力者としてまたカタログテキストの デザインと共に’90年代は企画し行動してきた友人ではあるがある時期から袂を 別つてきた。擦り出しという素朴で原初的な表現手段と裏腹に今彼が対象として いるものへのそれこそマイクロポップ的な違和感があったからである。最も日常か ら出発したはずの作家が今対象としている物は有名で著名な非日常とも取れる 場ばかりであるからだ。原爆の地ヒロシマの宇品という廃駅のプラットホームの敷 石が今回のベネチアでも大きな展示の比重を占めこの旧国鉄駅が被害と加害の 象徴とコンセプトされている訳だが、<原爆>という超著名な事象を除けば日本中 のどこの辺鄙な駅口でもそこは兵隊さんを送る日常的な場で在り得たはずなのだ 。また原子力は現在電力の3分の1を占める日常性に有るのだ。そしてもっと決定 的に思えるのはマスコミが北海道在住として注目する彼の住まう場の名前である。 ノースヒロシマシテイー、北広島市という名前である。広島県人移住してきた事を 端的に表わすこの地はかってアイヌ語ではヌポロー野の中の川と呼ばれた場で もある。この場はいわば侵略の痕跡がそのまま名前に冠された地である。この足 下の日常を彼はどのように意識化しているのだろうか。北広島市には本家の原爆 記念館に模した資料館もあるという。文化のテナント化がここにも見られ真の場へ の文化軸は喪失している。現世の美術家としてある頂点にまで駆け上がった岡部 氏があたかも親鸞のように往相から還相としていかに自らの世俗へ還り無名の 衆生の中を歩めるか、むしろベネチア以降にこそ本当の入り口が待っていると思 う。著名な美術家としての扉口をノックするのか、一表現者として無名の入口に佇 むのか今後も一友人として時に厳しく私は口を出すつもりだ。 *有本ゆかり展「ヤシンカの森ーインドからの風」-10日(日)まで。 *LALALAガラス展ー6月19日(火)-29日(金) *後藤和子展「青焔sei-en」-7月3日(火)-15日(日) *石川亨信展「each pulse、each tempo」7月17日(火)-7月29日(日) *村岸宏昭の記録展「木は水を運んでいる」-8月7日(火)-12日(日) 於テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り tel/fax011-737-5503
by kakiten
| 2007-06-07 12:48
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