ー鉄橋のようにわたしは生きるのだ辛い3月4月を越えて(福島泰樹)-その4月
も半ば。何度この歌を脳裏に浮かべて3月4月を越えてきた事だろう。何故か短
い冬の2月を過ぎるとため息のようにこの歌が毎年浮かぶのだ。2月。一年で一
番短い月。そして5月輝く光の季節。その間に位置する3,4月。冬の終わり、冬
の果て。今日も寒の戻りのようにみぞれ雪が降る。冬の木霊。「木は水を運んで
いるー村岸宏昭の記録」の集まりは遺作コンサート、追悼ライブ、記録展と3本の
イヴェントを柱に今年8月6日から12日までの期間に予定され昨夜も有志が集ま
って打ち合わせが進んだ。死者も木霊する。福井優子さんの好意で集まりが終る
まで灯りは点いたままだった。今夜は酒井博史さんの唄声が木霊する。彼の声
が灯りを揺らす。灯りが声に揺れる。声の灯りを灯す。闇が深まり灯りが輝きを増
す。そんな時間のコンサート。音と光、耳と目。そして皮膚に触れる空気。蝋燭の
火の匂い。灯りだけの空間が五感を呼び醒ます。そして世界は濃さを取り戻し有
機的な生きた存在になる。酒井さんのソロはきっと初めて聞き手、場所を一体とし
た経験をするだろう。そんな予感がする。唄うポジシヨンも自由に動いて2階から
下へと動いていくだろう。聴衆も聞く場所を自由に選んで動いていくだろう。そして
それが何をもたらすのか、そのことが何の意味を持つのか、何も解らない。ただ
この小さな空間が濃くなり深まり自由になるだけだ。そしてその時間が<辛い3
月4月を越えて>いく鉄橋の時間なのだ。表現もまた木霊する。ジャンルを越え
個を越え木霊する。contemporaryの<CON>が架橋する。寒いみぞれの日。
今夜、酒井さんの唄声は幾つの木霊を呼ぶのだろうか。
及川恒平さんが、自身のホームページにここでのライブの告知を載せている。
「しかも、もとのみずに」
テンポラリースペースで歌わせていただくのは、昨秋来。
テンポラリー通信の読者は、あの場の在り様が、すでにして、
たたかいであることは、理解していよう。
kakiten氏は、日々書きとめることが、
今務めとかんがえていらつしゃる。
それは、あの場に満ちる空気に重量を与える作業といえる。
そこで歌うのだ。
聴いていただきたい。
及川恒平
剛なる直球の言霊。胸に沁みるメッセージだった。3月このブログで触れた「冬の
ロボット」という及川恒平さんの名唱。その冬のロボットの答えを聞いているようだ。
あかり、こだま、ことだま。5月12日(土)午後7時開場。及川恒平ライブ「しかも
もとのみずに」。是非聴いていただきたい。です。
*福井優子「春を灯す」特別篇ー午後5時~7時までのキヤンドルアート展
今日まで。
*酒井博史ライブ「声の灯りを灯す」-今日午後7時から。入場料1000円
*木村環展「LIFE GOES ON」-4月17日(火)-5月6日(日)月曜休廊
am11時ーpm7時於テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8
tel/fax011-737-5503