真っ白な柔らかい雪が降り続く。高臣大介展が始ってから待ちかねたように雪が
降り続く。緑色の服を着た女性が自転車を止めまあ綺麗と飛び込んで来る。ヤク
ルトのおばさんだった。真っ赤なチユーリップが外から見えてたまらず入ったと言
う。真っ白な雪の世界。透明なガラス。そして赤のチユーリップ。入口を飾るその
ゲートにたまらなくなったのだ。しばし嬌声をあげて本人がそれこそ花のように明
るくグリーンの服を翻して会場を羽ばたいて帰っていった。配達の途中だったのだ
ろうか。いい人だった。大介さんと顔を見合わせしばし笑った。その後すぐに今度
は若い女性が来た。来てまもなく吹き抜けの二階に上がりたいと言って上に展示
してある作品を見る。若い娘はわりと恐がりだが二階の吹き抜けに上がりたがる。
今回もそうだ。ヤクルトおばさんが賑やかな花のように去った後小鳥のように若
い娘が飛んできたという感じだ。真っ赤なチユーリップ、白い天地、そして透明な
様々なガラスの変容形。ここには女性が似合うのかもしれない。「泡のある小さな
一輪挿し」と「テクテク」という可愛い足のあるグラスをその娘が買ってくれる。何か
ネーミングとぴったりのお買い物だ。美しい雪の日。こうして2日目を過ぎて3日目
の朝の1日が始った。