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テンポラリー通信

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2007年 05月 03日

孕む5月ー春のにおい(67)

春の野原には魔物が棲んでいる。娘っ子は危険。そんな話を聞いた時へ~えと
思っていたが確かに5月は孕む季節だ。大地が孕んでいる。圧する雪の重さに
耐えて忍んでいたものがいっせいに立ち上がる勢いがある。その精力のようなも
のに用心、用心と昔の人は若い娘に戒めたのだろう。訪れる山菜の季節。その
栄養は芽吹く力の若芽、若葉に拠るところが大きい。北の雪というハンデイは逆
にさらなる力を与えているのかも知れない。昨日の寒の戻りのような気温と打っ
て変わって今日は晴天,無風。ポカポカ陽気だ。インドから帰国した有本さんが
昨夜来る。同じ時間に樫見菜々子さんも来る。今月末から来月初めに個展を予
定しているふたりだ。それぞれが表現者として今が旬に入ろうとしている。5月の
この季節ぴったりの時期なのだ。寒の戻りのように病に倒れる人、災害に遇う人
。でも芽吹く力のように自分の表現の花を咲かせようとする眉毛の間に力を溜め
訪れる人。これも人間の5月。そう感じた。去るまいとする冬。咲こうとする春、そ
のふたつの季節のせめぎ合いに人間も植物も翻弄されながら季節の只中にいる
。古アイヌの人が語った冬の年と夏の年のせめぎ合い。この摩擦熱に魔物が棲
む。四季が温和に訪れるブラキストンラインの向こうとの違いは短いが苛烈な春
と秋にこそ顕著なのだ。生きる激しさ、枯れる激しさ。緑と赤の短いが激しい春秋
。その過激な魔物の時こそが私たちの生きている場の最も輝く時なのだ。孕む
5月。燃える5月。今年は特にそう感じている。

*木村環展「LIFE GOES ON」-6日(日)まで。am11時ーpm7時
*及川恒平ライブ「しかも、もとのみずに」ー5月12日(土)午後7時半開演。
 予約2500円当日3000円
 於テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り
 tel/fax011-737-5503 Eメール→temporary@marble.ocn.ne.jp

by kakiten | 2007-05-03 11:39 | Comments(0)


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