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テンポラリー通信

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2007年 05月 12日

ふたつの海ー春のにおい(73)

沼田康弘さんの出演していた「もんしぇん」という映画の主人公の名は”はる”とい
う。妊娠中のはるは5月の不知火の美しい海で小さな島の入り江の異界に入り、
様々な経験をするのだがその中のワンシーンに海の中へと歩き入る場面がある。
夜の星と海面の光が美しいシーンである。その時彼女が呟く。<私の中にも海が
ある。>子宮の羊水と海水の交響。女性ならではのシーンだ。5月の共和国と発
想した水戸の「メイ」の時間を経てすぐさっぽろで天草の不知火の5月を映像で経
験するとは思わなかった。映像の中では星と海、緑と鶯の鳴き声が眩しいばかり
に溢れていた。そして美しい妊婦の台詞が海なのだ。<私の中にも海がある>。
この時ふっと反射的に男の海を思った。何がある?そう、中には何も無い。だが
小さな海がある。ワンカップ酒一杯の海。沼田さん、あンるル。るル。見えない海。
この海をぼくら飲み干しましょう。今夜及川恒平さんが唄う。タイトルは<しかも、
もとのみずに>沼田さんも来ると言う。ふたりは東京で映画の出演を巡ってかって
会った事があるという。何年ぶりかの再会。ワンカップ大関一杯の海。男の海が
今夜飲めるかな。会場のセッテイングは福井優子さんの水と緑をイメージしたキヤ
ンドルの灯りをお願いした。5月の宵闇に灯りの海が漂う。声が灯りを揺らし人の身
動ぎが空間に灯りの海面をつくるだろう。そしてワンカップ酒一杯の海を飲もうと想
うのだ。

*及川恒平ライブ「しかも、もとのみずに」-本日午後7時半開演予約2500円
 当日3000円於テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大
 斜め通りtel/fax011-737-5503

by kakiten | 2007-05-12 12:02 | Comments(0)


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