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テンポラリー通信

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2007年 03月 06日

風強く傘飛ぶー春のにおい(18)

昨日は1日低気圧で嵐。傘が飛んだ。半透明なビニールの覆いがあっという間に
飛んで骨だけになる。今朝歩いているとそんな傘の残骸があちこちにあった。雪
解けが一気に進んで路面が黒い。しぶとく残っている残氷が意地悪く油断すると
足をさらう。春のような冬のような油断できない季節。体調もいまいちだ。藤谷さ
んの街を見てからNCRのアメリカへの旅、自分の内なる街が甦っていた。高層
化する札幌の方向と反対にもう当時のアメリカのショッピングセンターの動きは
低層化へと方向を変えていた。摩天楼を捨て郊外へ地下1階を含めて地上は2
階の広大な敷地に人工の川を流し人が歩き買い物をする一番快適な高さをもう
その高さと知っていたのだ。吹き抜けにモールと等身大の街を郊外に造成し中心
部の高層の街は捨てられていた。深い谷間のような摩天楼は日も射さず黒い人
達がうごめいて場所によってはもう廃墟の感すら漂っていた。藤谷さんが描いた
一番街の何倍もの広さの消費機能の持つスペースがそのまま郊外にぼんと移
動し稼動していた。物質主義をロマンとして建国されたアメリカという国の底力を
感じた。そしてデイズニーランドをみた時神話さえ過去にはなく未来に造ってしま
う力を見た。この国では開拓ーフロンテイアの精神が物質主義のロマンとして建
国精神に組み込まれて存在しその内側にすでにあるのだ。北海道で思っていた
開拓者精神とは本質的な差異を感じた。ハングリーな難民のロマン。過去を喪失
した多国籍な人間のロマン。冒険と未来と物質。それがショッピングセンターの構
造や遊園地である遊びのデイズニーランドの構造にも具現化されていた。theUn
ーitedStatesofAmerica。この<OF>にこそその構造が存在する。この<OF
>のダイナミズムは官主導の日本の開拓者精神にはないものだった。私はたか
が遊園地という先入感を、人間の普遍的な考えられる限りのランド=国で造られ
たデイズニーランドに破られ衝撃に似たものすら感じていた。これはもう真剣な神
話の国造りなのだ。そして同じ構造を大規模なショツピングセンターの構造にも感
じていた。買い物や遊びという事に人の目の高さを基本に取り入れている真剣さ
に驚いたのだった。デパートも専門店も量販店も一体にしてその消費の多様性を
<OF>で結んでいる。高層化する事が近代化であると信じて官主導の街造りが
進もうとしていた札幌とは大きな落差があった。逆説的に言えばその時点ではあ
るがままの札幌の方が進んでいたのである。今廃止された路面電車が改めて見
直されているようなものである。専門店百貨店それを繋ぐ小路大路あるがままの
当時の路面の街構造はアメリカが当時大規模に郊外に構築していた最先端の消
費街の構造をすでに備えていたのである。今親水公園とかいって川を流す事を大
規模な土木工事でまた元に戻すような事をしているが元々その時代には当り前の
ようにあったのである。内在する多様性が<OF>で結ばれる事無く外在する<=
>で括られるUNITEDニホンの近代化の悪弊は今も少しも変っていない。

*藤谷康晴展「肉体vsCONCRETE FICTION」-9日(金)まで。
*斎藤周展「3月の次から」ー3月13日(火)-25日(日)
 AM11時ーPM7時(月曜休廊)於テンポラリースペース
 札幌市北区北16条西5丁目1-8北大斜め通り

by kakiten | 2007-03-06 13:36 | Comments(0)


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