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テンポラリー通信

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2007年 05月 30日

樫見菜々子展始まるー5月の共和国(15)

初日。樫見さんは仕事があり会場には来られない。ぽっりぽっりと人が来る。正
確にはその気配がする。私は2階事務所にいて吹き抜け部分は白い布で仕切ら
れている為覗いて確認は出来ないのだ。時々様子を見に下へ降りる。昼過ぎ気
配がして下へ降りるときりっとした女性がカフエスペースに座っている。挨拶する
と”樫見です”と言う。菜々さんのお母さんだった。あまりお母さんという感じのしな
い宝塚系の美人だ。明るくはきはきした口調で最近まで市会議員をしていたと言
う。市民グループの団体の出身で反自民系と言った。それでなんとなく分かった。
ジャンヌダルクこれまた系の凛々しさとも云えるからだ。今は議員を辞めて清々し
たと伸びやかな表情で語った。それから色んな話をした。そこへ写真家のAさんが
預けてあったアクリル板を持って来る。ふたりの優れた女性が年代も近い性か話
が跳んであれこれ話題が続く。そのうち美術批評のブログを立ち上げている某氏
も来て会場のあちこちを見て作品の感想が飛び交う。あっという間に時計を見ると
7時に近く仕事を終えた樫見菜々子さんがこちらへ向かうとメールが届く。今日は
母娘で一緒に帰るという。日が長くまだ明るいが薄闇が段々濃くなる。到着した菜
々子さんも含めて外に出て壁の蔦、入口の明かり、南側の窓を見る。お母さんが
建物が全体が可愛いと声を上げる。そう云われてふっと気付く。そうか、カーテン
のひかれた入口の光、外の鉄枠に飾られた白い布の飾り、2階の窓から覗く白い
鳥の影。片流れの茶色の屋根。建物自体が家の形をしたぬいぐるみのようにある
のだ。発見だった。やはり”らぶりいー”だよこれは!その”らぶりいー”の内側が
会場空間なのだ。樫見さんは建物自体の内も外も作品に仕上げてしまったのだ。
夕刻からほの明るい内側の明かりが建物を柔らかな存在に変え、内と外が一体
となって縫い包みのように浮き上がらせるのだった。朝昼の明視の下では内部の
会場が外光のなかでカーテンの柔らかい光に包まれ夕暮れ時からは内部の明か
りが影を増し外へと洩れていく。白い壁しかし木造の保つ柔らかさが冷たい白には
せずカーテンの布の保つ柔らかさと相まって縫い包みの柔らかさを建物自体に与
えているのだ。家まるごとのインスタレーシヨン。家自体が刻々一日の光とともに
変化する内面世界のワイルドサイドとなっているのだった。らぶりいー!こりゃあ、
もう脱帽である。

*樫見菜々子展「微風」-6月3日(日)まで。am11時ーpm7時
*有本ゆかり展「ヤシンカの森ーインドからの風」-6月5日(火)-10日(日)
*gla_gla2人展ー6月19日(火)-29日(金)
 於テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り
 tel/fax011-737-5503

by kakiten | 2007-05-30 11:54 | Comments(0)


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