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テンポラリー通信

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2007年 02月 17日

追悼の街角ー春のにおい(3)

暖かい音だった。久し振りの暖かい音だった。この場所で初のBakerStreetジャ
ズライブ。リーダーの碇昭一郎のトランペット、一年半振りに復帰のギターの鎌田
誠規、ベースの釜鈴徹、新しく加入したピアノの森井千香子。前半はジャズのスタ
ンダードナンバーを中心に演奏された。休憩を挟んで後半は石田善彦さんの追悼
がバッハのG線上のアリアで始まった。このクラシックの名曲を碇のトランペットが
切々と歌い上げた。四人のバランスも良く心に沁みた。そして私の所では定番の
碇のオリジナル曲ラストサマーへと続く。この曲も石田さんが好んだ曲である。
そして最後のアンコール曲には石田さんがよく唄っていたマイフアニーバレンタ
インが演奏された。会場の片隅にギター片手に唄っている石田さんの写真をそっ
と置いた。この日会場にいた人がすべて彼を知っている訳ではない。しかし人が
人を思いその為に何かできる事をするという心の軸がこのコンサートをあるひた
むきなものに変えていた。私自身は、まだ四ヶ月前の彼の死を咀嚼し明確に消
化できてはいなかったから、追悼を前面にだしたライブを積極的に考えてはいな
かったのだ。むしろ消極的だった。しかし昨夜の演奏はそんな私の思惑を超えひ
たすら暖かく輝いていた。そうだよ。これでいいんだよ。私は四人の演奏に感謝し
ていた。石田さん、東京の娘さんにも連絡すればよかったのかもしれませんね。
私は私の中にあった中途半端に抱え込み閉じていた何かが放たれているのを感
じていた。暖かい優れた音が解放してくれたのだ。藤谷さんの精緻な街景を背景
に碇昭一郎のBakerStreetのjazzはよく似合う。無人の一番街に初めて人が動
き音が流れ街が再生したかのようだった。ひとりの人を思う事で、藤谷さんの物と
人を削ぎ落とした街路が個の軸で再生したのだ。石田さん、あなたのお陰でいい
コラボレーシヨンが実現できました。街が動きました。街路を人が再び歩き出しま
した。そう、暖かい音と共に凍りつき停止していた藤谷さんの市街地が。

*藤谷康晴展「CONCRETE FICTION」-23日(金)まで。
 AM11時ーPM7時(月曜休廊)
* ライブドローイング「肉体vsCONCRETE FICTION」
 最終日23日am11時ーpm7時終日
*本日酒井博史ライブ「刻歌生唱」PM7時半ー1000円

by kakiten | 2007-02-17 11:32 | Comments(0)


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