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テンポラリー通信

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2007年 05月 10日

5月の共和国ー春のにおい(71)

水戸でF・Jさんに会った。彼女は昨年8月の村岸宏昭さん遭難時最初に異変に
気付いた人である。そして土砂降りの雨の中遺体発見時には川に虹が架かって
いたとその事を伝えてくれた人だった。四国のヨサコイ祭りで村岸さんに初めて
会いその死に遭遇してひとり何も出来なかった自分をトラウマに感じて誰にも語
れずにいたのだ。村岸さんの死後調べてこのブログに出会い上記の内容をコメ
ントで伝えてくれた時彼女は初めてひとりの人間の死を他者に語る事ができたの
だ。そのF・Jさんが実は今城さんの友人であり今回水戸まで私に会いに来てくれ
た。トークライブには間に合わなかったがその後お会いできた。一周忌を前に川
で遭難死した村岸さんの縁が水戸で繋がったのも不思議な気がする。水・戸です
もの。帰札して翌日夕方夕張に帰省中の沼田康弘さんが来る。昨年完成した「も
んしぇん」という映画のDVDを是非見て欲しいと言う。彼は1989年頃風の旅団
という劇団にいてその時知り合った。野外公演で場所を探していてその話をして
いる内夕張出身と聞いた。私はその頃夕張の真谷地で廃墟となっていた大規模
な建物のコンピユータールームに惹かれて何度も通っていたがそこで拾ってきた
捨てられた書類のような束をどうするというわけでもなく手元に保存していたのだ。
そこでその書類を沼田さんに見せると彼はもの凄い勢いで書類を捲り出し叫んだ
。”俺の親父の会社のだ!”見捨てられたかっては公的な会社の伝票がこの時
初めて公から私の存在として甦り触れられたのだ。保存していた私には触れられ
無かったものが沼田さんによって生き返ったのである。沼田さんとはそれ以来友
人だった。その彼が熊本の天草・不知火の海で撮影された「もんしぇん」という映
画を夕張と札幌と二風谷で上映したいと言う。先ずはという事で約1時間半のそ
の作品を見せて貰った。宮崎駿の「千と千尋の神隠し」でリン役で声の出演もし
ていた玉井夕海という29歳の女性の企画・脚本・音楽・主演による作品である。
12年前に彼女が出会った天草の美しい入り江を彼女は執念で美しいメルヘンの
ような映画にした。対岸に水俣を抱く不知火の海。この近代以前の自然が色濃く
残る澄んだ海と星空。そして眩しい緑の森。見終わって水戸の疲れも含めてしば
し深く沈殿する物があった。映像の輝くような海、空、緑。季節は5月だったのだ。
近代・現代に対置するようにある輝く5月の自然。沼田さんがこの映画を夕張で上
映したい訳がなんとなく理解できた。炭鉱・石炭産業の都市の夕張ではなくそれと
対峙する美しい自然としての夕張。天草・不知火の海の水俣という近現代に対峙
する美しい5月の海。そのふたつが彼の内で重なって輝いているのだ。沼田さん!
今度はあなたが夕張で映像を撮るべきだ、その為のプロセスとしてこの映画の上
映を組み立て遠い夕張の海。天草と同じアンモナイトの古里をテーマにと話した。
彼は何かを感じたのか急に携帯電話をかけ玉井さんに代わると言う。私は思いつ
くまま映像の美しさを誉め古いアイヌ語”るル”という言葉が海を意味しアンるルと
いう地名が夕張に残っていると話した。そして沼田さんともうひとつの海の物語を
是非撮って下さいとお願いした。ミー短い。トー崎。山ノ鼻から海の碕へ。南の海
から北の山へ。不思議な5月の一致。もう5月の共和国は始まっているようだな。
こう書いていると九州の阿部守さんから電話。9月中旬から個展をしたいと言う。
8月末石田尚志展と繋がるなあ。

*及川恒平ライブ「しかも、もとのみずに」-5月12日(土)午後7時半開演
 予約2500円当日3000円於テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁
 目1-8北大斜め通りtel/fax011ー737-5503

by kakiten | 2007-05-10 13:32 | Comments(0)


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