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テンポラリー通信

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2006年 09月 20日

阿部さん帰るー阿部守展(5)

作品の調節をして、台風の接近に追われるように阿部守さんが九州へと帰って
いった。作品の調節とは水滴の落ちる時間差の事である。1日休んだので水滴
の落下速度が遅くなり過ぎていたのだ。じゅっと音を立て消失するタイミングが
速過ぎても遅すぎても作品の意図とずれてくる微妙な調整である。この水滴を
ある人は精液のようだと言う。それに呼応してまたある人は乙女の聖水だと言う
。この辺になると私には付いていけない面があって人それぞれと思う。なんでも
M君の追悼に結びつけるのも思い込みだがここは素直に合掌のように水の蒸発
する音と水煙を見る。鉄を素材とする作家の鉄精錬の原行為ー水と熱。そして原
風景であるイギリスオックスフォードの水と沖縄の水。さっぽろの、滴り落ちる水と
作品に満たされた水。これらはもう作家の表現行為の原点を全てと言って良い程
提示しているのだ。今年から二年おきにここで個展を開きたいと言う。その意味で
は今回はスタートの第一回かもしれない。一昨日一緒に歩いた石狩の風景で得
たインスピレーシヨンが次回ひとつの作品へと結晶することが予感のように私には
ある。阿部さんの作家としての場の深まりは同時にここの場の深まりでもあるよう
に函の時間軸も深まっていく。引っ越して初めての空間で彼は作家としての原点
を提示し場への敬意を払ってくれたように私には思える。その事にあらためて感謝
したい。ふたつの大きな麦藁帽子のような凸凹の作品は併せると閉じた一体の物
となる。それを開き水を満たし、水を受け展開する行為そのもが阿部さんの場へ
の信頼、友情の行為であると私には理解される。同時に稀なる作家の原点開示
に我々は立ち会うことでもあるのだと思う。始って三日目これからさらに見る人と
の展示のドラマが始っていく。

*阿部守展ー18日(土)-30日(土)am11時-pm7時(月曜休廊)
*ナーダコラボレーシヨンーケン・・ハンマーダルシマー。デン・・タブラ
 ゲスト・・若松由紀枝(舞)PM7時~9月20日開演。2000円。

by kakiten | 2006-09-20 13:07 | Comments(0)


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