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テンポラリー通信

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2007年 02月 21日

出会いの街角ー春のにおい(7)

今城恵子さんが帰って1日後後映像作家の大木裕之さんが来る。函館松前の映
画製作を’91年より続けている彼は最近「メイ」という作品を一昨年から発表して
いる。この作品は毎年5月に撮り続けていて10年近く続ける予定という。現在水
戸芸術館現代美術ギヤラリーで2月3日から5月6日までその作品が「メイ 200
4ー2006年」として発表されている。石狩河口ーモエレ沼ー夕張の映像が前の
テンポラリースペースとともに撮影されて私も出てくるようだ。「オカクレ」という
大木さんのお父さんを追悼した作品はテンポラリースペースを軸に撮影され彼
のエポックともなった作品でこの作品制作の過程で関った野上裕之さん、岡和
田直人さんが共に作家としての転機を孕んでいく。今回も恒例となっている松前
とメイの撮影に向けての来札で藤谷さんの会場でしばし語り合う。2,3時間後
風のように苫小牧に向かい去って行った。また5月と言って。この日道新の夕刊
一面に村岸宏昭さんに関連した記事が大きく掲載されていた。故村岸さんが出
演したロイストン・タン監督の「モンキーラブ」がフランスの短編映画祭で実験映
像部門の最高賞に選ばれたという記事だった。昨年8月川で事故死した村岸さ
んの死んだ後も続く様々な波紋がこうして今日もこの日藤谷さんの昨年7月以
来の個展の最中にも起きるのだ。また大木さんの来訪中にこの記事を見るのも
不思議だった。大木さんが今住んでいる高知県に野上さんのいる尾道から訪ね
て村岸さんの事故は起きたからだ。昨年7月前半藤谷さんの個展の搬出日に村
岸さんが個展の白樺の搬入に入りそこでふたりはバトンタッチ、ハイタッチと言っ
て手を高く上げて挨拶をしたのだ。一昨日尾道へ帰った野上さん、大木さんの来
訪、藤谷さんの個展と揃った所で村岸さんの記事となにか示し合わせたように時
間が重なる。新聞の記事は村岸さんの事を多く取り上げお母さんの「亡くなってか
らもプレゼントをくれた」という談話で締めくくられていた。そうですね、亡くなってか
らも彼はたびたび訪れて来る。今日もふらりと来た陶芸家の河合利昭さんが村岸
さんの新聞記事の話をして急に彼の遺作の「星置ー銭函」のCDを聞きたいと言い
出しそれをかけた。藤谷さんの描く細密な無人の街角に昨日も今日もまた心の人
が立ち顕われ色めくのだった。。石田さんの追悼ライブをした碇昭一郎がライブの
後の語らいで石田さんの死の2,3週間前自宅に来て熱く何時間も村岸さんの事
を語っていたという話を披瀝していた。一度会いたかったなあと碇氏はここに飾っ
てある遺影に目をやりながらポツリと言った。音楽青年3人のバトンタッチ、ハイタ
ッチ今こうして掌を合わせて挨拶しているのかもしれない。無人、離人の透明な
街角。ここでは人の魂の往来が今日も溢れているよ。そして今日村岸さんの音楽
の恩師南先生からメールが届く。第一希望の追悼ライブ会場その日予約が取れ
たという内容だった。そう、亡くなってからも友人先輩恩師を呼び寄せ賑やかだぜ
、村岸さん。そうですね、お母さん。

*藤谷康晴展「CONCRETE FICTION」-23日(金)まで。
*ライブドローイング「肉体vsCONCRETE FICTION」
 23日AM11時ーPM7時作家が終日展示作品に直接描き続けます。

by kakiten | 2007-02-21 12:56 | Comments(0)


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