ジョンルイスの弾くバッハの平均律クラヴィーア曲を流す。MJQのリーダー
の晩年のソロである。バッハへの憧れが素直にjazzでありながら、語りかける
ように演奏されている。雪が今日も深々と降っている。アイヌ語で<ウパシ>ー追っ
駈けっこすると表現される。ヒラヒラと軽い雪片と重い雪片が交互に降って来る様
子をいう。黒人であるジョンルイスのバッハへの憧れが、軽く柔らかく上昇するよう
にピアノの音となって、雪のウパシの間を昇っていく。
昨日までの人のざわめきが消え、雪と時間が重なっている。そろそろ引越しの荷づ
くりにかからなくてはいけない。石田善彦さんから電話がくる。「いやあ~どうして
いるの」というような内容だった。荷造り手伝つて貰おうかしら。少し憂鬱。
夕方写真家でテーブルコーデネイターの森美千代さん来る。話している内に
ピアニストの有本紀(のり)さんとヴオーカルとギターの古館賢治さん来る。
一昨年までふたりはここで、月例のライブをしていた。ふたりになってお互いの
の刺激が重なり飛躍的にいいデユオが生れた。ここ発の忘れられない2人で
ある。古館さんは昨年10月頃南米にひとりで行き、髭もたくわえ、たくましくなった。
有本さんは逆に髪を切り、さっぱりとした。伸ばす人切る人それぞれだがなにかが
またふたりの中で動きつつある。<今が旬の黄金のデユオ>と私がかって付けた
フレーズだ。大介さん置いていった洞爺月浦のワインを4人で飲む。それから
お腹空いて飯を食いに出かける。食事もそこそこに、また飲んでしまった。
ここのふたりのラストコンサート25日に決める。6時ころからお時間とれれば
是非お出で下さい。ふたりとは今後も繋がっていく。きっと音を通して未来を
見つめ合う事で、また繋がって行く。その友情はどこかで新たな雪ー追っ駆
っこするウパシーとなって降り続いていくだろう。