昨夜美術家の堀田真作さんと共にドイツ・ハンブルグのギヤラリスト佐藤幹子さ
んが来た。健康そうな明るい女性だった。彼女は3月に自分のギヤラリーで堀田
真作展を企画している。そしてそのカタログに私が堀田さんの事を書くように依頼
してきたのだ。初対面ながらブログやアーテイストビザで滞在中の谷口顕一郎さ
んとの交友もあり以前から知っていた人に会うように話は弾んだ。展示中の野上
さんの作品も見てもらい、野上さんも交えて小1時間程ギヤラリーで話しその後
近くの焼き鳥屋に向かう。明朝7時に発つ強行スケジュールにも拘わらず店の閉
店時間まで話し込んだ。ひとりでドイツに行き苦労した話、文化習慣の違和、そし
て自分自身の中の日本の再発見。よく聞く話ではあるが本人自身の事として聞く
と目の前にいるひとりの女性の生き様が個別な新鮮さをもって感じられるのだ。
堀田さんの作品の事、谷口さんのドイツでの仕事の事、ドイツで今の仕事につく
きっかけになったCAIの端聡さんの事と話は尽きなかった。時間は足りなかった
。異郷の地で現代美術の日本の作家を紹介しつづけ生き抜く苦労は並大抵の事
ではない。その生活を賭けた核心の部分はさっぽろであくせくしている私の比では
ない。ただ佐藤さんが異国の地で私のブログを読み何度涙したことかと言ってくれ
た時なにかが共通の志の波浪のように心の飛沫を上げているのを感じていた。そ
れは実践し生きている現場の呼気吸気のうちでしか感じ取れないものだ。直接会
ってそれぞれの環境の相違、生きてきた時間の相違、多くの相違があるにも拘わ
らず作家と作品という魂の結晶を受けて投げ返す仕事の共通の土俵は変わらな
いものだ。私は逆に佐藤さんからそうしたエールをさっぽろで受けた気がする。私
が約束した堀田真作小論は従ってその基底の部分では佐藤さんへのお返しのエ
ールともなるだろう。そう思っている。
ドイツの気候は暗く陽射しが少ないと彼女は言っていた。真っ白で真っ青な時なん
てないのよ-昨夜からの雪で今朝は佐藤さんの望んでいた日となる。真っ白で真
っ青な雪と空が広がった。久し振りの北海道から自然のエールですね、佐藤さん。